宮玲まとめ
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~永遠の幸福は甘い香り~
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庭仕事を終わらせリビングに向かおうとするとキッチンから甘い匂いがした。
何故だろうと思いながらキッチンに向かう。
「ねぇ、宏弥くん、分量と焼く時間本当に間違ってないよね?」
「んなわけねーって!宮瀬から借りたレシピどうりに作ったんだからな!」
「じゃあさ…なんでこんな黒いわけ?」
「食べたら上手いかもしれないだろ!」
「見た目で苦いって分からない?」
そっと覗いてみると桐島さんとカナメくんが2人でケーキらしきものを作っていた。
カナメくんは少し焦げたケーキを見て呆れている笑顔で桐島さんを見ていた。
あぁ、そうか。明日はホワイトデー。
「あのさ、レシピ通りに作ったとしたならこんなに酷い有様になることは無いよ。」
「それなら絶対美味いな!」
「…はぁ…。」
呆れているカナメくんと楽しそうな桐島さん。
仲がいいなと思いながらちょっと遠くから見守ってみる。
「こんなんじゃお姉さん達に渡すのにも気が引けるどころか渡したくすらないんだけど?」
「そうだよな!やっぱ甘い方が女は好きだよな!」
そう言えば僕も玲さんから貰ったから…用意をしなきゃですね。
なんて思っていると「どうしたんだ」という九条さん…兄さんの声が後ろから聞こえる。
「玲さんからバレンタインに貰ったでしょう?桐島さんとカナメくんがお返しを用意してるみたいです。」
「あぁ、豪はハーブ香りのするのチョコを貰ったんだったか。」
「手作りで作ってくれたみたいですごく嬉しかったですね。それに、僕の好みを考えてくれたんだと思うと口元が緩みます。」
「恋人から貰ったバレンタインなら嬉しくない訳がないんじゃないのか?」
「あはは…照れますけどそうですね。嬉しくないわけがないです。僕の事を考えて作ってくれたなんて思ったら幸せすぎて。」
つい玲さんの惚気を話してしまう。
「豪が幸せならいいんだ。ところでホワイトデーは何を用意するか決まっているのか?」
「あはは…実はまだ決めてないんです。僕としては貰ったもの以上のお返しをしたいんですがそうすると玲さんは遠慮してしまうので。」
「彼女は優しすぎるからな。きっと豪が考えたものなら喜んでくれるだろう。」
「そうだといいんですけど…」
何がいいんだろう。
玲さんの喜ぶもの。
花束?それともお菓子?デートを企画するのもいいかもしれませんね。
そんな事を考えているのを悟ったのか九条さんは「深く考えない方がいいのではないか?彼女の好きな物なら豪が1番知っているだろう?」と言った。
…といわれたって、彼女が本当に喜んでくれるのはなんだろうか。
甘いお菓子?それとも彼女に似合うようなアクセサリー?デートを考える…
でもきっと玲さんはダイヤの指輪や夢のようなディナーみたいなスタンダードで、魅力的なものではきっと喜んでくれない。
「…深く考え込むぐらいなら泉に直接聞いた方がいいんじゃないのか?」
「はは…なんでもお見通しですか。」
「豪が深く考えるのは今は彼女のことだけだろう。」
「流石ですね。九条さん。」
兄さんは思いのほか楽しそうに僕の話を聞いてくれていた。
「でも今1番に思いつくのはやはり花束ですかね。」
「ホワイトデーならお菓子だと思っていたのだが。」
「僕らしいお返しをと思ったんです。非日常な物もいいのかもしれませんが。」
「ほう…豪らしくか。いいのではないか?きっと彼女も喜んでくれるだろう。」
「ありがとうございます。」
そう言って場所を離れ花束の形を考えながらリビングに向かって歩く。
前に作った寄せ植えより一層、彼女に合うものを考えながら。
そしてそれを手にした彼女の華やかな笑顔を思い浮かべながら。
次の日。
玲さんが来る前に花束を用意しようと花を何本も自分の部屋に置いて眺める。
どんなものがいいのか結局イメージも固まらず色々な花を庭で摘んだり花屋で買ったりした。
彼女が喜びそうで鮮やかな花束を頭の中に思い描く。
きっと彼女のことだから俺が送る花には意味があることぐらい分かっているだろう。
…なら。
僕は1本の白いバラを手に取り一つ一つ、棘を切っていく。
昔の僕ならこんな手間をかけてはやらなかっただろう。
全部で5本ある白いバラは決して映える色ではないが花束をより鮮やかに出来る煌びやかさと脆く散ってしまいそうな儚さが具現化したような花だ。
白いバラの花言葉は【純潔】
そして5本のバラの花言葉は【貴方に出会えてよかった】
そして2本だけ青いカーネーションをバラの横に合わせる。
白いバラとは違う濃度の高い深い青。
なかなか目にしない青いカーネーションならきっと彼女も喜ぶだろう。
花言葉は【永遠の幸福】
バラとカーネーションの間や周りにはブルースターを飾る。
小さく咲いた愛らしいその青い花はより一層中央にあるバラを引き立たせる。
花言葉は【幸福な愛】、そして【信じ合う心】
花言葉の由来は欧米の古い風習にちなんでらしい。
緑のレースフラワー、グリーンミストを僕は手に取りブルースターと同じように飾るようにまとめる。
グリーンミストやブルースターのおかげか少しずつ色づいていく花束。
決して1つ1つの花が目立たないわけでは無いが手に取っていくとだんだんと明るく、花束らしくなっていく。
花言葉は【繊細な愛情】
そして、春の花。ナズナを何本か花束に入れる。
その小さな花はまだ開いていないがハート型の種子が僅かにだが花束を彩ってくれる。
花言葉は【あなたに私の全てを捧げます】
出来た花束は考えていたもの以上にシンプルな出来になった。
白いバラ、青いカーネーションを中心に、緑、水色と少し彩度の高い色の花。
鮮やかでいてどこか落ち着いている色の花束。
でもきっと彼女が持てばさらに鮮やかに輝かしく見えるのだろう。
約束した時間までまだあると言うのに楽しみで思わず笑みがこぼれる。
こんなに幸せでいいのだろうかと思うくらいには。
玲さんと出会うまで考えたことも無かった自分の未来。
庭を赤い薔薇で埋めつくして彼女と見る時にはどのくらい暖かな気持ちになっているんだろうか。