25話 南国の風
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準決勝のトーナメント表と課題が発表されるサロン・ド・マリーはいつもよりも大勢の人でにぎわっていた。この辺りになるとみんな注目しはじめるのだ。
「チームいちごの皆さん」
トーナメント表を見に来た五人の前に、小城といつもの二人が現れた。
何をしに来たのだと全員が警戒する中、小城は威厳たっぷりに話しかける。
「準決勝、絶対勝ってね!私、皆さんを応援してるから」
「あ、ありがとうございます・・・」
「そして、決勝であの天王寺会長をメタメタに叩き潰してちょうだい!」
「・・・は?」
いちごはとんでもない意志を託されて言葉に詰まる。小城は安堂の影に隠れていた樫野に向けて甘い声を出す。
「きっと、私の敵をとってね、ダーリン?あんっ」
さっそうと去って行く小城は一回戦のことを相当根に持っているらしかった。プライドの高さは一級品だよなと樹はこっそり思った。
「ちょっと、お兄さん!パイナップルの芯残ってるよ!」
その時、聞き覚えのある声がバイキングのカットフルーツに文句を言っているのが聞こえた。
「カッティング荒いよ!」
「キウイがまだ熟してないし・・・」
「バナナも茶色です・・・」
声の主は夏希たちだった。いちごが声をあげると、仰天した様子でこちらにやってきた。
「いちごちゃん!やっぱりあなた、聖マリーの生徒だったんだ!」
「はい!みんなもです!」
「いやー、嬉しいなあ!じゃあ、再会を祝って・・・!」
息つく間も無く、夏希たちは五人の前にあっという間に得意のフルーツ盛りを並べた。場合も場所も気にせずに本当に自由な人達である。
「まあ、食べて食べて!いやー、嬉しいなあ!君たちみんな後輩だったなんて!」
「私たち高1だから、二つ違いだね」
「いただきまーす!・・・わーっ!あたし、このフルーツの味が忘れられなくて!」
いちごは遠慮せず一口食べてまた感激する。
「そりゃあ、産地直送だもんねー!沖縄の実家から!」
「実家、ですか?」
「そう!みんな沖縄のフルーツ農園の娘なの」
「幼なじみ!」
メンバーの中の双子が声を揃える。夏希たちは代わる代わるこの学園に来たあらましを語った。彼女達は四人で大好きな沖縄フルーツを使ったお店を東京に出すために一流の教育を受けたくてやってきたのだ。
すばらしい夢にすばらしい技術、いちごは尊敬の眼差しで四人を見つめた。
いちごの惜しみない賞賛に、そろそろ照れて来た夏希は照れ隠しにパイナップルをカットしまくっていちごの皿に盛りだした。
「あーっ!もうそのへんで・・・」
「あれ?もういいの?」
「あのー、もし良ければ・・・このフルーツ分けてもらえませんか?ケーキグランプリで使ってみたいんです!」
いちごはすっかり沖縄フルーツにはまったらしい。しかし、その言葉に夏希たちの表情が変わった。
「グランプリって・・・。そうか、中等部で勝ち抜いてるチームって、いちごちゃん達のことだったのか・・・」
夏希が呟き、「私ら・・・」と何か言いかけたとたん、ルミがトーナメント表が発表されたと大声でいちご立ちに告げた。
見ると、次にチームいちごと当たるチームの名前は「チーム夏希」とあった。
「・・・あっちゃー!ドンピシャだったね!」
「それじゃ・・・これ・・・」
「そう!私らもグランプリ参加者!当然優勝狙ってるから、覚悟しといてね!」
いちごは折角仲良くなったのに敵対するような感覚がして不安そうな表情を浮かべたが、後ろの四人が全く動じていないのを見て勇気を出した。
「夏希さん!あたしたちも、負けませんから!」
「そうこなくっちゃー!なんか楽しみだねー!フルーツも分けてあげるさー!」
夏希は相変わらずの上機嫌でいちごの背中をバンバン叩いたが、樫野は今回の課題を見て険しい表情を見せた。
白いボードに「フルーツをメインに使った皿盛りデザートとグラススイーツ」というゴシック体が踊っている。
いちごは急激に不安になり、夏希達もさすがに微妙な表情になった。
「・・・どうする、いちごちゃん?うちのフルーツ使いたいって言ってたけど・・・」
「・・・大丈夫です!対戦相手から頂くわけにはいきませんから!あたし達はあたし達のフルーツで勝負します!」
いちごは相手側の得意分野への不安をどうにか隠して宣言した。
「そうこなくっちゃ、いちごちゃん!」
夏希はまた上機嫌に戻って背中を叩く。
「王子様四人に守られたお姫様かと思ってたけど、チームいちごの名前はだてじゃないんだね!」
「夏希さん・・・」
「・・・は、四人?」
樹はスルーしきれない猛烈な違和感を感じ取った。
「じゃあ、準決勝楽しみにしてるよ!」
「美人王子、バラ王子、眼鏡王子、プチ王子、またね?」
「バーイ!」
四人は元気よく去って行く。グラマーのミカに勝手なあだ名を呼ばれた四人は若干ヘコんだ。
「私、そっち側なの・・・?」
「バラ・・・」
「眼鏡・・・」
「・・・プチ」
「・・・スイーツ王子って四人だったんだ!」
いちごはたまらずに大笑いしたのだった」
「チームいちごの皆さん」
トーナメント表を見に来た五人の前に、小城といつもの二人が現れた。
何をしに来たのだと全員が警戒する中、小城は威厳たっぷりに話しかける。
「準決勝、絶対勝ってね!私、皆さんを応援してるから」
「あ、ありがとうございます・・・」
「そして、決勝であの天王寺会長をメタメタに叩き潰してちょうだい!」
「・・・は?」
いちごはとんでもない意志を託されて言葉に詰まる。小城は安堂の影に隠れていた樫野に向けて甘い声を出す。
「きっと、私の敵をとってね、ダーリン?あんっ」
さっそうと去って行く小城は一回戦のことを相当根に持っているらしかった。プライドの高さは一級品だよなと樹はこっそり思った。
「ちょっと、お兄さん!パイナップルの芯残ってるよ!」
その時、聞き覚えのある声がバイキングのカットフルーツに文句を言っているのが聞こえた。
「カッティング荒いよ!」
「キウイがまだ熟してないし・・・」
「バナナも茶色です・・・」
声の主は夏希たちだった。いちごが声をあげると、仰天した様子でこちらにやってきた。
「いちごちゃん!やっぱりあなた、聖マリーの生徒だったんだ!」
「はい!みんなもです!」
「いやー、嬉しいなあ!じゃあ、再会を祝って・・・!」
息つく間も無く、夏希たちは五人の前にあっという間に得意のフルーツ盛りを並べた。場合も場所も気にせずに本当に自由な人達である。
「まあ、食べて食べて!いやー、嬉しいなあ!君たちみんな後輩だったなんて!」
「私たち高1だから、二つ違いだね」
「いただきまーす!・・・わーっ!あたし、このフルーツの味が忘れられなくて!」
いちごは遠慮せず一口食べてまた感激する。
「そりゃあ、産地直送だもんねー!沖縄の実家から!」
「実家、ですか?」
「そう!みんな沖縄のフルーツ農園の娘なの」
「幼なじみ!」
メンバーの中の双子が声を揃える。夏希たちは代わる代わるこの学園に来たあらましを語った。彼女達は四人で大好きな沖縄フルーツを使ったお店を東京に出すために一流の教育を受けたくてやってきたのだ。
すばらしい夢にすばらしい技術、いちごは尊敬の眼差しで四人を見つめた。
いちごの惜しみない賞賛に、そろそろ照れて来た夏希は照れ隠しにパイナップルをカットしまくっていちごの皿に盛りだした。
「あーっ!もうそのへんで・・・」
「あれ?もういいの?」
「あのー、もし良ければ・・・このフルーツ分けてもらえませんか?ケーキグランプリで使ってみたいんです!」
いちごはすっかり沖縄フルーツにはまったらしい。しかし、その言葉に夏希たちの表情が変わった。
「グランプリって・・・。そうか、中等部で勝ち抜いてるチームって、いちごちゃん達のことだったのか・・・」
夏希が呟き、「私ら・・・」と何か言いかけたとたん、ルミがトーナメント表が発表されたと大声でいちご立ちに告げた。
見ると、次にチームいちごと当たるチームの名前は「チーム夏希」とあった。
「・・・あっちゃー!ドンピシャだったね!」
「それじゃ・・・これ・・・」
「そう!私らもグランプリ参加者!当然優勝狙ってるから、覚悟しといてね!」
いちごは折角仲良くなったのに敵対するような感覚がして不安そうな表情を浮かべたが、後ろの四人が全く動じていないのを見て勇気を出した。
「夏希さん!あたしたちも、負けませんから!」
「そうこなくっちゃー!なんか楽しみだねー!フルーツも分けてあげるさー!」
夏希は相変わらずの上機嫌でいちごの背中をバンバン叩いたが、樫野は今回の課題を見て険しい表情を見せた。
白いボードに「フルーツをメインに使った皿盛りデザートとグラススイーツ」というゴシック体が踊っている。
いちごは急激に不安になり、夏希達もさすがに微妙な表情になった。
「・・・どうする、いちごちゃん?うちのフルーツ使いたいって言ってたけど・・・」
「・・・大丈夫です!対戦相手から頂くわけにはいきませんから!あたし達はあたし達のフルーツで勝負します!」
いちごは相手側の得意分野への不安をどうにか隠して宣言した。
「そうこなくっちゃ、いちごちゃん!」
夏希はまた上機嫌に戻って背中を叩く。
「王子様四人に守られたお姫様かと思ってたけど、チームいちごの名前はだてじゃないんだね!」
「夏希さん・・・」
「・・・は、四人?」
樹はスルーしきれない猛烈な違和感を感じ取った。
「じゃあ、準決勝楽しみにしてるよ!」
「美人王子、バラ王子、眼鏡王子、プチ王子、またね?」
「バーイ!」
四人は元気よく去って行く。グラマーのミカに勝手なあだ名を呼ばれた四人は若干ヘコんだ。
「私、そっち側なの・・・?」
「バラ・・・」
「眼鏡・・・」
「・・・プチ」
「・・・スイーツ王子って四人だったんだ!」
いちごはたまらずに大笑いしたのだった」