21話 王子様御一行
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樫野復帰から数日たった頃だった。
この土日は各自のスキルアップをする、などと樫野が発案してそれが可決されたため、一同は散り散りになることとなった。
安堂は実家へ行き、樫野は叔父が経営するというパティスリー、花房は東京へローズウォーター探し、いちごはおばあさんが昔経営していて今は叔父さんが引き継いだ店へ行くという。
妙に本業と関わりが深い面子ばかりだが、樹は店をやっている知り合いなどいないので実家へ帰ってみることにした。
「ただいま・・・って、留守じゃない」
樹が正月休みぶりに家の中に入ってみるも、そこはもぬけの殻だった。事前に連絡しなかったのがまずかったらしく、両親は親戚の家へ行っていたのだ。電話越しに来ないかと誘われたが、用があるのは実家なので断ってしまった。
(私の部屋・・・も正月のまま、キッチンは・・・やっぱりきれいにしてる。お母さん、こんなオーブン絶対に使わないのに)
樹はキッチン中の機材を見て回った。祖母が亡くなり、自分も寮へ入り、お菓子を作る者がいなくなっても母はここを大切に守っていたのだった。
(・・・久しぶりにあたためてやりますか)
樹はパイでも焼こうと決めて、家を出た。材料をスーパーへ買いに行くのも久しぶりだ。学園の中でものを調達しているのとは気分も違う。
(アメリカンチェリーとラズベリー、カスタード作らないと・・・)
食料品売り場で買うものを吟味していると、同年代の女子が目に入った。思わずさっと身を隠す。
どことなく後ろめたかった。正月時の帰省の際も、同級生とは全く会わなかったのだ。
樹はそそくさと家へ帰った。
(そういえば、河澄くんにも会ってない・・・一回手紙は出したけど・・・)
作業を終え、オーブンから美味しそうな匂いが漂って来た頃、樹はそんなことを考えていた。
そのとき、玄関の呼び鈴が鳴った。配達だろうか、と樹は印鑑を探し当てて戸口へ急いだ。
「はい・・・」
扉を開けたら、すぐそこに件の河澄が驚いた顔をして立っていた。
この土日は各自のスキルアップをする、などと樫野が発案してそれが可決されたため、一同は散り散りになることとなった。
安堂は実家へ行き、樫野は叔父が経営するというパティスリー、花房は東京へローズウォーター探し、いちごはおばあさんが昔経営していて今は叔父さんが引き継いだ店へ行くという。
妙に本業と関わりが深い面子ばかりだが、樹は店をやっている知り合いなどいないので実家へ帰ってみることにした。
「ただいま・・・って、留守じゃない」
樹が正月休みぶりに家の中に入ってみるも、そこはもぬけの殻だった。事前に連絡しなかったのがまずかったらしく、両親は親戚の家へ行っていたのだ。電話越しに来ないかと誘われたが、用があるのは実家なので断ってしまった。
(私の部屋・・・も正月のまま、キッチンは・・・やっぱりきれいにしてる。お母さん、こんなオーブン絶対に使わないのに)
樹はキッチン中の機材を見て回った。祖母が亡くなり、自分も寮へ入り、お菓子を作る者がいなくなっても母はここを大切に守っていたのだった。
(・・・久しぶりにあたためてやりますか)
樹はパイでも焼こうと決めて、家を出た。材料をスーパーへ買いに行くのも久しぶりだ。学園の中でものを調達しているのとは気分も違う。
(アメリカンチェリーとラズベリー、カスタード作らないと・・・)
食料品売り場で買うものを吟味していると、同年代の女子が目に入った。思わずさっと身を隠す。
どことなく後ろめたかった。正月時の帰省の際も、同級生とは全く会わなかったのだ。
樹はそそくさと家へ帰った。
(そういえば、河澄くんにも会ってない・・・一回手紙は出したけど・・・)
作業を終え、オーブンから美味しそうな匂いが漂って来た頃、樹はそんなことを考えていた。
そのとき、玄関の呼び鈴が鳴った。配達だろうか、と樹は印鑑を探し当てて戸口へ急いだ。
「はい・・・」
扉を開けたら、すぐそこに件の河澄が驚いた顔をして立っていた。