少し気が小さく、リリカちゃんが苦手なプレイヤーです
きみのいちばん(中編)
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「……ねぇ、プレイヤーさん」
「……え? どうしたのマルコス」
全員が解散した後に、マルコスはプレイヤーを呼び止めた。
自分がプレイヤーを呼び止める事自体珍しくて、彼女は不思議そうな顔をする。
「……君、リリカちゃん引けなくって。ラッキーって思ってない?」
「……!」
プレイヤーが顔を上げた。
「避けてるよね、リリカちゃんの事」
「…………」
「……リリカちゃん嫌いなんでしょ」
「っ……」
「あんなに頑張ってるのに、……何で?」
プレイヤーの表情が僅かに歪み、目線を床に置いたまま少しの間黙っていたが、
やがて諦めたように口を開いた。
「……マルコスの好きなコだから、嫌いにはなれないよ。……ただ羨ましいだけ」
「僕が居なかったら嫌いってこと?」
「……あんまり、近くには居て欲しくないかもしれないね」
少しの沈黙があった。
「どうして」
「……頑張ってるのに、人気ない、とか見てくれないとか。絶対嘘だよ。
マルコスとかお茶が良い例だよね」
「そんなの、ただの嫉妬じゃん」
マルコスは軽く睨むようにプレイヤーを見た。言いながら、胸が苦しい感じがするのは、
オリジナルマルコスの事を考えたからだろう、と簡単に想像がついた。
プレイヤーも、その感情の正体が分かって言っているのだろう。言い訳も否定もしなかった。
「そうだよ、いけない?」
彼女はやや強い目でこちらに向いて行った。
「なのに、マルコスやお茶はリリカちゃんの事が大好きで。あの子はそれ以上何を望んでるの?」
「……」
「……そんなの、ずるいよ」
「それは……リリカちゃんが一生懸命頑張った結果だよ。劣等生って言われたって頑張って……」
「っ……! そんなの、分かってるよ……!」
プレイヤーは押さえた声を上げる。声を荒げてしまった事に気付いたか、
彼女は声を低めると、再度口を開いた。
「……気分を害したなら、ごめん。わたし部屋戻る」
初めて聞いたプレイヤーの冷たい声だった、声はどことなく震えていて、
言いたいことを我慢しているような、そんな感じだ。彼女は背中を向け、早歩きで離れていく。
嫉妬は、本来自分が持っていている筈だが、上手く表現することが出来ないものを
他人が表現している所を見た時に出来る感情、と聞いたことがある。
「……」
ただの嫉妬、自分で言ったものの耳が痛い。同じ存在のはずなのに、皆に見てもらえる明るい色、
明るい声。自分だってマルコスの筈なのに、この差は何なんだろう。
オリジナルマルコスなら、プレイヤーの事も、他人の目も気にせずに自由にふるまって、
好きなものには好きだと言って。
それでも“オリジナル”の周りから人はきっといなくならないのだろう。
どうしてだろう、なんでだろう。自分は“オリジナル”じゃないから?
(分からないよ)