21話 王子様御一行
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いちごを驚かせようと、四人は連絡せずに天野家を訪れた。いちごの両親は樹達の訪問に尋常ではないほど驚き、何やらいちごの学校での様子やらグランプリの話やら、はては樹たちの誕生日がいつなのかなど脈絡のないことを質問攻めしてきたが、最後にはいちごが妹と近所の高台の方にいることを教えてくれた。
「天野さんのご両親って若々しいなあ・・・」
「ええ、パワフルなのは親譲りみたいね」
「妹さんと一緒にいるなんて、仲がいいんだね」
「あいつ、おせっかいだからな」
勝手なことを言い合っていると、目的地に着いた。草のアーチを抜けた先の見晴らしの良いスポットに天野姉妹は居た。
聞こえてくる様子だと、いちごは妹の相談にのっているようだった。悪い気もするが聞き耳を立ててみる。
妹のなつめという子はどうやらピアノをやっているらしいが、教室に上手い子が入ってから、自分のピアノへの態度が変わってしまって全然楽しくなくなったのだという。
「どうしよう、出る?」
「空気読みなさいよ」
「もうしばらく様子を見てみよう」
四人はごそごそと体制をつくる。
いちごは妹の話を聞き、一言答えた。
「なーんだ、そんなことかあ!」
いつものように快活な調子で。
「・・・っ!?ほんとその子上手いんだから!」
「それくらいで落ち込むことなんか無いよ!そんなことでピアノやめてたら、あたしなんか100回以上パティシエールやめたことになっちゃうよ!」
「あんなに美味しいタルトが作れるのに・・・?」
いちごは信じられないとでも言いたげな妹の視線を受けて、「まあ聞いてよ」と腕を組んだ。
「アンリ先生の推薦ってことだけで、全然実力無いのにスイーツ王子がいるクラスでトップのAグループに入れられちゃったんだよ!」
「スイーツ王子・・・?」
自分たちの話が出たので、三人はいっそう耳を傾ける。樫野がひょっこりとあちら側へ顔を出してみたが、どうやら気づかれていなさそうだ。
「飴細工をはじめ、デコレーションが超上手い花房くん。『夢月』っていう和菓子屋さんの息子で、和スイーツが得意な安堂君。チョコレートのスペシャリストの樫野!」
いちごは辞書のように三人の肩書きを並べた。
「グループ、男の人だけなの?」
「ううん、もう一人、東堂樹ちゃん!特にスタイルは無いみたいなんだけど、いつも一番手際よくて仕上げまで完璧なの!本人はちょっとクールだけど先生みたいに優しいスイーツ作りで憧れちゃう・・・いつもそうできるってけっこう難しいんだよね・・・」
樹は自分が紹介されたことに少し驚いた。
みんなみたいに取り柄も無くて、つまらないスイーツ作りばかりしていると思っていた。
いちごは自分のことをそんな風に見ていたのか。
照れくさいじゃないか。
「お姉ちゃん、その人のことすごい好きなんだね」
「うん、親友だもん!」
「・・・樹ちゃん、なにあっち向いてるの」
樹は照れくささのあまりいちご達から目を背けていた。
「天野さんのご両親って若々しいなあ・・・」
「ええ、パワフルなのは親譲りみたいね」
「妹さんと一緒にいるなんて、仲がいいんだね」
「あいつ、おせっかいだからな」
勝手なことを言い合っていると、目的地に着いた。草のアーチを抜けた先の見晴らしの良いスポットに天野姉妹は居た。
聞こえてくる様子だと、いちごは妹の相談にのっているようだった。悪い気もするが聞き耳を立ててみる。
妹のなつめという子はどうやらピアノをやっているらしいが、教室に上手い子が入ってから、自分のピアノへの態度が変わってしまって全然楽しくなくなったのだという。
「どうしよう、出る?」
「空気読みなさいよ」
「もうしばらく様子を見てみよう」
四人はごそごそと体制をつくる。
いちごは妹の話を聞き、一言答えた。
「なーんだ、そんなことかあ!」
いつものように快活な調子で。
「・・・っ!?ほんとその子上手いんだから!」
「それくらいで落ち込むことなんか無いよ!そんなことでピアノやめてたら、あたしなんか100回以上パティシエールやめたことになっちゃうよ!」
「あんなに美味しいタルトが作れるのに・・・?」
いちごは信じられないとでも言いたげな妹の視線を受けて、「まあ聞いてよ」と腕を組んだ。
「アンリ先生の推薦ってことだけで、全然実力無いのにスイーツ王子がいるクラスでトップのAグループに入れられちゃったんだよ!」
「スイーツ王子・・・?」
自分たちの話が出たので、三人はいっそう耳を傾ける。樫野がひょっこりとあちら側へ顔を出してみたが、どうやら気づかれていなさそうだ。
「飴細工をはじめ、デコレーションが超上手い花房くん。『夢月』っていう和菓子屋さんの息子で、和スイーツが得意な安堂君。チョコレートのスペシャリストの樫野!」
いちごは辞書のように三人の肩書きを並べた。
「グループ、男の人だけなの?」
「ううん、もう一人、東堂樹ちゃん!特にスタイルは無いみたいなんだけど、いつも一番手際よくて仕上げまで完璧なの!本人はちょっとクールだけど先生みたいに優しいスイーツ作りで憧れちゃう・・・いつもそうできるってけっこう難しいんだよね・・・」
樹は自分が紹介されたことに少し驚いた。
みんなみたいに取り柄も無くて、つまらないスイーツ作りばかりしていると思っていた。
いちごは自分のことをそんな風に見ていたのか。
照れくさいじゃないか。
「お姉ちゃん、その人のことすごい好きなんだね」
「うん、親友だもん!」
「・・・樹ちゃん、なにあっち向いてるの」
樹は照れくささのあまりいちご達から目を背けていた。