君からのプレゼント(6ヒーロー短編集)
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君からのプレゼント
「おめでとう(ありがとう)の言葉だけ」
帰りの電車の中だ、外はもうすっかり暗くなり。ソーンがプレイヤーの肩に持たれて眠っていた。
やっぱり寝てしまったか、とプレイヤーはソーンの柔らかい髪を撫でる。
起きなかったらどうしようと思ったが、確かアダムが迎えに来てくれると言っていたか。
やがて下車駅に着くと、見覚えのある紺色のコートが見えた。アダムだ。
(不思議だな……)
こうやって、ソーンやアダムの姿を見ると暖かい気分になる。
テレサの記憶のおかげかもしれない。
「お帰りなさい、プレイヤー殿。弟がすいません」
ソーンを背負ったアダムが頭を下げる。プレイヤーは首を振った。
「ううん、凄いきれいだったよ……! 久しぶりに景色に感動した」
「それはよかった。俺も行こうかと思ったのですが、
ソーンが自分が連れて行くと聞かなくて、お迎えだけでもと」
「ソーン寝ちゃったし、助かります」
プレイヤーが答えると、アダムはこちらを伺うようなら様子をみせた。
「俺もなにか、贈り物をとは思ったのですが……。
その、貴女が喜びそうなものが思いつかなくて……。
花くらいはと思ったのですが、ホストみたいだからやめとけと……」
プレイヤーはそれを聞いて笑った。たしかにそれは否定できない。
「いいよ、気にしないで……! わたしはアダムとかソーンがいるだけでいつも貰ってるから」
「何を、ですか?」
アダムは多分素直に問うてきたのだと思うが。
「んー……言葉にするのは難しいけど……、
それこそさっき駅まで迎えに来てくれただけでわたしはすごく嬉しかったし、
顔を見ただけで安心するから。わたしは二人の近くにいられるだけで十分。
いつもありがとうね、アダム」
「プレイヤー殿……、しかしそれでは俺の方が納得できなくなります
……貴女はもっと多くのものを手に入れたいと思ってもいいのですよ。
その手伝いなら、いくらでも……」
欲しいもの、か。とプレイヤーは少し考える仕草をした。
(こんな幸せ、わたしには十分すぎるんだよ。アダム)
確かに欲しいものはあるが、それは彼にどうこうできるものではない。
むしろ彼が近くにいると安心しすぎてしまって。時々逆に怖くなるくらいなのに。
そう、例えばアダムが消えた時を考えたりした時。
「じゃあ、もし別のセカイで出会えたなら。一緒に慈善活動しながら旅でもしようよ、ソーンも一緒に」
「貴女と言う人は……」
アダムはため息をついた。
「……分かりました、そうしましょう。貴女に先を越されてしまいましたが、
改めて感謝の言葉も伝えさせてください。いつも、ありがとうございます。プレイヤーさん。
これからもお邪魔でなければ私をそばにおいてくだされば光栄です」
end.
「おめでとう(ありがとう)の言葉だけ」
帰りの電車の中だ、外はもうすっかり暗くなり。ソーンがプレイヤーの肩に持たれて眠っていた。
やっぱり寝てしまったか、とプレイヤーはソーンの柔らかい髪を撫でる。
起きなかったらどうしようと思ったが、確かアダムが迎えに来てくれると言っていたか。
やがて下車駅に着くと、見覚えのある紺色のコートが見えた。アダムだ。
(不思議だな……)
こうやって、ソーンやアダムの姿を見ると暖かい気分になる。
テレサの記憶のおかげかもしれない。
「お帰りなさい、プレイヤー殿。弟がすいません」
ソーンを背負ったアダムが頭を下げる。プレイヤーは首を振った。
「ううん、凄いきれいだったよ……! 久しぶりに景色に感動した」
「それはよかった。俺も行こうかと思ったのですが、
ソーンが自分が連れて行くと聞かなくて、お迎えだけでもと」
「ソーン寝ちゃったし、助かります」
プレイヤーが答えると、アダムはこちらを伺うようなら様子をみせた。
「俺もなにか、贈り物をとは思ったのですが……。
その、貴女が喜びそうなものが思いつかなくて……。
花くらいはと思ったのですが、ホストみたいだからやめとけと……」
プレイヤーはそれを聞いて笑った。たしかにそれは否定できない。
「いいよ、気にしないで……! わたしはアダムとかソーンがいるだけでいつも貰ってるから」
「何を、ですか?」
アダムは多分素直に問うてきたのだと思うが。
「んー……言葉にするのは難しいけど……、
それこそさっき駅まで迎えに来てくれただけでわたしはすごく嬉しかったし、
顔を見ただけで安心するから。わたしは二人の近くにいられるだけで十分。
いつもありがとうね、アダム」
「プレイヤー殿……、しかしそれでは俺の方が納得できなくなります
……貴女はもっと多くのものを手に入れたいと思ってもいいのですよ。
その手伝いなら、いくらでも……」
欲しいもの、か。とプレイヤーは少し考える仕草をした。
(こんな幸せ、わたしには十分すぎるんだよ。アダム)
確かに欲しいものはあるが、それは彼にどうこうできるものではない。
むしろ彼が近くにいると安心しすぎてしまって。時々逆に怖くなるくらいなのに。
そう、例えばアダムが消えた時を考えたりした時。
「じゃあ、もし別のセカイで出会えたなら。一緒に慈善活動しながら旅でもしようよ、ソーンも一緒に」
「貴女と言う人は……」
アダムはため息をついた。
「……分かりました、そうしましょう。貴女に先を越されてしまいましたが、
改めて感謝の言葉も伝えさせてください。いつも、ありがとうございます。プレイヤーさん。
これからもお邪魔でなければ私をそばにおいてくだされば光栄です」
end.