24話 本戦開幕!
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いちご達はアクシデントが心残りではあるも無事に初戦を切り抜けたが、感傷に浸っている暇はなかった。四人は樹と合流して校内を走り、チーム小城とチーム天王寺の試合を見届けに行かねばならなかったのだ。
「お疲れ。良かった」
「ありがとう!」
「やっぱりあそこに葉を足してよかったよ!」
短く感想を語りながら五人はどうにか空いた席に潜り込む。いちご達の試合を見終えた人も既に移動していたようで、会場はほぼ満席だ。
試合は始まったばかりで、チーム小城がリーダーを中心にきびきびと動いている中、袴を着込んだ天王寺は出だしから大きな筆を持ち出し、流暢な筆遣いで「雅」の字を書き上げる。それを皮切りに作業が始まった。
「なんていうか・・・スイーツ作り自体を雅に演出しているようだ」
四人の美しい動作にみんなは見とれる。出場者の様子が気になって調べていたスピリッツ達の話だと、天王寺たちは準備期間に能を鑑賞したり博物館に赴いて日本の伝統文化を研究していたらしい。
一方、小城たちは小城が金にものを言わせて作らせた特製装置で高級フルーツをジュースにしはじめた。受け皿までの距離を出すことで、会場いっぱいにフルーツの香りを充満させている。
「それだけじゃない!ああやってスポットライトを当てることで・・・」
「すごい!ジュースが一斉に輝いて虹みたい!」
「単調で地味な裏ごし作業も、こうして演出を加えることで立派なパフォーマンスになるんだよ」
みんながフルーツの香りにうっとりとしている中、カフェがふとブルーマウンテンの香りを嗅ぎ付けた。見ると、天王寺側の一人がコーヒー豆を煎っている。
「なによ、この匂い!会場中に充満しているフルーツの香りを、よくもかき消してくれたわね!」
小城もそれに気づいて憤慨する。チーム天王寺は作業中でも巧みに小城達の存在感に押し負かされないように腕を振るってくる。
ここで、小城達が作ろうとしているものが明らかになって来た。ロココ調の豪華な冠。
「小城さん達、前よりもすごいと思わない?」
いちごが樹に耳打ちする。
確かに前回はいちごのデザインを盗んだことでテーマや完成度の点は高かったものの、技術では劣っていた。しかし、制作途中とはいえ見たところ抜かりはなさそうだ。フルーツの輝きが豪華さを見事に演出していて非の打ち所がない。
「あの作品、多分性に合ってるのよ。チョコレート使いで樫野とやり合う分には足りないものが色々あるけれど、ゴテゴテと高級感はさすが先輩の代名詞ね」
樹は冷静に語る。しかし、小城の方の話をしながらもその視線は心持ち天王寺側に向きかけている。
一方で、天王寺達は美しい所作のまま池に舞い降りた天女を表現していた。規模の大きい作品で、そのまま街頭に置いてしまっても違和感の無さそうな迫力としなやかさを持ち合わせている。
「お疲れ。良かった」
「ありがとう!」
「やっぱりあそこに葉を足してよかったよ!」
短く感想を語りながら五人はどうにか空いた席に潜り込む。いちご達の試合を見終えた人も既に移動していたようで、会場はほぼ満席だ。
試合は始まったばかりで、チーム小城がリーダーを中心にきびきびと動いている中、袴を着込んだ天王寺は出だしから大きな筆を持ち出し、流暢な筆遣いで「雅」の字を書き上げる。それを皮切りに作業が始まった。
「なんていうか・・・スイーツ作り自体を雅に演出しているようだ」
四人の美しい動作にみんなは見とれる。出場者の様子が気になって調べていたスピリッツ達の話だと、天王寺たちは準備期間に能を鑑賞したり博物館に赴いて日本の伝統文化を研究していたらしい。
一方、小城たちは小城が金にものを言わせて作らせた特製装置で高級フルーツをジュースにしはじめた。受け皿までの距離を出すことで、会場いっぱいにフルーツの香りを充満させている。
「それだけじゃない!ああやってスポットライトを当てることで・・・」
「すごい!ジュースが一斉に輝いて虹みたい!」
「単調で地味な裏ごし作業も、こうして演出を加えることで立派なパフォーマンスになるんだよ」
みんながフルーツの香りにうっとりとしている中、カフェがふとブルーマウンテンの香りを嗅ぎ付けた。見ると、天王寺側の一人がコーヒー豆を煎っている。
「なによ、この匂い!会場中に充満しているフルーツの香りを、よくもかき消してくれたわね!」
小城もそれに気づいて憤慨する。チーム天王寺は作業中でも巧みに小城達の存在感に押し負かされないように腕を振るってくる。
ここで、小城達が作ろうとしているものが明らかになって来た。ロココ調の豪華な冠。
「小城さん達、前よりもすごいと思わない?」
いちごが樹に耳打ちする。
確かに前回はいちごのデザインを盗んだことでテーマや完成度の点は高かったものの、技術では劣っていた。しかし、制作途中とはいえ見たところ抜かりはなさそうだ。フルーツの輝きが豪華さを見事に演出していて非の打ち所がない。
「あの作品、多分性に合ってるのよ。チョコレート使いで樫野とやり合う分には足りないものが色々あるけれど、ゴテゴテと高級感はさすが先輩の代名詞ね」
樹は冷静に語る。しかし、小城の方の話をしながらもその視線は心持ち天王寺側に向きかけている。
一方で、天王寺達は美しい所作のまま池に舞い降りた天女を表現していた。規模の大きい作品で、そのまま街頭に置いてしまっても違和感の無さそうな迫力としなやかさを持ち合わせている。