Afterimage d'automne(中編)
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13は寝る前に水を飲もうと給水機のあるリビングに向かっていた、
もうずいぶん遅い時間なのだがリビングに電気がついていた。
(消し忘れかぁ?)
リビングの扉の前まで来ると、人の気配があった。
この時間にこの部屋に人がいる事は殆ど無いのだが、とりあえず喉は乾いたので部屋に入る。
そこにいたのはプレイヤーだった。大きいテーブルの上に
パズルが置かれていて、遅くまでやっているようだ。
「よいこは寝る時間だぜぇ、大将」
「……! ……うん」
プレイヤーは一瞬驚いた様子を見せたが、やがて持っていたスマホに目を落とした。
「なに見てンだよ?」
上からのぞき込むが、彼女は別に避ける様子も嫌がる様子もない。
「これさ……行っていいと思う?」
「いいんじゃねぇ?」
「いや、見てねぇだろ今の」
プレイヤーがスマホを渡してきたので、それを受け取り。画面を見る。
「クラッシックコンサート……、お前。こんなの行くのかよ」
「文句ある?」
「ねぇけど」
音楽の秋とはよく言ったものだ。しかもコンサート自体は明日、
前売りを買うかどうかで悩んでいるようだった。
「これさぁ……前売りの方が安くって。……ペアで行くと、一人の金額がさらに安くなるんだよな」
確かに、料金表を見ると。二人の方がはるかに安い。
「うーん……」
「んだよ、行きてぇなら行けばいいだろ」
「月末はお金が……」
プレイヤーが悩むのも多少は分かる。
「明日アダムとかソーンあたり誘えばいいんじゃね」
「明日、誰もいないから」
「誰もいない?」
アダムとソーンは定期報告。零夜は首脳会議、
アタリとマルコスはプレイヤーの弟と一緒に少し遠くにあるアニメの専門店に行くらしい。
「大将一人か、残念だな」
にやにやしながら言うと、プレイヤーは一瞬こちらを軽く睨んで話を続けた。
「暇だから行こうかと思ったんだけど」
「仕方ねーから、俺が一緒にいってやろうかぁ?」
殆ど冗談でふざけて言ったのだが。
「どーしよー……」
ああっ、とプレイヤーはテーブルに伏した。そうだな、金は大事だ。
「行きたいけど、お金がっ……」
くう、とプレイヤーはスマホを握る。
あまりに悩む時間が長かったので飽きてきた13は、相手をするのをやめようと伸びをする。
「くっだらねぇ、俺寝るわ」
プレイヤーに背中を向けた時、服を引っ張られてつんのめる。
「おい服引っ張んな、伸びる」
プレイヤーがテーブルに半分伏したままじっと13を見上げた。
「……」
「……なんだよその目」
「…………」
「……ったく、わーったよ。着いて行きゃいーんだろ? めんどくせぇ」
「あざす! 自腹でお願いします」
「自腹かよっ……」
「お金ないんで」
「……」
いらない事を言わなければよかった、と若干後悔する。
(めんどくせぇ事になったぜ……ったく)
仕方なく13は再度プレイヤーに近づいた。
「――で、開演は?」
「ええと……」
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