26話 ストロベリー・パニック!
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聖マリー学園では、菓子の材料となる果物が敷地内で作られている。高等部の有志生徒で組織される委員会によって管理されており、授業で使用される他に毎日放課後に開かれるマルシェで生徒向けに安売りされる。
ルミとかなこはそこから果実を仕入れて来たはずなので、行ってもたいしたことはできないだろうとは思っていたが、樹は何となく果樹園に来ていた。
人気の無いところまで来ると、木陰からアリスが姿を現した。
「気張ってるぅー」
「人を指差さないの」
開口一番に人をからかってきたアリスに指をさしかえしながら、樹は少し微笑んだ。
「久しぶりね、アリス・・・どうしたの、それ?」
「え?ああ、ちょっとバラ触ってたんだよね」
アリスはテーピングが巻かれた左手の指をひらひらと振った。樹はいぶかしげにその指を見つめたが、あまりにアリスがあっけらかんとした様子なので深く考えないことにした。
「それはそうと、準決勝?なんか沖縄の人だっけ?ま、不利そうだよね。何とかなりそうなの?」
「それを模索してるのよ。ていうか、あんたいつにも増してテキトーね」
「だって疲れてるんだもん」
「だもんってねえ・・・ちゃんと寝てる?ていうか、いつもどこで寝てるのよ」
「あの辺」
アリスは森の方を指差した。「信じる?」とでもいうような笑みを浮かべるので、樹は思わずジト目になる。
やっぱり、詮索させてくれない。
「まあ歩いてると気分転換になるしね、ゆっくり考えなよ」
「アリスのこと?準決勝のこと?」
「ぜんぶ」
「東堂———誰だ、そいつ?」
ふと、樫野の声がした。樹は驚いて振り向いた。同時に、アリスの気配が音も無く消えた。
「・・・あれ、気のせいか?」
「・・・何が」
「金髪の・・・いや、いい」
樫野は自信がなくなったらしく首を振った。
そういえば、前にもアリスと話しているときに不意に小城に声をかけられたことがあった。さすがに樫野は小城よりも敏感らしい。
ルミとかなこはそこから果実を仕入れて来たはずなので、行ってもたいしたことはできないだろうとは思っていたが、樹は何となく果樹園に来ていた。
人気の無いところまで来ると、木陰からアリスが姿を現した。
「気張ってるぅー」
「人を指差さないの」
開口一番に人をからかってきたアリスに指をさしかえしながら、樹は少し微笑んだ。
「久しぶりね、アリス・・・どうしたの、それ?」
「え?ああ、ちょっとバラ触ってたんだよね」
アリスはテーピングが巻かれた左手の指をひらひらと振った。樹はいぶかしげにその指を見つめたが、あまりにアリスがあっけらかんとした様子なので深く考えないことにした。
「それはそうと、準決勝?なんか沖縄の人だっけ?ま、不利そうだよね。何とかなりそうなの?」
「それを模索してるのよ。ていうか、あんたいつにも増してテキトーね」
「だって疲れてるんだもん」
「だもんってねえ・・・ちゃんと寝てる?ていうか、いつもどこで寝てるのよ」
「あの辺」
アリスは森の方を指差した。「信じる?」とでもいうような笑みを浮かべるので、樹は思わずジト目になる。
やっぱり、詮索させてくれない。
「まあ歩いてると気分転換になるしね、ゆっくり考えなよ」
「アリスのこと?準決勝のこと?」
「ぜんぶ」
「東堂———誰だ、そいつ?」
ふと、樫野の声がした。樹は驚いて振り向いた。同時に、アリスの気配が音も無く消えた。
「・・・あれ、気のせいか?」
「・・・何が」
「金髪の・・・いや、いい」
樫野は自信がなくなったらしく首を振った。
そういえば、前にもアリスと話しているときに不意に小城に声をかけられたことがあった。さすがに樫野は小城よりも敏感らしい。