プレイヤーに縁談の話が来たようです(中編)
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「……プレイヤー、どうしたんだい? 調子でも悪いのか?」
零夜は調査協力をいつものようにプレイヤーに頼んでいたのだが。
いつも冷たいプレイヤーの手がいつもより一層冷たい気がした。
「違う……と思うけどな」
「……?」
「零夜の手……あったかいね」
「プレイヤー?」
「……」
プレイヤーの表情が僅かに曇る、いつものプレイヤーより、感情がさざめいて、
それによってできた波紋でプレイヤーの深い記憶をうまく覗けない。
たしかにいつも全体的にうっすら靄がかかったような状態ではあるのだが、
今はさらに彼女の波動を受け取る事が難しい。
(なんだ……?)
浅い、浅い記憶だ。今まで零夜が繋がろうと試みていた魂レベルの記憶ではない。
今プレイヤーが存在している現世で彼女自身が受けた記憶。なにせ、その記憶の波紋が大きすぎて、
他が見えないような状態だった。
今までこんな記憶が接続領域に出てくることはなかったのだが。零夜は目を閉じて、その波紋の原因を探る。
ざわめきの中の男性の声、体に触れる生温い手。個室、プレイヤーの周りにいる男性たち。
困惑、悪寒、恐怖。ばちん、と弾けて領域が割れる。
がたんっ、と大きな音がして。手が離れたと思ったら、プレイヤーは椅子から立ち上がっていた。
困惑、悪寒、恐怖、接続領域で感じたものと、同じ表情で、プレイヤーは自身の手を握っていた。
「プレイヤー……? 大丈夫かい」
「…………」
プレイヤーは複雑な表情で、やや後ろにさがる。
「……ごめん、今日は、もういい……?」
「……そうだね、もう戻ってくれて構わないよ」
プレイヤーはすぐに踵を返すと部屋を出て行った。
「……」
これほどにプレイヤーの感情がさざめくのは、最近あった出来事に原因があると考えて間違いない。
今プレイヤーから受け取った情報からなにかが分かるかと言えば零夜の場合そうはならないのだが。
白い鳥は捕食されやすい、その美しさを隠すの事が難しいためだ。
さっき領域が割れたのは、プレイヤーからの強い拒絶を受けたからだろう。
原因は今ひとつ分からないが、取り敢えずこれ以上の詮索はやめたのだった。