ことこと、と鍋の音がする。優しいスープの香りがリビングに漂う。
たまに冷蔵庫を開けたりして「他に何か作れそうなもの…」とシータは考えていた。何故なら今日は2週間ぶりにラーマが帰ってくるのだ。
きっと疲れているだろう。だから少し豪華にシータは夕ご飯を作っている。
部屋の隅などに小さめの花を飾りもう一度部屋の掃除の確認をして、あとは玄関のチャイムが鳴るのを待ってみてる。
時間はもう8時半を過ぎていた、シータはちらりと時計を確認しながらソファでそわそわとしていた。
「…あともう少し、かな」
時間が少し遅くなるのは気にしない。それはいつものことだったから。
お互い会える時間は少なめだけれども、その少しの時間が幸せだから。

気が付いたら30分以上ソファで寝てしまっていた
「あ、私寝ちゃった…あれ？」肩には毛布がかかっていた。
誰かがかけてくれた？「！」ハッとしたシータはパタパタとキッチンに向かった。「ラーマ！」
「ああシータ起きたか、余を待っていてくれていたのだな」
ははは、と笑うラーマにシータはぎゅうっと抱きつき「おかえりなさい、ラーマ」

お互いが入浴をすませてほうっとした時間になりシータが温かいコーヒーとココアを用意し、お互い最近あった嬉しかったこと悲しかったことを話し合った。シータはお隣の奥様と仲良くなれたこと、悲しいのはなかなかラーマに会えなかったこと。ラーマは忙しいけれど中々良い業績を上げられたこと、悲しいのはやはりシータに会えないこと。
「よかった会えなくて悲しいのは余だけではなくて、よかった」
ふふ、と笑うラーマにシータは少し頬を赤らめ「私も、会えないのは寂しかったんですよ、でもよかった無事に帰ってきてくれて」