今回あまりでてきません、未変更の場合プレイヤーになります
君のヒーロー(短編)
お名前変更※推奨
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「プレイヤー」
リビングでだらだらテレビを見ていた時だ、零夜に名前を呼ばれて、プレイヤーは返事をする。
「はい?」
「また、あのプレイヤーからコメントが来ているようだよ」
あぁ、とプレイヤーは言った。”あのプレイヤー”とは、
最近よくプレイヤーに対してコメントを送ってくるプレイヤーだ。
味方に煽られていたのでそのプレイヤーをタイムラインで庇ったのだ。
あまりにも理不尽な煽られ方をしていたから。
(こんなに、いちいちコメント返信してくれなくてもいいんだけどなぁ……)
本当にどうでもいいタイムラインでも、何かしらコメントを送ってくるのだ。
「またぁ? それ、ちょっと気を付けたほうがいいよ。たまにめんどくさい事になる場合があるから」
ソファに座っていたマルコスが間延びした声で言った。
「どういう事だい?」
「このアプリってね、他のスマホアプリに比べて若い女性が多いんだよ。
だからそれを狙ったおじさんとかが居て、固定とかラウンジとかに誘われて、
”固定組んでやったんだから付き合え”とかって、
フェスとかで実際に誘われる例があるんだって」
「あー……なんか弟も似たような事言ってたな。……一応コメントに対しての返信はやってないんだけど」
「それがいいと思う、一応ブロックも考えてた方がいいよ」
「そうなんだね」
ちなみに、プレイヤーはこのプレイヤーをフォローはしていないのだが。
一応気を付けておこう、と思ったのだった。
「疲れた……」
「……そうだね」
シーズン期間中だ、今回プレイヤーは零夜とこのシーズンを潜っているのだが、
まだシーズンの最初の方のため、敵も味方も元居たランクもデキレもばらばらで、辛い試合が続いていた。
「タイオワ痛いよぉ……零夜大丈夫だった?」
「大丈夫ではないよ……」
「ですよね」
上段タイオワガンナー二人からポータルを守る体力ステータスの低い零夜など、
ダメカを2枚積んでいても辛すぎる。
「三勝したし、今日はこれで終わっていいかな……」
「いいと思う……」
じゃあ、解散で。とプレイヤーが言ったので零夜は承諾するとプレイヤーと別れたのだった。
零夜がプレイヤーと別れ一人で自室に戻ろうとしていた時だ。
「……君」
その言葉が自分に向けられているのに気づいて零夜は足を止めた。
おそらく♯コンパスのプレイヤーだろうが、見覚えのない男性だった。
「……? 君は誰だい?」
零夜が問うとその男性は名乗った。
「……!」
零夜はその名前を聞くと、警戒を深める。”例のプレイヤー”だ。
「最近プレイヤーさんとずっと一緒みたいだね?」
「……それが、どうかしたかい?」
「最近、彼女が僕の相手をしてくれないんだ」
「……今、プレイヤーはシーズン中で忙しいからね」
「……最近、どうもそれが原因とは思えなくてね」
彼は昏い声で話す。
「調べてみれば君……夜遅くまで彼女とアリーナをはじめ、
カードお試しにこもりっぱなしみたいじゃないか」
零夜は黙って、軽く睨むように男性を見ると口を開く。
「それが、どうかしたのかい?」
「……分からないかな? 原因はお前だろって言ってんだよ」
きつくなった男性の声に零夜は目を細める。
「彼女は今、僕とシーズンを走っている。そのためだと、僕は今言ったばかりだよ」
「だから、原因はお前なんだよなぁ。最近我が物顔でプレイヤーさんと一緒にいるが、
お前のせいで彼女は俺と話さなくなったんだ、彼女を返してくれ」
(この、男……)
早めにブロックをかけるようプレイヤーに言っておくべきだったようだ。
「返す? 彼女は君のものではないよ」
「分からない奴だな、この間までその場所は俺のものだった。分かったならさっさと彼女を渡せ」
全く話が通じない。ただ、この男をこのまま放置するのはよくないし、
今、プレイヤーを奪われる訳にはいかない。
「彼女は貴重な調査対象だ、君に渡す訳にはいかない」
「プレイヤーさんを調査対象……だと、随分なご身分だな」
「彼女もそれを分かって協力をしてくれている」
「調査対象だの、協力だの。彼女はそれを嬉しいと感じているのか?」
「……!」
「そんな訳もわからない状態で勝手に協力させられていては、プレイヤーさんががかわいそうだろ。
そんな状態で彼女に協力させるくらいなら、自分のほうが幾倍かましだわ。
早くプレイヤーさんから手を引いてくれ」
「……」
調査対象、というのを抜きにしても。この見ず知らずの男にプレイヤーは譲りたくない。
「いずれにしろ、プレイヤーは譲れない。“僕たち”にとって大事な人だからね。
それがたとえ、別の世界線の僕の【P】layerだとしても。
それに、君はプレイヤーに自分の所有物だと伝えたのかい?」
「っ……」
男性は口を結んだ。言い返さない男性に対して零夜低い声で言った。
「その状態でプレイヤーに手を出したり、傷つけたりすれば。許さないよ」
プレイヤーは昔男性に傷つけられた経験がある、しかも、最悪の方法で。
今でも彼女が大人の男性に嫌悪の感覚を覚えるくらいには。
「も、もちろんそんなことはしないぞ。決して!」
「…………」
男性はとたんに汗を拭きながら言うので、零夜は軽く睨みをきかせる。
「プレイヤーは君のものじゃない」
「なら、お前のものとでもいうのか?」
「“僕たち”ヒーローのプレイヤーだ。
実際にプレイヤーとまともに接したこともない癖に、それを言っているのだとしたら問題だよ」
実際にプレイヤー同士の接触はプレイヤーの場合はほぼない、
彼女は一度もラウンジを利用した形跡がないためだ。
あるとすれば、実弟か、プレイヤーの世界線での友人くらいのもの。
「もちろんプレイヤーさんには一度話を……」
「プレイヤーには僕から伝えるよ。2日以内に返事がない場合、
君からプレイヤーへ直接の接触は許可できない」
「お前……プレイヤーさんのお守にでもなったつもりか! 彼女はっ……」
こいつは全く話が分からない。こんな低能なプレイヤー、プレイヤーに接触させるわけにはいかない。
さらに何か言おうとした男性に対して、零夜は上から被せるように言った。
「当たり前だ。僕はプレイヤーのヒーローだからね」
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