25話 南国の風
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三人がそのまま歩いていると偶然いちごと樫野に合流でき、なぜか一緒に「フルーツ・パラダイス」という南国風のカフェでごちそうされることになった。
いちごが、このカフェでバイトをしている女の人を助けたのだそうだ。
開放感あふれる空気の中、ローラースケートを履いた女子店員が運んでいるのは目にも鮮やかなトロピカルフルーツ。華やかにカッティングされたフルーツ達は今にも甘い芳香をこちらに放ってきそうな迫力だ。
「めんそーれ、いちごちゃん!」
五人が腰掛けたテーブルの前に、四人の女子店員がやってきた。ボーイッシュでサバサバと喋る彼女の名前は夏希というらしい。手に持ったパイナップルをかかげると、仲間に合図を送り、笑顔で声を揃えた。
「イッツ・ショー・タイム!」
「・・・なにが始まるの?」
四人はどこからか流れてきた陽気な音楽に合わせて、リズミカルにナイフでフルーツをするすると剥きはじめた。踊るようにフルーツを変身させていく彼女達の動きが楽しくてスピリッツも踊りだす。
「楽しい!」
「軽くやってるけど、あれはけっこう高度だ」
「あの人達、一介のバイトには見えないわね・・・」
みんなが息を飲んで見ている内に、目の前には山のように盛られたフルーツ皿とフルーツポンチ、アイスが浮かんだグラススイーツが並べられていた。
「おまたせー!さあ、食べて!みなさん!」
「すっごーい!」
五人はその出来栄えに目を見張ったが、いちごの「遠慮なくいただきまーす!」を合図に食べはじめると止まらない。
五人とスピリッツはしばらく黙々と果実を口に運んだ。その異様な様子に夏希達は苦笑しながら口を挟む。
「・・・で、お味は・・・?」
「うまーい・・・!」
五人は恍惚とした表情で声を合わせた。
「こんなジューシーで甘いパイナップル、初めて!スイカもマンゴーもオレンジもとっても新鮮で、太陽の味がする!南国の光をいっぱい浴びて育ったのね・・・。まるで、フルーツの楽園だわ!」
「・・・そんなに深く味わってくれた子、初めてだよ!」
うっとりと感想を続けたいちごに、夏希は嬉しそうに声をあげた。
「今日ここで食べた中で一番おいしかったです!」
四人が同意して頷くと、夏希達は満面の笑みになった。
「気に入った!これ持って帰りな!」
「ありがとうございまーす!」
夏希は上機嫌で上等のパイナップルをまるまる三個いちごに押し付けた。お店のものではないのかと気になるところだが、先方が毛の先ほども気にしていないので仕方がない。
「ごちそうさまでしたー!」
「また来てねー!」
「はいっ!」
こちらに手を振り続ける夏希たちの姿は、やがて夕暮れの中シルエットになり、見えなくなった。その途端樹たちはどっと一日の疲れがやってきたような気がしたが、いちごだけはまだパイナップルを抱えて元気そうに歩いていたのだった。
いちごが、このカフェでバイトをしている女の人を助けたのだそうだ。
開放感あふれる空気の中、ローラースケートを履いた女子店員が運んでいるのは目にも鮮やかなトロピカルフルーツ。華やかにカッティングされたフルーツ達は今にも甘い芳香をこちらに放ってきそうな迫力だ。
「めんそーれ、いちごちゃん!」
五人が腰掛けたテーブルの前に、四人の女子店員がやってきた。ボーイッシュでサバサバと喋る彼女の名前は夏希というらしい。手に持ったパイナップルをかかげると、仲間に合図を送り、笑顔で声を揃えた。
「イッツ・ショー・タイム!」
「・・・なにが始まるの?」
四人はどこからか流れてきた陽気な音楽に合わせて、リズミカルにナイフでフルーツをするすると剥きはじめた。踊るようにフルーツを変身させていく彼女達の動きが楽しくてスピリッツも踊りだす。
「楽しい!」
「軽くやってるけど、あれはけっこう高度だ」
「あの人達、一介のバイトには見えないわね・・・」
みんなが息を飲んで見ている内に、目の前には山のように盛られたフルーツ皿とフルーツポンチ、アイスが浮かんだグラススイーツが並べられていた。
「おまたせー!さあ、食べて!みなさん!」
「すっごーい!」
五人はその出来栄えに目を見張ったが、いちごの「遠慮なくいただきまーす!」を合図に食べはじめると止まらない。
五人とスピリッツはしばらく黙々と果実を口に運んだ。その異様な様子に夏希達は苦笑しながら口を挟む。
「・・・で、お味は・・・?」
「うまーい・・・!」
五人は恍惚とした表情で声を合わせた。
「こんなジューシーで甘いパイナップル、初めて!スイカもマンゴーもオレンジもとっても新鮮で、太陽の味がする!南国の光をいっぱい浴びて育ったのね・・・。まるで、フルーツの楽園だわ!」
「・・・そんなに深く味わってくれた子、初めてだよ!」
うっとりと感想を続けたいちごに、夏希は嬉しそうに声をあげた。
「今日ここで食べた中で一番おいしかったです!」
四人が同意して頷くと、夏希達は満面の笑みになった。
「気に入った!これ持って帰りな!」
「ありがとうございまーす!」
夏希は上機嫌で上等のパイナップルをまるまる三個いちごに押し付けた。お店のものではないのかと気になるところだが、先方が毛の先ほども気にしていないので仕方がない。
「ごちそうさまでしたー!」
「また来てねー!」
「はいっ!」
こちらに手を振り続ける夏希たちの姿は、やがて夕暮れの中シルエットになり、見えなくなった。その途端樹たちはどっと一日の疲れがやってきたような気がしたが、いちごだけはまだパイナップルを抱えて元気そうに歩いていたのだった。