プレイヤーin犬の頭の沸いた話(短編)
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取あえず好きな所に寝かすか、と思ってマルコスは自分のベッドに入る。
プレイヤーの動きを布団に入りながら目で追うと、
流石に中身は犬だ。マルコスのベッドのすぐ下で丸くなった。
寒いといけないので毛布を一枚被せると、毛布の端から顔をだして、気持ちよさそうに目を閉じる。
姿は人間なので若干心が痛むが満足そうなのでそのままにした。
がそれから一時間もしない内にまた風の音が聞こえ始めると、
プレイヤーは立ち上がって落ち着かない様子でうろうろする。
風の音が聞こえにくい場所を探しているようだが、ずっとうろうろされてしまって、寝ように寝れない。
「プレイヤー……?」
彼女は今犬なのだ、犬に「さん」付けは違和感が凄かったので、彼女を犬だと思ってそう呼ぶ。
ベッドの上の小さいライトを付けると彼女が助けを求めるようににこちらを見ていた。
「……」
目線すら外さずひたすらじっとマルコスの目をみているプレイヤーを無視できない。
「……もぉ」
マルコスは盛大にため息をつく。
「おいで」
呼ぶとすぐにプレイヤー(in犬)は布団にもぐりこんでくる、プレイヤーの体は冷えていて少し冷たかった、
布団の中で、ぴた、とくっつかれ流石に焦ったが。
今この子は犬なんだと言い聞かせ、マルコスは目を閉じる。
これは絶対寝られないだろうと思っていたのだが、
犬だと思い込ませながら目を閉じていると次第に風の音が遠くなっていったのだった。
「……!」
なにかを焦ってマルコスは目を覚ました。何を焦ったのか一瞬分からなかったが、
すぐに布団の中にもう一つ別の体温がある事に気づき、すぐに思い出すことができた。
カーテンの外から朝日が細く差し込んでいて、飛び起きそうになったが、なんとかそれを押さえる。
ここで跳び起きて一緒にプレイヤーを起こしてしまったら偉い事になる。
プレイヤーに人間の意識が戻っているかどうかは分からないが、そうっとベッドから出る。
(大丈夫、起きてない……)
これでテレビ前のソファに座ってしまえば、
例えプレイヤーの人間の意識が戻っていたとしても逃げ道がまだある。
なんとかばれずにソファに座ると、マルコスはため息をついた。
(セーフ……かな)
マルコスは小さい音でテレビを付けて朝のニュースを何となく見ていたのだった。
その後少しして、背後で、ぎ、とベッドが軋む音がした。
どうやら起きたらしい。戻っている事を祈りながら振り向くと、プレイヤーとばっちり目が合った。
「……?」
「…………」
「……ぇ」
「おはよー、プレイヤーさん」
「……」
プレイヤーは周りを見回す。
「ここ、は……? 誰の部屋? リリカちゃんがいっぱい……」
一人ずつ小部屋になっているのだが、部屋の作りは同じなため、
誰の部屋なのか判断がついていないようだった。
「僕の部屋だけど」
「ん……?」
「よかった、大丈夫そうだね。……君昨日僕の部屋でホラー映画見てたんだよ、それで気絶しちゃって」
「え、嘘! ごめん……! 床に放って置いてくれればよかったのに……!」
「いや、流石にそこまで冷たい奴じゃないよ……」
プレイヤーは慌ててベッドから降りる。人間の意識は戻っている様だった。
「……って言っちゃったけど、昨日マルコスの部屋で映画なんて見たっけ?」
「え、覚えてない?」
「そんな記憶ないけどな」
「ああ……じゃあやっぱこれかなぁ」
とマルコスはその辺のゴミ箱から探って来ていたビールの空き缶を見せた。
「君、お酒なんか飲めないのに急に飲むからびっくりしたよ」
「ごめん……未だに信じられないけど、本当にお酒って記憶とぶんだね……」
「みたいだね」
(よかった……)
どうやら信じてくれたようだった。
「二日酔いはなさそう?」
「若干頭痛いけど、問題なさそう」
そっか、とマルコスは言った。
「プレイヤーさんは、昨日のこと覚えてる? 夜に何食べただとか……」
「……うぅん、シチュー?」
「それは一昨日の晩だよ」
「嘘、なんかやばいかなわたし……」
「そこまでは分かんないけど、君お酒はやめといたほうがいいと思うよ」
そうするよ、と彼女は言った。
「……でも、なんか長い夢を見てたような気がする」
「どんな?」
「んー……なんか不思議な夢。……冷たくて暗くて聞いた事無い音がして怖かったけど、
誰かが助けてくれてさ。あったかくて安心した」
へぇ、そうなんだ。とマルコスは相槌を打つ。
この世界は不思議な事が起こるものだ、と思ったのだった。
end.
おつきあいありがとうございました
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