ただの、何でもない一日(短編)
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マルコスは伸びをしながら廊下を歩いていたのだが、外出の準備をするプレイヤーを見かけて声をかける。
「プレイヤーさんどっかいくのぉ?」
「……あぁ。うん、そうだねちょっと最寄りのショッピングモールに」
ショッピングモールと聞いて、マルコスはそのモールにアニメの専門店があった事を思い出す。
そう言えば最新のフィギュアが発売されたのだった。
「あー……」
「?」
「プレイヤーさん、僕も行っていい?」
えっ、とプレイヤーは少し驚いた顔をする。それはそうだマルコスはほぼ外に出ない。
「珍しいね……いいけど、何かあるの?」
「エボリリのフィギュアが……」
そこまで言うとプレイヤーは「あー」と笑った。
「なるほどね」
「ネットで注文しても届くのに時間がかかるし、
送料もかかるからさぁ……直で行った方が安くなるんだよねぇ」
「そらそうだ」
とプレイヤーは笑う。なら一緒に行こうという話になったのだった。
「お、珍しいな黒コス外出か?」
「エボリリのフィギュアがちょっと前に発売されてさぁ」
なるほどなぁ、とプレイヤーの弟が姉と似た表情で笑う。
「そうだ、オレのマルコスパーカーでも着て行くか? オリジナルマルコスのオレンジパーカーだけど」
弟がからかうように言った。
「えっ……いや、流石にそれは……本人いるし」
「前はオレと買い物それで行ったのにな?」
「……着たいけど」
(着たいんだ……)
「じゃあ着ようぜ!」
「いいわ今回は」
「えぇ~」
「なんだよ、そのえぇ~は」
「まあ、別に好きにすればいいけどな」
流石に弟だ、これ以上言うとプレイヤーが怒りだすギリギリの所を分かっている。
「いつもの場所置いておくから、好きに使えよ」
「うん」
彼は軽く手を振って離れていく。弟が去った後、試しに冗談でプレイヤーに聞いてみた。
「うーん、じゃあ僕の黒パーカー着る?」
「着る……!」
とプレイヤーは目を輝かせて、即答したのだった。
(わお……)
まさかすぐに反応するとは思わなくて少し驚いていた所だ。
「じょ、冗談だったんだけど。僕の着るもの無くなるし……」
「そっかぁ。 ……ん? ああ、でも着るものあるよ、わたしので良ければ」
「プレイヤーさんのじゃあ、ちっちゃいよ……」
マルコスの身長は180はあるが、プレイヤーは160も無い。
「どうかな……、ちょっとまってて。持ってくるわ」
たた、とプレイヤーは小走りで自分の部屋に戻り。少しして戻ってくる。
「……え、それ誰の?」
「わたしの」
「でかすぎない?」
プレイヤーが持ってきたのはメンズのモッズコートだった。
「去年の真冬に友達と旅行行くようにあったかそうなの買おうと思ったら、
もうこれしかなくって……。サイズはLだよ」
取あえずプレイヤーから受け取って着てみる、若干腋がきつい感じがするがいけそうだ。
「きつい?」
「若干腋のあたりきつい気がするけど、どんな感じに見える?」
「サイズ小さそうには見えないよ? わたしが着るとロングコートみたいになるのにね」
じゃ、これで行こう、と言う話になった。
「みて、ぶかぶかー」
黒コスのパーカーを着たプレイヤーは上機嫌で、嬉しそうに長く余った袖を振る。
「なんかあれだねぇ、お兄ちゃんとか彼氏の服着て喜んでるよく見る恋シュミのキャラみたい……」
「そうなの?」
(これで無自覚なんだもんね……)
こんなにあざとい仕草しておいて。動くたびにぱたぱたするパーカー、しかも自分のものと来た。
(めっちゃ嬉しそう……)
こんなかわいい生き物が3次元にいるんだな。ぴったあ、とくっつくとプレイヤーは小さくなる。
「マルコス……遅くなるよ、行こう?」
こういう所は少しクールなプレイヤーだ。
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