Afterimage d'automne(中編)
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「ようこそいらっしゃいました。ペアで予約の方ですね」
はい、とプレイヤーが変事をする。
目の前でチケットを受け取るプレイヤーをなんとなく眺めながら13は頭の後ろで腕を組む。
「行くよ、サティ」
「おーう」
そのままプレイヤーの後ろをついて歩いていく。
(これ……ガチで普通のデートじゃねぇか)
アタリやソーンと居るときは面倒見のいい姉、零夜の調査とやらにはいつも機嫌よく手伝いをし、
アダムと居るときはどちらかというと家族っぽい空気だし、
マルコスと居るときは彼のファンのような感じだが。13と居るときはどうだろう。
忘れっぽくて、落ち着きがなくて、わがままで、方向音痴で、
歩くのが遅くて、すぐに怒る。言葉遣いの荒い普通の女子だ。
他のメンバーと居るときの姿が嘘とまでは言わないが、
13は今この状態のプレイヤーの方が生き生きしているように感じる。面倒なのはまあ、そうなのだが。
まもなくホール内の明かりが落ち、開演のアナウンスが入り、幕が上がる。
ほどなくして、すぐに飽きた13は寝たのだった。
「起きろー」
「……!」
肩を乱暴にぐらぐらゆすられて目を開けるとプレイヤーだった。
「ってぇ、やめろガキ」
「寝てる奴が悪い」
プレイヤーが笑うが、その笑い方はアタリに似ている感じだ。
(乱暴な奴……)
周りを見渡すと、明るくなった会場に立ち上がってぼちぼち帰りだす観客が見える。
プレイヤーが立ち上がったので、それについて立ち上がると13は伸びをし、
歩き始めたプレイヤーの後ろを追ったのだった。
「お腹すいたー……、サティ先帰る?」
「俺も腹減った」
じゃあ、昼ごはん食べに行こう。という事になったのだった。
「サティ、食べて……」
「は? それくらい全部自分で食えよ」
「お腹いっぱいです……」
プレイヤーがラーメン食べたいと言ったのでラーメン屋に来たのだが、
プレイヤーは残り4分の1くらいを食べられないという。
「こんなん二口だろ……」
呆れながらも、食べられない訳でもない13はプレイヤーのどんぶりを受け取ると残りを食べてやる。
(なにしてんだ、俺……)
こんなに人と接したのは正直久しぶりな気がする。
出会って最初の方はプレイヤーの苦手な体の大きい男性だったため、
ガードの固かったプレイヤーも、今は目の前で知らん顔で笑う。
(プレイヤーは、アレだな……)
こちらから行くより、受け身でいたほうがいい顔をしている気がする。
「おら、さっさと出るぞ」
「はぁい」
13が立ち上がるとプレイヤーも立ち上がったのだった。
その帰り道。
「あっ」
「次はなんだよ……」
「風呂場の洗剤無いんだった」
「どっか寄るか?」
無意識に言ったのだが、プレイヤーが少し意外そうな顔でこちらを見ていた。
「なんだよ……」
「え、いや……」
「気になるだろ」
「先帰るって言うかなって思ってた」
「……先帰るわ」
「え、なんだよ。せっかくだし一緒に行こ……!」
プレイヤーが仕方なさそうな顔で笑う。
「……お前、そんなのんびりしてていいのかよ」
「なにが?」
「今日バイトとか言ってなかったか?」
「……」
プレイヤーは完全に“忘れてた”な顔をする。
「忘れてたっ」
「だろうな」
「やだぁ……」
プレイヤーのテンションは分かりやすく下がる。
「買い物してさっさと帰ろ……」
「ガンバレよ、夜のオシゴト」
「その嫌な言い方やめていただけます?」
プレイヤーのバイトは居酒屋の手伝いだ、
完全にテンションの下がったプレイヤーに着いて13は買い物に向かうのだった。