24話 本戦開幕!
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花房の実家は、本人の雰囲気とは裏腹に純日本家屋だった。
やって来て、何故作戦会議にこの場所が指定されたのか樹はすぐに理解する。先に着ていたいちごは花房の母に十二単を着付けてもらっていたのだ。この際だからと花房が樹にも上等そうな着物を着付けたがったので、樹はそれに従った。
「花房君、着付けはよくしているの?」
「母から習ってはいるよ。でも、実際に女の子を着付けるのは初めてだな」
言葉の割に慣れた調子で花房は手を動かしている。
彼はいつもそうだ。
樹は言われた通りに腕を伸ばしながら花房の様子を観察する。
口当たりの軽い言葉を吐いてばかりで、なんでもそつなくこなしてばかりで、余裕のある表情が絶えない。
でも、その目がいつでも真剣な色をしていることを知ったのはいつからだろう。
「どうしたの、樹ちゃん?そんなに見とれちゃって、やっと僕の魅力に気づいた?」
ふと目が合った。花房は笑みを浮かべてそんなことを言う。樹は「自意識過剰」と反射的に言い返した。
遅れて樫野と安堂もやって来て、着付けを終えた二人の姿に大いに驚いた。
「なかなか似合ってるでしょ?」
花房はにっこりと述べた。
「十二単ですー!」
「雅な気分をいちごちゃんに味わってもらおうと思って、母に着付けを頼んだんだ」
「どう?」
「とってもよく似合ってるよ」
「すげえ着膨れ」
「ほんとですわ」
「なによ!この着付け二時間もかかったんだから!」
いちごは樫野の評価に怒って迫ろうとしたが、裾につまづいて顔面から転んでしまう。やると思った、とみんなが心の中で呟いた。
「樹ちゃんの着付けは僕がしたんだよ」
「うん、東堂さんも似合ってる」
「お前、和服着ると老けるな」
「大人びて見えると言いなさいよ」
しばらく着物の話題を中心に一同は喋ったが、いちごも樹もしばらくするとすんなり着物を脱ぎ捨てた。
「雅って、華やかな反面大変なんだね・・・。着物は肩が凝るし、暑いし、歩きにくいし・・・」
動きづらくて散々痛い目にあったいちごは肩を鳴らす。ごきごきと見事な音が鳴って、思わずその場にいた全員がそちらを見た。
「でも、昔の貴族の人は、そんなことを微塵も感じさせずに、すました顔で十二単を着こなしていたのよね」
「十二単は、平安時代の貴族たちから生まれた衣装なんだ」
花房は説明をはじめる。
「当時、見栄っ張りだった貴族の女性達は、シルクの衣を何枚も重ねてその美しさを競った。華々しくて厳かな平安時代は、まさに今回のテーマ『雅』にぴったりだと思わないか?」
「なるほど・・・でも、随分と詳しいね?」
すらすらと語った花房に、安堂は問う。
「源氏物語を愛読していてね。光源氏には僕と通じる何かがあるんだ」
「へー・・・」
「言うと思ったわ」
四人はあからさまに白い目を向ける。しかし、テーマの発案自体は申し分無い。
「千年の都、京都・・・。たしかに平安時代をモチーフにするのも悪くないな」
「そうと決まれば、さっそくデザインを決めて行こうか」
花房がスケッチブックを掲げると同時、四人は頷いた。
やって来て、何故作戦会議にこの場所が指定されたのか樹はすぐに理解する。先に着ていたいちごは花房の母に十二単を着付けてもらっていたのだ。この際だからと花房が樹にも上等そうな着物を着付けたがったので、樹はそれに従った。
「花房君、着付けはよくしているの?」
「母から習ってはいるよ。でも、実際に女の子を着付けるのは初めてだな」
言葉の割に慣れた調子で花房は手を動かしている。
彼はいつもそうだ。
樹は言われた通りに腕を伸ばしながら花房の様子を観察する。
口当たりの軽い言葉を吐いてばかりで、なんでもそつなくこなしてばかりで、余裕のある表情が絶えない。
でも、その目がいつでも真剣な色をしていることを知ったのはいつからだろう。
「どうしたの、樹ちゃん?そんなに見とれちゃって、やっと僕の魅力に気づいた?」
ふと目が合った。花房は笑みを浮かべてそんなことを言う。樹は「自意識過剰」と反射的に言い返した。
遅れて樫野と安堂もやって来て、着付けを終えた二人の姿に大いに驚いた。
「なかなか似合ってるでしょ?」
花房はにっこりと述べた。
「十二単ですー!」
「雅な気分をいちごちゃんに味わってもらおうと思って、母に着付けを頼んだんだ」
「どう?」
「とってもよく似合ってるよ」
「すげえ着膨れ」
「ほんとですわ」
「なによ!この着付け二時間もかかったんだから!」
いちごは樫野の評価に怒って迫ろうとしたが、裾につまづいて顔面から転んでしまう。やると思った、とみんなが心の中で呟いた。
「樹ちゃんの着付けは僕がしたんだよ」
「うん、東堂さんも似合ってる」
「お前、和服着ると老けるな」
「大人びて見えると言いなさいよ」
しばらく着物の話題を中心に一同は喋ったが、いちごも樹もしばらくするとすんなり着物を脱ぎ捨てた。
「雅って、華やかな反面大変なんだね・・・。着物は肩が凝るし、暑いし、歩きにくいし・・・」
動きづらくて散々痛い目にあったいちごは肩を鳴らす。ごきごきと見事な音が鳴って、思わずその場にいた全員がそちらを見た。
「でも、昔の貴族の人は、そんなことを微塵も感じさせずに、すました顔で十二単を着こなしていたのよね」
「十二単は、平安時代の貴族たちから生まれた衣装なんだ」
花房は説明をはじめる。
「当時、見栄っ張りだった貴族の女性達は、シルクの衣を何枚も重ねてその美しさを競った。華々しくて厳かな平安時代は、まさに今回のテーマ『雅』にぴったりだと思わないか?」
「なるほど・・・でも、随分と詳しいね?」
すらすらと語った花房に、安堂は問う。
「源氏物語を愛読していてね。光源氏には僕と通じる何かがあるんだ」
「へー・・・」
「言うと思ったわ」
四人はあからさまに白い目を向ける。しかし、テーマの発案自体は申し分無い。
「千年の都、京都・・・。たしかに平安時代をモチーフにするのも悪くないな」
「そうと決まれば、さっそくデザインを決めて行こうか」
花房がスケッチブックを掲げると同時、四人は頷いた。