その優しさに(前編、後編)
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「……」
プレイヤーは昼ごはんを終わらせて、ソファに向かっていた。
とりあえずソファで横になろうと考えたからだ、理由は。
(……なにこれ……めちゃくちゃ体重いんだけど……)
歩くのってこんなに辛かっただろうか。
信じられないくらい体が重い。プレイヤーは何とかソファの上で横になる。
どうしてこんなに辛いんだ? と考えるといくつか思い当たる節があった。
2日目であるという事、寝不足という事、最近急に気温が下がったという事。
多分そのせいで疲れがたまっているのだろう。
本当なら自室がいいのだが、それも大儀で。ソファに寝転がるので精いっぱいだ。
(最悪だ……)
はあ、とため息をついて。プレイヤーは目を閉じたのだった。
「……プレイヤー殿?」
「……ん」
あぁ、アダムの声だな。と思ってプレイヤーは目を開けた。
「アダム……」
「珍しいですね、プレイヤー殿がここで横になっているのは」
体が重くてだるい、プレイヤーは目だけ動かしてアダムを見た。
「プレイヤー殿……調子が悪いのですか? 顔色、よくありませんよ」
アダムが心配した様子で問うてきた。
「うん……」
アダムが額に手の甲をのせる。
「熱は、なさそうですね」
「……」
話すのもだるいのは久しぶりだなぁ、とぼんやり思う。
「部屋で休まれた方が……」
「そう、なんだけど……動くの辛くて……」
アダムは心配した表情を浮かべ、髪を撫でてきた。ああ、これは相当心配させている。
「……部屋に連れていきます、失礼しますね」
「…………」
アダムはプレイヤーの体を抱き上げようとするので、プレイヤーは体の力を抜くと、
アダムの体に身を預け、もう一度目を閉じた。
足音と一緒に体が揺れる、アダムが自分を抱えたまま歩いているのを感じる。
「……え? おい、プレイヤー。どうしたんだよ……!」
アタリの声だ。
「体調を崩されているようです、俺が部屋に連れていくので、
アタリさんはボイドールを呼んで来てください」
「お、おう。分かった……!」
やがて周りが少し薄暗くなり、少し冷たいものが頬に当たる、どうやらベッドに寝かされたようだ。
「……」
「……調子は、どうですか?」
アダムが気を遣って、小さめの声で言った。
「……疲れた……」
「そうですか、ボイドールがもう来ると思うので休んでいてください」
「アダムっ、ボイドール呼んで……」
「しっ……静かにしてください」
「わ、悪ぃ……」
「……先ホド別ノ部屋カラプレイヤーサンノバイタルヲ確認サセテモライマシタ。
オソラク疲レガタマッテイルダケト考エラレマス。今日ハモシカスルトコノママカモシレマセンガ、
遅クトモ明日ニハ戻ッテイルト思ウノデ、今日一日ハ安静ニサセテクダサイ」
プレイヤーは寝てしまっているわけではないので、話の内容自体は聞こえる。
(やっぱりか……)
ちゃんと早く寝ないといけないな、と思う。
「疲れてるだけって……こんなにしんどそうなのにか?」
「ハイ、マア女性デスシ。タマタマヨクナイ条件ガ重ナッテシマッタノデショウ」
「……」
やはり休む他の方法はないのだろう。そもそも動ける体調でもない、
プレイヤーは、その話声を遠くで聞きながら目を閉じたのだった。
「プレイヤー、大丈夫なのかよ?」
「心配しすぎですよ、アタリさん」
ボイドールが退室してすぐに、プレイヤーが目を閉じていたので思わずアダムに問うと、
アダムはいつも通り答えた。
「食べ物とか、水は?」
「大丈夫ですよ、人間は半日ものを口にしないくらいでは死にませんから」
「そういう問題かよ……」
こんなに元気のないプレイヤーは始めて見たのに、アダムはいつも通りだ。
彼は口元に手を持っていくと、小さく笑った。
「なら、一緒にいてあげればいかがですか? おそらく大丈夫でしょうが、
目覚めた時に誰かがいるのといないのでは随分気持ちが違いますので」
「そう、なのか?」
アダムは「えぇ」と短く答えた。
「ただ、静かにしてあげてください」
「……分かったよ」
「プレイヤー殿をよろしくお願いします、アタリさん」
「……おう」
アダムは軽く会釈すると、部屋を出て行った。
「……」
アタリはベッドで眠っているプレイヤーを眺める、確かにいつもより頬が青白く、
ぐったりしているのが分かる。
「プレイヤー……、早く、元気になってくれよな……」
あんまり心配させないでくれよ、そう思いながらアタリはプレイヤーの眠るベッドの横にかがむと、
プレイヤーの髪をそうっと撫でてから、アダムの言葉を思い出すと。
おとなしく椅子を出してきて座るのだった。
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