26話 ストロベリー・パニック!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「それではこれより、グランプリ準決勝第二試合をはじめます」
準決勝の日はすぐにやってきた。いちご達は方針が決まってからというものの脇目もふらずに練習して来たのだ。装いも新たに独特の形をした帽子を被ってチームいちごはステージに立った。一方で、チーム夏希は腕と背中が大胆にはだけている大人っぽい衣装だ。
「いちごちゃーん!」
「安堂くーん!」
ルミとかなこが大声を上げる。樹が黙って頷き、四人が頷き返したところで調理開始のブザーがなった。
「いちごちゃん達は赤と白のイチゴを使うって言ってたけど、どんなアイデアで勝負するんだろうね・・・」
「うん・・・」
一方の夏希達は得意のナイフ捌きで華麗にフルーツをカットしている。メンバーで一番プロポーションの良いミカが、パイ生地を作っていた。
いちごが向こうで試食してきたというミルフィーユは、確かに本番用の試作品だったらしい。
どれだけオープンなんだ、と樹は呆れ半分の息を吐いた。
「あっ、マカロンがハート型!」
「かわいいやん!」
「なんか、楽しくなってきちゃう!」
ルミとかなこはマカロン生地を絞り出すいちごに注目しはじめていた。女子の好みをピンポイントで貫く画に、周りも黄色い声をあげている。いちごは、生地を絞り出す合間に、いちいち手を氷水に赤くなるまでつけている。
「いちごちゃん・・・何してるのかな?」
「手の熱でマカロンの生地がだれないようにしてるの。あと、袋はなるべく触らないようにして左手は金具を持っているわね。練習通り、完璧だわ」
その内に時間がやってきて、パフォーマンスタイムに入った。準決勝では仕上げをパフォーマンスとするらしい。夏希がパチンと指を鳴らした瞬間に会場の照明が落ちた。
何が始まるかと思えば、四人が一斉に青い炎が燃え立つ鍋を傾けだした。ソースが青白い龍のように皿へ流れ落ち、会場は沸き立つ。
「おまたせしました。トロピカルフルーツのミルフィーユと、アイスをマンゴーソースに浮かべたスイーツ『情熱の波』でございます!」
「おおーっ!」
仕上がりも色鮮やかで素晴らしい出来だ。フルーツ達が宝石のように爛々と輝いている。
「沖縄の太陽を浴びて育ったフルーツを、ふんだんに使ったスイーツでございます!どうぞご賞味ください!」
会場の空気はがらりと南国調に変わっている。
「さくさくのパイに、とろけるカスタードクリーム・・・!」
「様々な味が口の中で絡み合い、響き合う・・・正に情熱の波!」
「やった!」
理事長の言葉に夏希達はイメージが伝わったと喜ぶ。
お次はいちご達の番だ。スイーツの上からかけていた白い布を勢い良くはがすと、赤いハートと白いハートがずらりと並んだ。ワゴン上の可憐なディスプレイに会場の女子生徒はにわかに色めき立つ。四人が並んでシュクル・フィレをくるくると上から垂らすとハートはほんのりとレース模様を纏い、その幻想的な様にますます黄色い声が上がった。
「いらっしゃいませ!今日のデザートは、イチゴをメインにした『恋するハート』です!どうぞ、お楽しみください!」
カントリー風のホームパーティーらしくいちごがにっこりと合図をすると、審判たちはまず赤いハートを口に入れた。
「マカロンのさくさくと、中のストロベリーアイスがよくマッチしていますね。・・・ん?それだけではないようですね、中に薄くチョコレートクリームが敷かれている・・・」
「このヴェリーヌは素材の組み合わせが絶妙だ。ホワイトチョコ、ミルクババロア、イチゴのジュレ、そしてジェノワーズの上にイチゴ入りホイップクリーム」
「これなら飽きがきませんな!しかし、アイスを食べ続けているとさすがに舌が冷たくて・・・」
「そんな時は、白いハートをどうぞ!」
待っていましたと言わんばかりにいちごはもう一つのハートを指した。理事長がナイフを入れると、中からフランボワーズのソースが流れ出て来た。まだ熱い。
「・・・ほっほっ!アイスで冷えた身体に、あたたかいソースが沁みますなあ!」
「ホワイトチョコケーキの甘さと、フランボワーズソースの酸味が実に良く利いている」
「甘酸っぱくてほろ苦い・・・熱くなったと思えば冷たくなる・・・なるほど、正に恋するハートですね!」
伝わったといちご達も笑みを漏らす。やったね、とかなこ達も嬉しそうだが、肝心の採点はこれからだ。しかし、それが長引いているらしい。
「なんでもええから、いちごちゃんを勝たせて・・・!」
ルミは必死に念じる。ステージ上の八人も、緊張した面持ちで電光掲示板を見やった。この勝負は、観客目線ではほぼ互角だ。
準決勝の日はすぐにやってきた。いちご達は方針が決まってからというものの脇目もふらずに練習して来たのだ。装いも新たに独特の形をした帽子を被ってチームいちごはステージに立った。一方で、チーム夏希は腕と背中が大胆にはだけている大人っぽい衣装だ。
「いちごちゃーん!」
「安堂くーん!」
ルミとかなこが大声を上げる。樹が黙って頷き、四人が頷き返したところで調理開始のブザーがなった。
「いちごちゃん達は赤と白のイチゴを使うって言ってたけど、どんなアイデアで勝負するんだろうね・・・」
「うん・・・」
一方の夏希達は得意のナイフ捌きで華麗にフルーツをカットしている。メンバーで一番プロポーションの良いミカが、パイ生地を作っていた。
いちごが向こうで試食してきたというミルフィーユは、確かに本番用の試作品だったらしい。
どれだけオープンなんだ、と樹は呆れ半分の息を吐いた。
「あっ、マカロンがハート型!」
「かわいいやん!」
「なんか、楽しくなってきちゃう!」
ルミとかなこはマカロン生地を絞り出すいちごに注目しはじめていた。女子の好みをピンポイントで貫く画に、周りも黄色い声をあげている。いちごは、生地を絞り出す合間に、いちいち手を氷水に赤くなるまでつけている。
「いちごちゃん・・・何してるのかな?」
「手の熱でマカロンの生地がだれないようにしてるの。あと、袋はなるべく触らないようにして左手は金具を持っているわね。練習通り、完璧だわ」
その内に時間がやってきて、パフォーマンスタイムに入った。準決勝では仕上げをパフォーマンスとするらしい。夏希がパチンと指を鳴らした瞬間に会場の照明が落ちた。
何が始まるかと思えば、四人が一斉に青い炎が燃え立つ鍋を傾けだした。ソースが青白い龍のように皿へ流れ落ち、会場は沸き立つ。
「おまたせしました。トロピカルフルーツのミルフィーユと、アイスをマンゴーソースに浮かべたスイーツ『情熱の波』でございます!」
「おおーっ!」
仕上がりも色鮮やかで素晴らしい出来だ。フルーツ達が宝石のように爛々と輝いている。
「沖縄の太陽を浴びて育ったフルーツを、ふんだんに使ったスイーツでございます!どうぞご賞味ください!」
会場の空気はがらりと南国調に変わっている。
「さくさくのパイに、とろけるカスタードクリーム・・・!」
「様々な味が口の中で絡み合い、響き合う・・・正に情熱の波!」
「やった!」
理事長の言葉に夏希達はイメージが伝わったと喜ぶ。
お次はいちご達の番だ。スイーツの上からかけていた白い布を勢い良くはがすと、赤いハートと白いハートがずらりと並んだ。ワゴン上の可憐なディスプレイに会場の女子生徒はにわかに色めき立つ。四人が並んでシュクル・フィレをくるくると上から垂らすとハートはほんのりとレース模様を纏い、その幻想的な様にますます黄色い声が上がった。
「いらっしゃいませ!今日のデザートは、イチゴをメインにした『恋するハート』です!どうぞ、お楽しみください!」
カントリー風のホームパーティーらしくいちごがにっこりと合図をすると、審判たちはまず赤いハートを口に入れた。
「マカロンのさくさくと、中のストロベリーアイスがよくマッチしていますね。・・・ん?それだけではないようですね、中に薄くチョコレートクリームが敷かれている・・・」
「このヴェリーヌは素材の組み合わせが絶妙だ。ホワイトチョコ、ミルクババロア、イチゴのジュレ、そしてジェノワーズの上にイチゴ入りホイップクリーム」
「これなら飽きがきませんな!しかし、アイスを食べ続けているとさすがに舌が冷たくて・・・」
「そんな時は、白いハートをどうぞ!」
待っていましたと言わんばかりにいちごはもう一つのハートを指した。理事長がナイフを入れると、中からフランボワーズのソースが流れ出て来た。まだ熱い。
「・・・ほっほっ!アイスで冷えた身体に、あたたかいソースが沁みますなあ!」
「ホワイトチョコケーキの甘さと、フランボワーズソースの酸味が実に良く利いている」
「甘酸っぱくてほろ苦い・・・熱くなったと思えば冷たくなる・・・なるほど、正に恋するハートですね!」
伝わったといちご達も笑みを漏らす。やったね、とかなこ達も嬉しそうだが、肝心の採点はこれからだ。しかし、それが長引いているらしい。
「なんでもええから、いちごちゃんを勝たせて・・・!」
ルミは必死に念じる。ステージ上の八人も、緊張した面持ちで電光掲示板を見やった。この勝負は、観客目線ではほぼ互角だ。