3話 新たな転校生
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夕食の席では、ルミがいちごを探しまわっているようだった。授業の後で姿を消したのだという。いつものようにひとりで席を陣取っている樹にも話しかけたぐらいだから、余程切羽詰まっているらしい。だが、そんな彼女も樫野が怒鳴っている間、いちごの味方はできなかった。それは、樫野の言っていることが正論だったからだ。ルミだけではなく、花房たちも「あれは言い過ぎかも」とは思っていたが反論の余地はまったくなかった。
(まあ、こたえるわよね・・・でもさすがに私も驚いたわ)
樹はいちごの心情を察しながらも、まだ驚きを隠せなかった。アンリ先生の推薦というから、樹は皆と同じく高等部生徒会長にしてアンリ先生の一番弟子、ここ日本校の看板とも言える天才少女の天王寺麻里のようなイメージを転校生に抱いていたのだ。
(まあ、あんな完璧人間みたいな人、そうそういたら困るけれど)
しかし、孤立無援とはいえ一度言われたくらいで失踪するとは、あまり骨のない子だと樹は辛辣な評価を下した。アンリ先生に何を認められたのかは知らないが、のこのこと着の身着のままやってきたところまではいい度胸だが、これでは示しがつかない。
(あの子ともうまくやっていかなければいけないのかしら・・・無理ね)
樹は食事を終えると、息をつきながらなんとなく実習室へ向かった。声がする。覗いてみると、練習しているのはいちごだ。その横には焦げたクレープが積み重なっている。練習をしているのか、と樹は先ほどの評価を下したことが少し申し訳なくなった。しかし、どうしてひとりでよくしゃべるのだろうか。
(・・・ていうか、進歩しないわね・・・あれだけ焼いてまだ焦げてるとか・・・あの分厚いのはなにかしら、パンケーキ?)
樹は口元を押さえて思わず観察しはじめた。いちごはひとりてんてこ舞いしながらクレープを焼いている。材料が使い放題なので、成功するまでやる気らしい。
(あ、まともなの焼けた)
しばらくして、樹は思わずつぶやきそうになった。いちごもその出来に歓声をあげる。それにしても、一人の練習にしては声が大きかった。
(他にいるのかしら・・・加藤さんとか?)
樹はいちごの視界に入らないように注意しながら窓からそっと大きく顔を出した。その瞬間、樹は弾けるようにドアから背を向け、小走りにその場を去った。
樹は見てしまったのだ。いちごの隣にいる、羽の生えたとても小さな少女を。
(まあ、こたえるわよね・・・でもさすがに私も驚いたわ)
樹はいちごの心情を察しながらも、まだ驚きを隠せなかった。アンリ先生の推薦というから、樹は皆と同じく高等部生徒会長にしてアンリ先生の一番弟子、ここ日本校の看板とも言える天才少女の天王寺麻里のようなイメージを転校生に抱いていたのだ。
(まあ、あんな完璧人間みたいな人、そうそういたら困るけれど)
しかし、孤立無援とはいえ一度言われたくらいで失踪するとは、あまり骨のない子だと樹は辛辣な評価を下した。アンリ先生に何を認められたのかは知らないが、のこのこと着の身着のままやってきたところまではいい度胸だが、これでは示しがつかない。
(あの子ともうまくやっていかなければいけないのかしら・・・無理ね)
樹は食事を終えると、息をつきながらなんとなく実習室へ向かった。声がする。覗いてみると、練習しているのはいちごだ。その横には焦げたクレープが積み重なっている。練習をしているのか、と樹は先ほどの評価を下したことが少し申し訳なくなった。しかし、どうしてひとりでよくしゃべるのだろうか。
(・・・ていうか、進歩しないわね・・・あれだけ焼いてまだ焦げてるとか・・・あの分厚いのはなにかしら、パンケーキ?)
樹は口元を押さえて思わず観察しはじめた。いちごはひとりてんてこ舞いしながらクレープを焼いている。材料が使い放題なので、成功するまでやる気らしい。
(あ、まともなの焼けた)
しばらくして、樹は思わずつぶやきそうになった。いちごもその出来に歓声をあげる。それにしても、一人の練習にしては声が大きかった。
(他にいるのかしら・・・加藤さんとか?)
樹はいちごの視界に入らないように注意しながら窓からそっと大きく顔を出した。その瞬間、樹は弾けるようにドアから背を向け、小走りにその場を去った。
樹は見てしまったのだ。いちごの隣にいる、羽の生えたとても小さな少女を。