頑固な主人公
白い鳥(短編)
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「僕が最初に見た時は、白い鳥だったんだよ」
「お、おう……」
アタリは零夜がプレイヤーを知っている様子だったので、どこで会ったのかと聞いていたのだが。
その数秒後にアタリは後悔していた。
「歌が上手だけど、飛ぶのが苦手な小さい子だったんだ」
「へぇ~」
(何言ってるか全ッ然わかんねぇ……、聞くんじゃなかった……)
意味不明、これに過ぎる。零夜の思考はぶっ飛び過ぎて、理解できそうにもない。
「聞いているのかい?」
「う、うん、聞いてる……」
誰か助けてくれないだろうか、そう思って周りを見回すと。
(プレイヤー……! めっちゃいいところに!)
「おい、プレイヤー! ちょっとこっち来いよ」
「まだ話の途中なんだけどな」
そんな零夜の言葉をひとまず無視してプレイヤーを呼ぶと彼女は返事をして寄って来てくれた。
「何の話してたの?」
「君と初めて出会った時の話だよ、その時確かに君は白い小鳥だった」
「え? う、うん……」
「覚えていないのかい?」
覚えていない、と答えてくれる事をアタリは願っていたのだが。
「うーん……覚えていないと言うか……そういうお話は昔書いた気がする」
「か、書いた……?」
うん、とプレイヤーは頷いた。
「白い鳥が主人公のお話。歌が好きだけど飛ぶのはへたくそな白い鳥が、
目的地を探してずっと飛んで行くんだ」
「最後はどうなるんだ?」
「分かんない、完結させてないもん。でもきっと”落ちる”時に死んじゃうんだろうね、
ずっと飛びつづけて落ちて死んじゃうのは怖かったけど、結局命って巡るじゃん?」
「?」
アタリが首をかしげると、プレイヤーは答えた。
「体を構成しているものって、小さく小さく分解されて、この星に残るんだ。
消える事なんてないんだよ。それがもし植物に再統合されて他の命に食べられたとしたらどうなる?」
「また……自分とこに戻って来る」
そういうこと、とプレイヤーは笑った。
「君は本当に、そんな事を考えているんだね。それはきっと君が”集合意識”の一部なんだ。
是非僕の所に来ないかい?」
「”それは”みんなでしょ?」
「???」
アタリはついて行けない。
「それを認識できる君が欲しいって、僕はずっと言ってるんだけどね」
「……さっきさ、飛んでる途中に落ちて死ぬっていったじゃん。
その鳥は結局最後まで目的地にたどり着けないで終わるのか?」
「どうだろうね、その先は誰も知らないよ。
たどり着いた場所が目的地だったか、そうじゃなかったかなんて」
「……そ、そっか」
というか、彼女はこんなに難しい事を考えていたのか、と妙な気分になる。
「けど僕は、最期の最期に君がたどりつく場所が美しい場所であると願うよ」
プレイヤーは、そうだといいな、と笑うのだった。
(結局プレイヤーと零夜の関係なんも分かんなかったな……)
分かった事と言えば、零夜もプレイヤーも思考がぶっとんでいるということくらいだ。
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