雨き声(中編)
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残響
今日もいつも通りアリーナから戻っていた時だ。
「あー……疲れたー」
「今日は詰めて入ったからね……付き合ってくれてありがとう」
「どういたしましてー」
言いながらマルコスは伸びをする。プレイヤーはいつも通り隣からマルコスを見ていたのだが。
「ねぇ、それ。どうしたの?」
「どれ?」
なんのことだろう、と思ってプレイヤーを見下ろすと。
「ん、なんか手首。どっかで怪我した?」
「……! あぁ、うん。この前セロテープのカッターで」
伸びをしたときに袖がめくれていたようだ、マルコスは慌てて傷のある手首を隠す。
が、プレイヤーは不思議そうな顔でこちらを見ていただけだった。
プレイヤーと別れて、自室に戻る途中。無意識にマルコスは手首をもう片方の手で掴む。
見ただけで嫌悪感から吐き気がするが、プレイヤーは気付いていなさそうだ。
しばらくやらなかったのだが、リストカットの痕。
「……」
プレイヤーは本当に気付かなかったのだろうか、我ながら分かりやすい方だと思うが。
(……まあ、分からないか)
プレイヤーはそういうものから無縁だった可能性もある。
少なくとも彼女の手首にはそんな傷があるような様子は見た事が無い。
プレイヤーは多分知らない方がいいんだろう。
(あの、傷……)
プレイヤーは部屋に戻って、机の前の椅子に座っていた。最初見た時は、
本当にセロテープのカッターで切ったような傷だったから一瞬信じたのだが。
落ち着いてよくよく考えてみると、その原因は予想がついた。
「……」
学校でも職場でも、リストカットの痕がある人は居た。
その人の行動は本当に良く似ている、指摘されると分かりやすく隠すのだ。
「ふっ……」
あんな怖い事良くするものだ、自分にはとてもとても出来ない。
一瞬頭が痺れて、プレイヤーは自分の肩を抱いた。
(怖い……)
マルコスはこんなに怖い思いをしているのだろうか。
ふーっ、と息を付くとプレイヤーはスマホを手に取ったのだった。できれば力になりたいが、
なにぶんデリケートな問題なので慎重に行動しなければいけない。
(難しい、な……)
今日もいつも通りアリーナから戻っていた時だ。
「あー……疲れたー」
「今日は詰めて入ったからね……付き合ってくれてありがとう」
「どういたしましてー」
言いながらマルコスは伸びをする。プレイヤーはいつも通り隣からマルコスを見ていたのだが。
「ねぇ、それ。どうしたの?」
「どれ?」
なんのことだろう、と思ってプレイヤーを見下ろすと。
「ん、なんか手首。どっかで怪我した?」
「……! あぁ、うん。この前セロテープのカッターで」
伸びをしたときに袖がめくれていたようだ、マルコスは慌てて傷のある手首を隠す。
が、プレイヤーは不思議そうな顔でこちらを見ていただけだった。
プレイヤーと別れて、自室に戻る途中。無意識にマルコスは手首をもう片方の手で掴む。
見ただけで嫌悪感から吐き気がするが、プレイヤーは気付いていなさそうだ。
しばらくやらなかったのだが、リストカットの痕。
「……」
プレイヤーは本当に気付かなかったのだろうか、我ながら分かりやすい方だと思うが。
(……まあ、分からないか)
プレイヤーはそういうものから無縁だった可能性もある。
少なくとも彼女の手首にはそんな傷があるような様子は見た事が無い。
プレイヤーは多分知らない方がいいんだろう。
(あの、傷……)
プレイヤーは部屋に戻って、机の前の椅子に座っていた。最初見た時は、
本当にセロテープのカッターで切ったような傷だったから一瞬信じたのだが。
落ち着いてよくよく考えてみると、その原因は予想がついた。
「……」
学校でも職場でも、リストカットの痕がある人は居た。
その人の行動は本当に良く似ている、指摘されると分かりやすく隠すのだ。
「ふっ……」
あんな怖い事良くするものだ、自分にはとてもとても出来ない。
一瞬頭が痺れて、プレイヤーは自分の肩を抱いた。
(怖い……)
マルコスはこんなに怖い思いをしているのだろうか。
ふーっ、と息を付くとプレイヤーはスマホを手に取ったのだった。できれば力になりたいが、
なにぶんデリケートな問題なので慎重に行動しなければいけない。
(難しい、な……)
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