少し気が小さく、リリカちゃんが苦手なプレイヤーです
きみのいちばん(中編)
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ある日の晩いつも通りにプレイヤーとアリーナに入る。
(うっそ……)
バトルステージは光と闇のライブステージ、
敵の編成や動き、味方の動きによってはマルコスが戦力にならなくなる可能性のあるステージだ。
しかも向こうの編成もアダム、メグメグ、リリカとプレイヤーの苦手な相手のオンパレードである。
『リリカちゃん怖いぃ……』
一方プレイヤーはと言うと、午前中リリカにボコされたせいで苦手意識に拍車がかかってしまって
この調子だ。マルコスだってこのステージにあまりいい思い出はない。
「お茶どうぞ」
「えっ……」
と振り向くと味方ルチアーノだった。
「あ、ありがとう……どうして?」
「待機時間が長いからな、あまり緊張するなよ」
とルチアーノが落ち着いた声で言った。
『マルコス』
「う、うん……お茶どうぞ」
プレイヤーの指示でルチアーノにお茶を返す。
「おじゃましまーす」
部屋に入ってきたのはメグメグだった。
「え? 何々、お茶出し合ってるの? 面白―い。メグメグも混ぜてよ!」
(うわあ……)
いい人たちだ。いつもこうならな……。
「ライステか……マルマルとルチルチはキツイねー」
メグメグがお茶を出しながら言った。
それが骨身にしみてよく分かるマルコスと、多分ルチアーノもだろう、重い気分になる。
「……僕、二人を守り切れないかもしれない」
それを言うとルチアーノが苦笑した。
「気にするな、自分の身くらい自分で守るさ」
「だいじょーぶだよ、メグメグ痛くないし。何回死んでも」
「それはそれで問題だよ……」
[マッチングしました、出撃します]
システムが言うので、全員立ち上がるのだった。
「くっ……」
マルコスの目の前で逃げていたメグメグのダメカがアダムのカノーネで割られ、
味方メグメグが倒されてしまう。
(ごめん、メグメグ……!)
ただ、もうアダムはカノーネがないのでこちらのダメカを割られる事は無い。
ダメカを展開して強引に攻める事ができる。もう逃げる事しかできない敵アダムを
さらに戻ってきていた味方ルチアーノの射撃が襲うが、アダムはそのまま帰移カードを使って逃げる。
「あのアダム、ソーンだ……」
体力を全開する代わりにリス地に戻るカードだ。本人は倒される事は無いが、前線を空けてしまう。
リス地にアダム、上段にリリカ、一人になった敵メグメグがルチアーノにアバカンを打つのが見え、
ルチアーノはそれにダメカを合わせる。もう残り40秒を切っていて、
今一瞬で上段に上ってリリカをキルし、ポータルを取り返せるのはマルコスだけだった。
(決めるなら、今)
『マルコス、上段上がるよ……!』
「了解……!」
マルコスとプレイヤーは上段に上る位置取りに向かう。
「敵メグメグは押さえる、上段のリリカは頼んだぞ」
ルチアーノが落ち着いた声で言った。彼はマルコスに背中を向けると、敵メグメグを迎え撃つ体勢に入る。
「メグメグはダムダムを穴だらけにしてるね♪」
マルコスが成功したら勝ち、失敗したら負けだ。敵は味方に任せ、マルコスはプレイヤーの感覚に集中する。
一発、二発外して、位置を取り直す。
「プレイヤーさん、落ち着いて。ちゃんと見れば登れるよ」
『はい』
リリカの位置、高台から自分の位置を見て登れる位置を探す。
『この辺?』
プレイヤーの動きに合わせてマルコスは枝をリリカに向かって投げる。
(いける……!)
命中したのを見てマルコスはリリカの方へ思い切り踏み切った。
「きゃっ……」
リリカが細い声を上げた。どうやら上段に登れたらしい。リリカの怯えた表情に心が痛むが。
「マルコスく……ッ」
リリカはマルコスが目の前に来た事に対して慌てて全天を切る。
「間に合わないよ」
マルコスの高いDPSの為にダメカは間に合わない。目の前でリリカがキルされる。
「ごめんね、リリカちゃん。今は敵だから」
リリカを倒し切ってポータル制圧に入る。ラスト15秒、
敵に逆転する術はなさそうで。残り時間を見てマルコスは下に降りたのだった。