君からのプレゼント(6ヒーロー短編集)
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君からのプレゼント
「お祝いのキス」
「……ってーことで、後お前だけだぞ? マルコス」
「えぇ……。ってゆかアタリ君、なんでペンダントとか気の利いちゃったものプレゼントしたの……!?」
へへ、と彼は笑う。
「零夜とかちゃっかりデートに誘ってるしなw」
「え、じゃあアダムは?」
「私は……言葉しか贈れませんでしたし、むしろプレイヤー殿に貰っただけというか」
「俺は飴ちゃん渡したぜ?」
それを聞いてマルコスは困惑する。銀のペンダントとかはプレゼントとして認知しやすいが、
そのほかがむしろこちらにアドのある映画のチケットだったり、言葉だけだったり、飴玉一個だけだったり、
きれいな景色とかそこまで気の利くプレゼントなんて思いもつかなかったし。
「プレイヤーに何貰ったんだよ、アダム」
「先に日頃の感謝を伝えられてしまいました。プレイヤー殿にはかないませんね……。
何か欲しいものがあるかと聞いても、一緒に居られるだけで十分、としか」
「あー……」
「もっと欲ってのがねぇモンかな……」
13が腕を頭の後ろに回しながら言った。
「もし他のセカイで出会ったなら、一緒に慈善活動しながら旅でもしようと誘われたくらいですね」
“別のセカイ”で出会っても慈善活動とかいう。
「修道院の人間かよw」
プレイヤーになんでもいいから贈るというボイドールからの課題だ。
自由参加なので、必ずしもやらなければいけない訳ではないが。
(どうしよ……)
自分だけ参加しないのもな、と思いながらマルコスは袖口を口元に持っていくのだった。
プレイヤーは自室に戻る通路を歩いていた。向かい側から歩いてくる随分見慣れたパーカー。
(マルコスだ……)
嬉しいなあ、と思いながらプレイヤーはそれが分からないように通路を進む。なんて声かけようかな。
でも彼はスマホをいじっているようだし、声をかけない方がいいかもしれない。
やがて向こうがこちらを認知し、声が届く距離になると、目が合った。
「マルコス」
「なあに?」
彼はスマホから目を離してプレイヤーを見た。
「明日、試合付き合って欲しいんだけど。いい?」
「いいよぉ? どうせ暇だし、適当に呼んでくれたら付き合う」
「本当? ありがとう」
彼は機嫌よく答えてくれた。嬉しいな、と思うとマルコスはにこ、と笑った。
「推しの笑顔が今日もまぶしい……」
「僕のプレイヤーさんは今日もかわいい」
「やめて、それ以上はプレイヤーさんナタデココになります」
マルコスはふ、と目の前で笑った。
(その笑い方は卑怯……!)
今日のマルコスは自分を殺しにかかってきているようだ。寿命が縮む。
「プレイヤーさん」
マルコスがもう一歩近づいてくると身長の問題で顔が見えなくなる。
「いつも、ありがとね」
「っ……」
ちゅ、と額にキスをされ、プレイヤーは後ろにのけぞる。
「ちょっ……」
マルコスが頭の上で笑った気配。彼の“海外流の挨拶”はいつまでたってもプレイヤーは慣れない。
(はわあああっ……)
だから死ぬって言ってるのに、彼はどれだけこちらの寿命を縮めればいいのだろう。
いつもならこれくらいで許してくれるのだが、今日はそうではないようだった。
「口がよかった?」
マルコスがのぞき込む体勢を作ってくるのでプレイヤーは急いで後ろに下がる。
ぶんぶん首を左右に振る。距離を詰められて後ろに下がると、背中に壁が当たった。
(壁っ……)
「やっ……」
プレイヤーは腕で防御の体勢を取る。
「ちゃんと周りは見とかないとだめだよ?」
彼の体温が近づいてプレイヤーは目を瞑ったのだった。キスされたのは頬。
「……」
そろりと目を開くとマルコスは少し笑う。
「なんてね、冗談。じゃあ、明日はよろしく」
「は……はい……」
彼は背中を向けると手を挙げたのだった。
「もう、心臓くるしいって……」
end.
額へのキスは祝福と親愛.
頬へのキスは友情.
「お祝いのキス」
「……ってーことで、後お前だけだぞ? マルコス」
「えぇ……。ってゆかアタリ君、なんでペンダントとか気の利いちゃったものプレゼントしたの……!?」
へへ、と彼は笑う。
「零夜とかちゃっかりデートに誘ってるしなw」
「え、じゃあアダムは?」
「私は……言葉しか贈れませんでしたし、むしろプレイヤー殿に貰っただけというか」
「俺は飴ちゃん渡したぜ?」
それを聞いてマルコスは困惑する。銀のペンダントとかはプレゼントとして認知しやすいが、
そのほかがむしろこちらにアドのある映画のチケットだったり、言葉だけだったり、飴玉一個だけだったり、
きれいな景色とかそこまで気の利くプレゼントなんて思いもつかなかったし。
「プレイヤーに何貰ったんだよ、アダム」
「先に日頃の感謝を伝えられてしまいました。プレイヤー殿にはかないませんね……。
何か欲しいものがあるかと聞いても、一緒に居られるだけで十分、としか」
「あー……」
「もっと欲ってのがねぇモンかな……」
13が腕を頭の後ろに回しながら言った。
「もし他のセカイで出会ったなら、一緒に慈善活動しながら旅でもしようと誘われたくらいですね」
“別のセカイ”で出会っても慈善活動とかいう。
「修道院の人間かよw」
プレイヤーになんでもいいから贈るというボイドールからの課題だ。
自由参加なので、必ずしもやらなければいけない訳ではないが。
(どうしよ……)
自分だけ参加しないのもな、と思いながらマルコスは袖口を口元に持っていくのだった。
プレイヤーは自室に戻る通路を歩いていた。向かい側から歩いてくる随分見慣れたパーカー。
(マルコスだ……)
嬉しいなあ、と思いながらプレイヤーはそれが分からないように通路を進む。なんて声かけようかな。
でも彼はスマホをいじっているようだし、声をかけない方がいいかもしれない。
やがて向こうがこちらを認知し、声が届く距離になると、目が合った。
「マルコス」
「なあに?」
彼はスマホから目を離してプレイヤーを見た。
「明日、試合付き合って欲しいんだけど。いい?」
「いいよぉ? どうせ暇だし、適当に呼んでくれたら付き合う」
「本当? ありがとう」
彼は機嫌よく答えてくれた。嬉しいな、と思うとマルコスはにこ、と笑った。
「推しの笑顔が今日もまぶしい……」
「僕のプレイヤーさんは今日もかわいい」
「やめて、それ以上はプレイヤーさんナタデココになります」
マルコスはふ、と目の前で笑った。
(その笑い方は卑怯……!)
今日のマルコスは自分を殺しにかかってきているようだ。寿命が縮む。
「プレイヤーさん」
マルコスがもう一歩近づいてくると身長の問題で顔が見えなくなる。
「いつも、ありがとね」
「っ……」
ちゅ、と額にキスをされ、プレイヤーは後ろにのけぞる。
「ちょっ……」
マルコスが頭の上で笑った気配。彼の“海外流の挨拶”はいつまでたってもプレイヤーは慣れない。
(はわあああっ……)
だから死ぬって言ってるのに、彼はどれだけこちらの寿命を縮めればいいのだろう。
いつもならこれくらいで許してくれるのだが、今日はそうではないようだった。
「口がよかった?」
マルコスがのぞき込む体勢を作ってくるのでプレイヤーは急いで後ろに下がる。
ぶんぶん首を左右に振る。距離を詰められて後ろに下がると、背中に壁が当たった。
(壁っ……)
「やっ……」
プレイヤーは腕で防御の体勢を取る。
「ちゃんと周りは見とかないとだめだよ?」
彼の体温が近づいてプレイヤーは目を瞑ったのだった。キスされたのは頬。
「……」
そろりと目を開くとマルコスは少し笑う。
「なんてね、冗談。じゃあ、明日はよろしく」
「は……はい……」
彼は背中を向けると手を挙げたのだった。
「もう、心臓くるしいって……」
end.
額へのキスは祝福と親愛.
頬へのキスは友情.
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