24話 本戦開幕!
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グランプリの日はあっという間にやってきた。本戦となると、観客も倍増している。樹は例によってルミとかなこの隣に収まっていた。
「樫野はチョコ細工、花房君は飴細工やな!」
「いちごちゃんと安堂君は、ケーキ本体を作ってるみたいだね」
三人がチームいちごの方を見ていると、不意にチーム立花の方からキレのあるリズミカルな音が聞こえて来た。見ると、四人一斉に材料を潰す作業を音や腕使いによってパフォーマンス化しているのであった。
「チーム立花のパフォーマンスが始まったで!」
本戦では、ケーキづくりをショーアップさせたパフォーマンスも採点される。予選に比べて遥かに芸術性や独創性が試されているのだ。
三人は思わずチーム立花の動きに目を見張った。立花達はやはり合成着色料を使わずに粉砕した紫芋やコケモモ、クチナシで色をつけるようだ。
一方のチームいちごも、小豆や抹茶の使用で天然素材の色を大切にしている。安堂が片手に友禅の切れ端を持って色を作っているのが見えている。
「残り十五分!」
「・・・もっともっと羽根を増やして!豪華に仕上げていくわよ!」
「分かった!」
立花達は完成近いクジャクを前に、緊迫感のある様子だ。チームいちごは教師陣の前に先ほどまで作っていた全ての花のパーツと土台を移動させ、神妙な顔をした花房がその前に膝をついた。
「いよいよ、チームいちごのパフォーマンスが始まるで!」
いちご達の考えたパフォーマンスは、花房による生け花風デコレーションだった。所作の美しさは母親譲り。観客がその上品さに盛り上がる中、きっちりと制限時間内にデコレーションは終わった。
シミュレーションを思い返しながら慎重にその出来を確認した樹は、四人に頷いてみせた。いちご達が「ありがとう」と片手を挙げてそれに応えるのを見て「本当に仲がいいな」とかなこは息を漏らした。
「それでは、採点いたします」
「・・・きゃあっ!」
採点が始まって一瞬後、チーム立花の側で悲鳴が上がった。作り上げた豪華なくじゃくが羽根の重さに耐えかねて崩壊しはじめたのである。
「そんな・・・!こんなことって・・・!!」
「下がって。審査中です」
先生方はアクシデントを気にもとめず、採点にうつる。結果は思いのほかすんなりと数値化されてしまった。
「ではチームいちごから。味・83点、技術・88点、テーマ・86点、芸術・88点、パフォーマンス・87点。トータルで500満点中432点」
まずまず良い成績のようで、いちご達は安心する。
「続いて、チーム立花。味・84点、技術・58点、テーマ・84点、芸術・55点、パフォーマンス・87点。合計368点」
くじゃくが壊れたことで技術と芸術が大幅に減点されて、チームいちごの完全勝利となったのだ。拍手があがるが、いちごは納得できないという顔をしていた。
「そんな・・・これじゃ立花先輩達がかわいそうだよ!あたし、もう一度やり直せないか、審査員に相談してくる!」
「天野!」
「天野さん!」
宣言通りずかずかと直談判に向かおうとするいちごを樫野ともう一人、立花が引き止める。彼女の声にいちごは驚いて振り返った。
「いいの、しっかり土台を作れなかったのは私たちのミスよ。しかも欲を出して本番で羽根の枚数を増やしてしまったのが仇になったわ。やっぱり私たちは華やかなグランプリケーキより素朴なスイーツの方が性に合っているのね」
立花はいちごにそう語ると、笑みを浮かべた。
「今回、つくづく思い知らされたわ!」
「立花先輩・・・」
清々しく語りつつも、立花の眼には拭いようの無い悔しさが映っているのだった。
「樫野はチョコ細工、花房君は飴細工やな!」
「いちごちゃんと安堂君は、ケーキ本体を作ってるみたいだね」
三人がチームいちごの方を見ていると、不意にチーム立花の方からキレのあるリズミカルな音が聞こえて来た。見ると、四人一斉に材料を潰す作業を音や腕使いによってパフォーマンス化しているのであった。
「チーム立花のパフォーマンスが始まったで!」
本戦では、ケーキづくりをショーアップさせたパフォーマンスも採点される。予選に比べて遥かに芸術性や独創性が試されているのだ。
三人は思わずチーム立花の動きに目を見張った。立花達はやはり合成着色料を使わずに粉砕した紫芋やコケモモ、クチナシで色をつけるようだ。
一方のチームいちごも、小豆や抹茶の使用で天然素材の色を大切にしている。安堂が片手に友禅の切れ端を持って色を作っているのが見えている。
「残り十五分!」
「・・・もっともっと羽根を増やして!豪華に仕上げていくわよ!」
「分かった!」
立花達は完成近いクジャクを前に、緊迫感のある様子だ。チームいちごは教師陣の前に先ほどまで作っていた全ての花のパーツと土台を移動させ、神妙な顔をした花房がその前に膝をついた。
「いよいよ、チームいちごのパフォーマンスが始まるで!」
いちご達の考えたパフォーマンスは、花房による生け花風デコレーションだった。所作の美しさは母親譲り。観客がその上品さに盛り上がる中、きっちりと制限時間内にデコレーションは終わった。
シミュレーションを思い返しながら慎重にその出来を確認した樹は、四人に頷いてみせた。いちご達が「ありがとう」と片手を挙げてそれに応えるのを見て「本当に仲がいいな」とかなこは息を漏らした。
「それでは、採点いたします」
「・・・きゃあっ!」
採点が始まって一瞬後、チーム立花の側で悲鳴が上がった。作り上げた豪華なくじゃくが羽根の重さに耐えかねて崩壊しはじめたのである。
「そんな・・・!こんなことって・・・!!」
「下がって。審査中です」
先生方はアクシデントを気にもとめず、採点にうつる。結果は思いのほかすんなりと数値化されてしまった。
「ではチームいちごから。味・83点、技術・88点、テーマ・86点、芸術・88点、パフォーマンス・87点。トータルで500満点中432点」
まずまず良い成績のようで、いちご達は安心する。
「続いて、チーム立花。味・84点、技術・58点、テーマ・84点、芸術・55点、パフォーマンス・87点。合計368点」
くじゃくが壊れたことで技術と芸術が大幅に減点されて、チームいちごの完全勝利となったのだ。拍手があがるが、いちごは納得できないという顔をしていた。
「そんな・・・これじゃ立花先輩達がかわいそうだよ!あたし、もう一度やり直せないか、審査員に相談してくる!」
「天野!」
「天野さん!」
宣言通りずかずかと直談判に向かおうとするいちごを樫野ともう一人、立花が引き止める。彼女の声にいちごは驚いて振り返った。
「いいの、しっかり土台を作れなかったのは私たちのミスよ。しかも欲を出して本番で羽根の枚数を増やしてしまったのが仇になったわ。やっぱり私たちは華やかなグランプリケーキより素朴なスイーツの方が性に合っているのね」
立花はいちごにそう語ると、笑みを浮かべた。
「今回、つくづく思い知らされたわ!」
「立花先輩・・・」
清々しく語りつつも、立花の眼には拭いようの無い悔しさが映っているのだった。