23話 校外活動!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「牛から絞ったミルクをしばらく置いておくと、上の方にクリームが浮いてきます。これが、生クリームです」
どうにか再び集合した五人は、小屋で飼育員が行う説明会に参加していた。
「そして、生クリームからはバターができます」
「はい!チーズはどうやってできるんですか?」
いちごは元気よく手を上げる。この場で素直に質問できる人間というのはかなり貴重だ。
「簡単に言えば、チーズはミルクから水分を抜いたものです。世界には数えきれないほどの種類のチーズがあって、その作り方も様々です」
一通り説明をきいて、五人は体験もののチラシが所狭しと貼られたコルクボードに向かった。観光向けということでかなり充実した内容だ。
「バター作り体験・・・チーズ作り体験・・・ピザ焼き体験・・・色々できるんだね・・・」
「たくさんあって迷うね!」
「ピザ焼き体験がいいんじゃない?あ、牛の乳搾り体験とか餌やり体験とかもあるね・・・」
花房は何故かちらりと樹を見る。樹はぎくりと目を瞬かせた。
「今日の目的は天野の勉強だ。やるなら、バター作りかチーズ作りとかだろ」
「そうね・・・バター作りかチーズ作りね」
樹は真面目に意見した樫野を強く支持する。ところが、いちごは話を聞かずに急に建物を飛び出した。相変わらずの謎の行動力だ。
「こんにちはー!」
勢い良く乗り込んだのは牛舎だ。牛の鳴き声を聞きつけたらしい。一人、掃除をしている年配の飼育員がいる。
「おい!勝手に入っていいのか!?」
「見て見て、牛がいっぱい!」
「人の話聞けよ!」
「すみません、お仕事の邪魔して」
安堂は、飼育員に一言詫びを入れた。
「いやいや。でもここは汚れてるから、きれいなところに行って遊んだ方がいい」
「見学させてもらっていいですか?」
「えっ?」
「えっ、それは・・・構わないけど」
「ありがとうございます!」
どうやらいちごはすっかり牛舎に興味をもったらしい。樹は思わず冷や汗をかきはじめた。
飼育員はいちご達が見学するというのでいつもの仕事を進めはじめた。一頭一頭に、名前と共に話しかけはじめた。
「へえ、牛に名前つけてるんですか?」
「もしかして、全部についてるんですか?」
「もちろん」
「でも、この牧場って、牛だけでも何百頭もいるんじゃ・・・」
「852頭全部についてる」
「そんなにですか!?」
樹は大声を上げる。いちご達も驚いたようだが、それとは種類の違う声だった。
「朝から晩まで毎日顔を突き合わせていれば、自然と覚えるよ」
続いて、彼は牛舎の外に出て、牧草をつまむと、口に含んだ。
「えっ、何してるんですか!?」
「草の成分を調べてるんだ。いい牛乳を出してもらうには、エサが大事だからね」
「へえ・・・」
それを聞いていちごも真似してみるが、ただまずいだけだった。味わう気さえ起きない。
「これは、長年の経験が成せる技ね」
「成分を調べて、毎日えさを変えてるんだよ」
「そこまで・・・すごいですね」
「おいしい牛乳を出してくれるのは牛達だよ。加工して製品にするのは他の人だし、ワシはすごくなんかないよ」
飼育員はのんびりと答えた。
「牛達の牛乳をみんなが美味しく飲み、食べてくれればいい。それがワシの願いだ」
彼の言葉に、五人は圧倒されるのだった。
「ところで・・・そっちの背の高い子、君、牛が苦手なのかな?」
「は、いえ・・・べ、別に・・・」
不意に飼育員が樹に話しかけ、樹は珍しく歯切れの悪い返答をした。
四人の視線が彼女に向く。
「さっき牛舎にいたときも、少し隣の彼の後ろにいたみたいだから」
樹はバツが悪く顔を赤くする。隣の花房がくすくすと笑う。
「えーっ、樹ちゃん、動物とか苦手なの!?」
「大声出さないでよ!だって、あいつら人の言うこと通じないのよ!」
「ははは、みんないい子たちだよ。折角だから触ってみたらどうだい?」
「えっ・・・えっ・・・?」
樹はおろおろと辺りを見回すが、みんなにやにやと見守っている。
再び牛舎に連れられ、おそるおそる手を伸ばしてみる。直前で振り返る。
「・・・かみませんか?」
「大丈夫だよ。みんな大人しい子達だ」
手があたたかい体毛に触れた。
「あ、やわらかい」
ぼそりと呟いた樹に続いていちごも牛に触れる。
「かわいいー!」
飼育員はその様子に、にこにこ笑う。彼の名前は、牛島というらしかった。
どうにか再び集合した五人は、小屋で飼育員が行う説明会に参加していた。
「そして、生クリームからはバターができます」
「はい!チーズはどうやってできるんですか?」
いちごは元気よく手を上げる。この場で素直に質問できる人間というのはかなり貴重だ。
「簡単に言えば、チーズはミルクから水分を抜いたものです。世界には数えきれないほどの種類のチーズがあって、その作り方も様々です」
一通り説明をきいて、五人は体験もののチラシが所狭しと貼られたコルクボードに向かった。観光向けということでかなり充実した内容だ。
「バター作り体験・・・チーズ作り体験・・・ピザ焼き体験・・・色々できるんだね・・・」
「たくさんあって迷うね!」
「ピザ焼き体験がいいんじゃない?あ、牛の乳搾り体験とか餌やり体験とかもあるね・・・」
花房は何故かちらりと樹を見る。樹はぎくりと目を瞬かせた。
「今日の目的は天野の勉強だ。やるなら、バター作りかチーズ作りとかだろ」
「そうね・・・バター作りかチーズ作りね」
樹は真面目に意見した樫野を強く支持する。ところが、いちごは話を聞かずに急に建物を飛び出した。相変わらずの謎の行動力だ。
「こんにちはー!」
勢い良く乗り込んだのは牛舎だ。牛の鳴き声を聞きつけたらしい。一人、掃除をしている年配の飼育員がいる。
「おい!勝手に入っていいのか!?」
「見て見て、牛がいっぱい!」
「人の話聞けよ!」
「すみません、お仕事の邪魔して」
安堂は、飼育員に一言詫びを入れた。
「いやいや。でもここは汚れてるから、きれいなところに行って遊んだ方がいい」
「見学させてもらっていいですか?」
「えっ?」
「えっ、それは・・・構わないけど」
「ありがとうございます!」
どうやらいちごはすっかり牛舎に興味をもったらしい。樹は思わず冷や汗をかきはじめた。
飼育員はいちご達が見学するというのでいつもの仕事を進めはじめた。一頭一頭に、名前と共に話しかけはじめた。
「へえ、牛に名前つけてるんですか?」
「もしかして、全部についてるんですか?」
「もちろん」
「でも、この牧場って、牛だけでも何百頭もいるんじゃ・・・」
「852頭全部についてる」
「そんなにですか!?」
樹は大声を上げる。いちご達も驚いたようだが、それとは種類の違う声だった。
「朝から晩まで毎日顔を突き合わせていれば、自然と覚えるよ」
続いて、彼は牛舎の外に出て、牧草をつまむと、口に含んだ。
「えっ、何してるんですか!?」
「草の成分を調べてるんだ。いい牛乳を出してもらうには、エサが大事だからね」
「へえ・・・」
それを聞いていちごも真似してみるが、ただまずいだけだった。味わう気さえ起きない。
「これは、長年の経験が成せる技ね」
「成分を調べて、毎日えさを変えてるんだよ」
「そこまで・・・すごいですね」
「おいしい牛乳を出してくれるのは牛達だよ。加工して製品にするのは他の人だし、ワシはすごくなんかないよ」
飼育員はのんびりと答えた。
「牛達の牛乳をみんなが美味しく飲み、食べてくれればいい。それがワシの願いだ」
彼の言葉に、五人は圧倒されるのだった。
「ところで・・・そっちの背の高い子、君、牛が苦手なのかな?」
「は、いえ・・・べ、別に・・・」
不意に飼育員が樹に話しかけ、樹は珍しく歯切れの悪い返答をした。
四人の視線が彼女に向く。
「さっき牛舎にいたときも、少し隣の彼の後ろにいたみたいだから」
樹はバツが悪く顔を赤くする。隣の花房がくすくすと笑う。
「えーっ、樹ちゃん、動物とか苦手なの!?」
「大声出さないでよ!だって、あいつら人の言うこと通じないのよ!」
「ははは、みんないい子たちだよ。折角だから触ってみたらどうだい?」
「えっ・・・えっ・・・?」
樹はおろおろと辺りを見回すが、みんなにやにやと見守っている。
再び牛舎に連れられ、おそるおそる手を伸ばしてみる。直前で振り返る。
「・・・かみませんか?」
「大丈夫だよ。みんな大人しい子達だ」
手があたたかい体毛に触れた。
「あ、やわらかい」
ぼそりと呟いた樹に続いていちごも牛に触れる。
「かわいいー!」
飼育員はその様子に、にこにこ笑う。彼の名前は、牛島というらしかった。