Afterimage d'automne(中編)
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次の日、大体13の方は準備が終わって待っていたのだが。プレイヤーが起きてこない。
開演は10時半だ、もう起こさなければ流石に間に合わない。
あぁもう、と13は頭を掻いた。なんで自分がプレイヤーの面倒を見る羽目になっているのだろうか。
そもそも、プレイヤーってこんなに手間のかかる子だっただろうか。
他のメンバーはもうすでに出発していて今は13とプレイヤーのみだ。
13はプレイヤーの部屋をノックする。
「おい、大将。起きろー」
返事がない。
「……」
何度か同じことをするが反応が返ってこない。
13は盛大にため息をつくとプレイヤーの部屋に入ったのだった。
ベッドの方に向かうとプレイヤーは、ぬいぐるみを抱いたまま完全に寝ているようだ。
(完全に寝てやがる……)
その近くまで向かうとベッドの近くにかがんだ。
「おい、プレイヤー。いい加減起きろ、間に合わねぇぞ」
「んー……」
「起きろって」
「……サティ?」
「おう」
「……今何時?」
「8時半」
「起きないとやばいやつ……」
「そうだな」
うう、とプレイヤーは目をこすりながら起き上がる。
(お)
プレイヤーがちゃんとパジャマを着ているのは珍しい。今まではTシャツとジャージで寝ていたのだが。
「大将パジャマ買ったのか」
「この間、母さんと一緒に行った。着替えたら出ます」
「はいよ」
リビングでテレビを見ているとプレイヤーが着替えて部屋に入ってきた。
「今日寒いかな?」
「寒いんじゃね」
と13は適当に言った。天気は良いが、気温は分からない。
「適当すぎだろ……」
「自分で調べな」
プレイヤーは、む、と少し怒った顔をしながらベランダに向かうとやがて戻ってきた。
「寒かったか?」
「自分で調べなよ」
「ケッ、可愛くねぇな」
「可愛くなくて結構ですけど」
まあこの時期だ、上に何か一枚羽織るものがあれば十分だろう。
13はプレイヤーが顔を洗ったり、髪を解いたりして準備をするのをなんとなく眺める。
こういうところを見ると普通の女子だなと思ったりもする。
「急げ、遅れるぞ」
「ちょっと待ってよ……! あっ……」
「次はなんだよ……」
「財布忘れたかも」
「はぁ……早く行って来い」
13はポケットに手を突っ込み呆れたため息をついた、
忙しい奴だ。プレイヤーは走って部屋に戻ろうとする。
「……と、思ったらバックに入ってたわ」
「馬鹿だな」
めんどくさい。こんなにドジだったか? プレイヤーは。
他のメンバーと居るときはもっと落ち着いていて、しっかりしているイメージなのだが。
「走らねぇと間に合わなねぇぞ。電車」
「ですよね」
会場も電車で20分くらい移動しないといけない。二人で駅まで走る、先が思いやられるのだった。
「あっつ……、間に合った……」
何とか電車に間に合ったが、結構走ったので暑い、プレイヤーが襟をぱたぱたしながら電車の壁に凭れる。
(暑い……)
自分は一体何をしているんだろう、どうしてプレイヤーとコンサートとか
この意味の分からない状況になっているのか今一つ分からない。変な気分だ。
15分~20分くらいで目的の駅に着く。
「えぇと……、こっち?」
「こっちだ馬鹿、それは真逆だ」
(……んとに手間のかかる……)
まあ、電車には何とか間に合っていたので、走ったりする必要もないため、プレイヤーを放っておいて、
プレイヤーが迷うのを眺めるのもいいか、とも思ったのだが、
それでまた急ぐという風になると面倒なので、13はさっさと会場に到着したかった。
13は普通に歩いているのにプレイヤーは時々小走りになりながら追ってくる。
「速い」
「お前が遅ぇだけだ」
「ねぇ、飲み物くらい買ってきていい」
「行ってこい」
「先行かないでよ」
「行かねぇよ、お前を迷子にしたらうるせぇ奴がいるからな」
「サティは飲み物なんかいる?」
「……いる」
プレイヤーは続いてどんな飲み物がいいか聞いてくる。
自分の飲み物のお金を渡し、プレイヤーを見送った。
「はい、お金」
ちゃりん、とプレイヤーは13の手に釣りを返し、飲み物を渡す。
「ありがとうございましたは?」
「アリガトウゴザイマシタ」
「くそ棒読みじゃん」
プレイヤーが少しおかしそうに笑うのだった。