プレイヤーに縁談の話が来たようです(中編)
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「プレイヤーさん元気ないです……」
ソーンがしゅんとした様子でアダムに言った。
「そうだな……」
たしか縁談の返事は今日までと聞いていたか。結局どうするのか少し聞いて来るか、
と思って歩き出したところだ。たまたま廊下の向こうからマルコスが歩いて来る。
「マルコスさん、プレイヤー殿をみかけませんでしたか?」
「え、あぁ……」
マルコスの反応が微妙で、アダムは心配になる。
「何かあったんですか?」
「昨日の晩ね……」
「……パニック?」
こく、とマルコスが頷いた。
「電話で凄い言い合いをしてると思ったんだけど……」
マルコスが昨日の夜にあった話をしてくれた。
「自分の髪を……」
「凄い勢いで引きちぎっててさ、話がまともに聞こえてなさそうだったから、今日はいないんだ」
アダムは痛々しい話しの内容に眉をしかめる。
「原因は縁談の事ですか……?」
「そうだね」
「……そこまで心労がたまるのであれば、行く必要はないのでは?」
「ダメだよ、全然。僕の声も聞こえてなかったもん。……それとね」
マルコスがアダムにかるく耳打ちする。
「な……」
内容はこうだ、プレイヤーは過去に大人の男性に性的暴力を受けた事、それから大人の男性か苦手な事。
かなり衝撃の内容だが、ソーンがいるので声はあげなかったが。
「兄様……?」
アダムの表情が変わった事に気づいたソーンが怪訝そうな顔をする。
「なんの話をしているのですか?」
「ソーンはいいんだよ」
「プレイヤーさんの事じゃないんですか?」
ソーンがアダムを見上げて言った。いつのまにか聡くなっている弟をアダムは少し驚いた表情で見た。
「ぼ、僕だって。ずっと子供じゃないです!
兄様がそんなに表情を変えるのはプレイヤーさんの時だけです!」
「……、そうだな。……プレイヤー殿が昔男性に暴力を振るわれた事があるらしいんだ。
それで縁談相手にも同じ事をされるかもしれないと思っているのかもしれない」
「なら、無理して行く事ないです。怖いものは、やっぱり怖いですから……」
「……それで、全部解決するならいいんだけどね」
「……プレイヤーさんは、誰にも守ってもらえないのですか……?
ほんとに一人で立ち向かわないといけないんですか……?」
ソーンが悲しそうに言った。
「……なら僕たちは、どうしてここにいるのですか……?」
「ソーン……」
「みんながみんな、ソーンやアタリ君みたいな人だったなら、いいんだけどね」
そんなに、上手くいかないのが、この世界の残酷さだった。
ふと、マルコスが何かに気づいたようにポケットに手を入れた。
「メールですか?」
「うん、アタリ君からだね。……、……プレイヤーさん行くんだって」
「プレイヤー殿……」
「僕、行って来ます……!」
「ちょ、ソーン。君が行ったって尚更状況が混乱するだけだよ」
場所も知らないはずだが、ソーンはあてもなく走って行ってしまう。
さらにもう一通マルコスのスマホに連絡が入る。それを見てマルコスは呆れたため息を着いた。
「マルコスさん……?」
「アタリ君も行くって」
マルコスは諦めたようにスマホの操作を行うと、ポケットに戻した。
「返信したんですか?」
「僕も行くって」
「え、大丈夫なんですか?」
「遠くからばれないように着けるだけだよ。ハイスペックニートを舐めないでよね?」
マルコスは笑ってアダムを見た。
「アダムはお留守番する?」
「もちろん俺も行きますよ」
アダムは笑ったのだった。