宮玲まとめ
夢小説設定
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~妖精が羽ばたかないように~
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「あれ、今日も来てくれてたんですか。」
花たちにお水をあげるという至高の時間には玲さんが来てから住み着いた白猫さんが必ずと言っていいほどどこかの花の中に埋もれている。
でも今日は珍しく彼女さんであろう黒猫さんが隣にいなかった。
最近はよくじゃれて遊んでいたのだが…喧嘩でもしてしまったのだろうか。
でもそう思ったのもつかの間で見てるうちにスルッと黒い影が出てきた。
そっと寄り添うように猫たちはくっついていつものようにじゃれる。
「ふふ…喧嘩してしまったのか心配になりましたが…大丈夫そうですね。」
花の中ではしゃぐ猫たちはまるでお花の妖精のようだった。
そう考えると頑張って育てたかいがあったな…なんて。
考え込んでると白猫が足元に擦り寄ってきていた。
「あ…そうですね。ご飯、用意しなくては。」
そっと小さな頭を撫でて俺はまだ水やり途中なのにも関わらずホースを片付けた。
「すいません。お邪魔します…!」
「玲さん、お疲れ様です。」
珍しく定時退社出来たと連絡が来たのは1時間ほど前。
せっかくなのでと九条家で夕食会を開くことになった。
「突然なのにすいません…いつも用意してもらっちゃって。」
「いえいえ、兄さんや桐嶋さん達が玲さんが来ることを楽しみにしていましたから。それに人数は多い方が会話が弾みますから。」
申し訳なさそうにする玲さんも可愛いけどそんな大した事ではないから気にしなくていい。
むしろ俺としては来て欲しいくらいだった。
「ありがとうございます。私も1人で食べるよりは絶対九条さん達と食べる方が楽しいと思うので嬉しいです。」
ふにゃりと笑う彼女に俺も釣られて笑う。
どうしたって玲さんには負けてしまう。
「まだ夕飯には早いですかね。少し待っていてください。今お茶を…」
その時にハッと思い出した。
水やりを途中で放って来てしまったことを。
「?豪さん?」
「あ、すいません。お花達への水やりを途中で放っていてしまったのを今思い出してしまって…」
「え、豪さんが珍しい。」
石畳で転んだりしちゃったんですかって笑いながら言う。
「そんなわけないじゃないですか。…たしかによく転びますけど。」
「あはは…すいません。拗ねないでください。」
普段とは逆の立場に俺としてはもうちょっと楽しみたくなる。
「まだ笑ってるじゃないですか。僕も本当に拗ねちゃいますよ?」
「だって…豪さんが可愛いからつい…!」
男として可愛いが似合うのは微妙なところだがそう話しながら笑う彼女の方がよっぽど可愛い。
そんな笑顔を向けられたら意地悪をする気も失せてしまう。
「…もし良ければですがお庭の水やりを手伝っては貰えませんか?」
「いいですよ。仕事頑張ってからの方が料理もきっと美味しいですから。」
「わぁ、また一段と綺麗になってますね。」
紅葉が綺麗なこの時期は九条邸の庭も鮮やかに色づく。
「ここに来る時にも思いましたけど花も紅葉も綺麗でずっと見ていられますね。」
「よかった、玲さんに喜んで貰えると僕としては凄く嬉しいで…っわわっ…!」
「ちょっ…豪さん?!」
玲さんに夢中で足元を見ていなかったからか石畳につまずいて転ぶ。
転び方が良かったのかついた手に傷はなく膝が少し痛い程度だ。
「あはは…すいません。足元を見ていませんでした。」
「…最近豪さんのドジまた上がってませんか?」
「そ、そんなはずは…ありますね。」
「そこは強がりでもないって言ってくださいよ。」
そっと手を差し伸べてくれて自然に手を取り立ち上がる。
こんなことをして貰えるなら。
転ぶのも悪くはないかな、なんて。
水をやるためのホースを玲さんに渡して一緒にやり始める。
シャワーで水をやりながら花たちに話しかける姿は本当に愛らしいものだった。
水やりが終わる頃に玲さんはある花を指さした。
「あ、この花って前に蕾だったやつですよね?」
「覚えててくれたんですか。そうですよ。」
「えっと…確かこの花は…」
「「クジャクソウ」」
ピタリと合う声に2人で顔を見合わせてぷっと吹き出す。
「ふふ…息が会いましたね!」
「そうですね。はは…凄い、ピッタリだった。」
ひとしきり笑いあった後に土の間にある木の板の上に乗りクジャクソウまで近付く。
「可愛いですね!ちっちゃい…!」
白い花にそっと触れて笑う玲さんを眺める。
「あ、そうだ!クジャクソウの花言葉ってなんですか?」
「花言葉…白いクジャクソウだと『いつも愉快』でしょうか。」
「へぇ…不思議ですね。」
「ふふ、でも貴方には…」
そっと一輪花を摘み取り彼女の髪にのせる。
「『飾り気のない人』、そして『一目惚れ』がピッタリじゃないですか?」
玲さんは一気に顔を赤くして俺の事を見た。
「ふふ、玲さんがお花に囲まれているとまるで妖精さんみたいですね。」
いつかこのまま飛んで言ってしまうのではないか。
だから俺の育てた花以外のところに行かないように。
繋ぎ止めておかなくては。
そっと彼女を抱き寄せる。
優しく頭を撫でればクジャクソウは髪から落ちる。
「妖精さんが僕以外の所に行かないようにしなくては…ですね?」
「っ…!」
耳元で囁かれるのに弱い玲さんは本当に可愛らしい反応をしてくれる。
「…い、行きませんよ!私はどこにも…!だから…その…は、離れてください!」
「ふふ、知ってますよ。」
「ご、豪さん!わざとですよね?!」
「おや、バレてしまいましたか。」
「バレますよ!もうっ!」
玲さんは可愛らしく俺の腕の中で身じろぎをしている
こんなことをされてはずっとこのままでいいなんて思ってしまう。
それは悪い事だろうか。
「もう…豪さんからかわないでくださいよ。ほ、ほら!ホース片付けましょ!」
腕の中からするりと抜けて玲さんはそのまま片付けに集中してしまう。
花の中を歩いている姿は本当に妖精や天使のようで俺はそんな姿を見て目を細めた。