21話 王子様御一行
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「窓からちらっと見えたから」
招き入れられ、できたてのチェリーパイを振る舞われた河澄は笑いながらここにきた理由を単純明快に語った。
「いや、最初幻影かなんかかと思ったけど。リアル東堂だったわ」
「久しぶりね」
「ほんと、久しぶりだな。今まで何やってたの?」
「何って、学校よ。お菓子作ったり勉強したり」
「えっ、聖マリーって勉強もしなきゃいけなかったのかよ!」
河澄と似たようなことを、いちごが転校して来たときに言っていた気がする。樹は思わず吹き出しそうになった。
「勉強しなくていいはずないでしょう。あと、今はグランプリをやってるから出る人も出ない人も夢中になってるわ。私も友達が出てるから応援してるの」
「友達・・・」
河澄は思いっきり意外そうな目で樹を見た。
「友達いるんだ・・・?」
「ええ、クラスで一緒のグループの四人に、Cグループの四人も・・・先輩方はあれはなんなのかしらね・・・あと、寮で同室の子に、それと・・・」
アリスのことやスピリッツのことをどういうべきか分からず、樹は口ごもった。
「びっくりした。東堂、こっちじゃ誰とも全然話さなかったじゃん!」
「・・・そうだった、ような・・・」
「そうだったって!やっぱ趣味とか合うと違うか?」
「もう、趣味なんかじゃないわよ」
樹は残りのパイにラップをかけながら少し笑った。これは家族の分に置いておこうと思う。
「これを生きる道にしたいって。そういう風に思ってる人ばかりよ。聖マリー学園は」
「・・・なんか変わったな、東堂」
「・・・そう?」
「うん、表情とかきれいになった」
河澄は真顔で言う。樹は一瞬固まった。そのとたんに、樹の携帯が鳴った。
「・・・ちょっと、出るから」
樹が携帯をとると、根付けが揺れた。着信表示は樫野だ。
「全く・・・何よ、別行動って話だったのに。孤独に身を置かずに」
『悪いかよ。伯父さんのパティスリーが閉まってたんだ』
「じゃあ、どこに行くの」
『それを今話そうとしてたんだよ・・・前々から、天野のばあさんのいちごタルトってのが気になってたからな、花房も思わしくないみたいだし、皆でそっちに合流するって話になってる。・・・お前は今何してるんだ?』
「ああ、家に帰ってまだオーブンがちゃんと動くか試していたのよ。それで、友達が来たのでちょっとお茶してたわ」
樹は河澄に視線をちらりと向けながら言った。
『友達か・・・いたんだな。じゃあどうするんだ?行くか?』
「そうね・・・行くわ」
樹は集合場所をきいて、電話を切った。河澄が満面の笑みでこちらを見ていた。
「今の、学校の友達?」
「そう、同じグループの」
「俺って、友達だった!」
河澄が嬉しそうに声を上擦らせる。なんのことだと樹は思ったが、そういえば彼のことを友達だと言ったことが無かった。
「・・・なによ、そのぐらいで」
「だって、全然音沙汰ないからさ、もう何とも思われてないのかって思ってたし」
「そんなことないわよ」
樹は照れくさくなって少し頬を染めた。
「で、なんか行くって話っぽかったけど・・・」
「そうだったわ、私これから友達と合流するの。今日は外部で個人練って話だったんだけどね。悪いけど、また今度会いましょう」
「うん、待ってる」
河澄は笑みを浮かべてうなずくのだった。樹も目を細め、にっこりと笑い返した。
招き入れられ、できたてのチェリーパイを振る舞われた河澄は笑いながらここにきた理由を単純明快に語った。
「いや、最初幻影かなんかかと思ったけど。リアル東堂だったわ」
「久しぶりね」
「ほんと、久しぶりだな。今まで何やってたの?」
「何って、学校よ。お菓子作ったり勉強したり」
「えっ、聖マリーって勉強もしなきゃいけなかったのかよ!」
河澄と似たようなことを、いちごが転校して来たときに言っていた気がする。樹は思わず吹き出しそうになった。
「勉強しなくていいはずないでしょう。あと、今はグランプリをやってるから出る人も出ない人も夢中になってるわ。私も友達が出てるから応援してるの」
「友達・・・」
河澄は思いっきり意外そうな目で樹を見た。
「友達いるんだ・・・?」
「ええ、クラスで一緒のグループの四人に、Cグループの四人も・・・先輩方はあれはなんなのかしらね・・・あと、寮で同室の子に、それと・・・」
アリスのことやスピリッツのことをどういうべきか分からず、樹は口ごもった。
「びっくりした。東堂、こっちじゃ誰とも全然話さなかったじゃん!」
「・・・そうだった、ような・・・」
「そうだったって!やっぱ趣味とか合うと違うか?」
「もう、趣味なんかじゃないわよ」
樹は残りのパイにラップをかけながら少し笑った。これは家族の分に置いておこうと思う。
「これを生きる道にしたいって。そういう風に思ってる人ばかりよ。聖マリー学園は」
「・・・なんか変わったな、東堂」
「・・・そう?」
「うん、表情とかきれいになった」
河澄は真顔で言う。樹は一瞬固まった。そのとたんに、樹の携帯が鳴った。
「・・・ちょっと、出るから」
樹が携帯をとると、根付けが揺れた。着信表示は樫野だ。
「全く・・・何よ、別行動って話だったのに。孤独に身を置かずに」
『悪いかよ。伯父さんのパティスリーが閉まってたんだ』
「じゃあ、どこに行くの」
『それを今話そうとしてたんだよ・・・前々から、天野のばあさんのいちごタルトってのが気になってたからな、花房も思わしくないみたいだし、皆でそっちに合流するって話になってる。・・・お前は今何してるんだ?』
「ああ、家に帰ってまだオーブンがちゃんと動くか試していたのよ。それで、友達が来たのでちょっとお茶してたわ」
樹は河澄に視線をちらりと向けながら言った。
『友達か・・・いたんだな。じゃあどうするんだ?行くか?』
「そうね・・・行くわ」
樹は集合場所をきいて、電話を切った。河澄が満面の笑みでこちらを見ていた。
「今の、学校の友達?」
「そう、同じグループの」
「俺って、友達だった!」
河澄が嬉しそうに声を上擦らせる。なんのことだと樹は思ったが、そういえば彼のことを友達だと言ったことが無かった。
「・・・なによ、そのぐらいで」
「だって、全然音沙汰ないからさ、もう何とも思われてないのかって思ってたし」
「そんなことないわよ」
樹は照れくさくなって少し頬を染めた。
「で、なんか行くって話っぽかったけど・・・」
「そうだったわ、私これから友達と合流するの。今日は外部で個人練って話だったんだけどね。悪いけど、また今度会いましょう」
「うん、待ってる」
河澄は笑みを浮かべてうなずくのだった。樹も目を細め、にっこりと笑い返した。