宮玲まとめ
夢小説設定
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「わぁ!凄い可愛い!」
「本当に可愛いですね。癒されます。」
目の前には小さなアライグマ達がじゃれている。
4匹居て、2匹はじゃれあっていて他の2匹は餌を食べている。
癒しでしかない目の前の光景。
今、ずっと夢だった動物園デートに来てしまった私。
まさか…豪さんと来れるだなんて思いもしなかった。
きっかけは数日前の九条家で…
「豪、泉、動物園には興味無いか?」
「動物園…」
「…ですか?」
仕事の終わった私と豪さんは九条さんに呼ばれた。
そして話された内容が…動物園に興味があるか。
「あぁ。チケットを貰ったのだが私情で行けなくてな。」
「そうなんですね。でも他にも行きたい人がいるのでは?桐嶋さんやカナメくんも行きたがると思いますよ。」
「桐嶋にはこの日着いてきてもらうことになっていてな。それなら二人に行ってもらうのがいいと思ったんだ。」
なるほど…と思いながらも私としては遠慮したい。
なんて言ったって…この動物園はオープンする前の動物園だから。
ニュースでも新しくオープンする動物園として有名だ。
私でもその名前を聞いたことあるほど。
もちろん行ける人は限られているわけで。
そんなのに行ってもいいものなのかと思えるほど。
「わ、私は流石に遠慮しますよ!だってオープンしてからのチケットでさえもう受付終了になっている程なのに!」
「無理にとは言わないが行かないのも勿体ないのでな。行くなら貴方に譲るのだが…」
「玲さんが行くのであれば行きましょうかね。」
「ご、豪さん!」
「ならこれは渡しておこう。行けるなら行ってくるといい。」
という感じで貰ってしまい豪さんにも行こうと言われ来てしまった。
だって豪さんに「動物園デート楽しみですね。」なんて言われたら行くしかないでしょ…!
なんて言い訳をしながらも今すごく楽しんでいる訳なんだけど。
「あ、ほら。玲さんこっちに鳥もいますよ。これは…アヒルですかね。」
「意外と大人しいんですね。」
十数匹いるアヒルたちは大体が動かない。
でもよく動いていた2匹がこっちに来た。
「わぁ。近くで見るとまた可愛い!」
「本当ですね。真っ白で綺麗な羽です。」
「やっぱり動物達って癒されますね〜…あっ!ほら!あっちにオウムが居ますよ!」
指をさして豪さんに説明すると豪さんは少し笑っていた。
「何笑ってるんですか。」
ちょっとすねたように言うと
「あはは。ごめんなさい。はしゃぐ玲さんも可愛いなと思ってしまって。」
と言われて何も返せなくなる。
というかなんでサラッとこんな恥ずかしいこと言えるんだろうと思うくらいだ。
「もう!何も言えなくなるじゃないですか…」
「拗ねないでくださいよ。拗ねても可愛いだけですよ?」
「か、可愛いって言うの恥ずかしいのでダメです!」
ついつい恥ずかしくってそんなことを言ってしまう。
それこそ普通の女の子ならありがとうの一言ぐらい言うだろう。
そんな所で自分の女子力の無さを自覚する。
「ほら、パンダ居ますよ。機嫌なおしてください。」
目の前には小さなパンダと大きいパンダがいた。
「親子ですかね。子供パンダが親パンダにくっついていってて凄く可愛い…!」
「そうみたいですね。小さいほうがシュンシュンだそうです。」
「へぇ…パンダって見てるだけで癒されますね〜」
「何回目ですか。その会話。でも、見てるだけで癒されるのはわかります。」
見えるところだけでもたくさんの動物がいる。
次はどこに行こうかとマップを見ながら歩いていると突然豪さんが「あ、カナメくんがいますよ。」と言った。
「え、どこにですか!」ちょっとビックリしながらも周りを見ていると豪さんが「あそこですよ」と言って小さな柵の方を指した。
そこに居たのは小さな白いハリネズミ。
「少しカナメくんっぽくないですか?」
確かに真っ白で可愛らしい容姿はカナメくんそっくりだけど…
「驚かさないでくださいよ!カナメくんがいるかと思っちゃいました。」
「すいません。今日は誰もいないのでこういうことだって普通に出来ますね。」
そう言って豪さんは私の手を取っていわゆる恋人繋ぎというものをした。
「っ…!誰もいなくても恥ずかしいですよ…!」
「今日は動物園デートなので。少しぐらい玲さんの恋人だって見せびらかしてもいいでしょう?」
豪さんは私の手をぎゅっと握って私の耳元で言った。
「あ、ほら。こっちに桐嶋さんもいますよ!」
豪さんは話を変える。
私は未だに頭が回らずふっと回転しだした時には「え、あ!本当ですね!」なんて適当な言葉しか出なかった。
でも桐嶋さんがいたのは本当で。
というか桐嶋さんに似たライオンが居たというのが正しいけど。
「本当に似てますね…」
ずっとウロウロとしているライオン。
吠えたりしてきっとこの動物園一番のライオンなのだろうということがわかる。
「毛並みとかも桐嶋さんそっくりですね。もしかしたら兄さんや新堂さんもいるかもしれませんね。」
「確かにいそうですね。あ、ほら。この動物とか新堂さんに似てませんか?」
近くにいた鷹を指さす。
私達の方をずっと見ている。
「確かに新堂さんに似てますね。立ち姿とか。」
「あはは。豪さんの言う通り立ち姿とか似てますね。」
「そしたら兄さんはどこにいますかね…っあ!あそこにいるペンギンが兄さんに似てませんか?」
見ると静かに立っていてなんか圧のあるペンギン。
ボスペンギン…とか?
「でもなんか雰囲気が似てますね。」
2人で見つめあって笑ってしまう。
「さて、兄さんも見つけましたしほかの場所も回りましょうか。」
「そうですね。」
そう言ってさっきよりも普通に手を繋いで歩いた。
象やキリンなど大きい動物達も見て周った。
他にも動物園のカフェでコーヒーを飲んだりと満喫した。
「凄い回りましたね〜」
「あとは帰り道に見る感じですかね。玲さん。疲れてはいませんか?」
「大丈夫です。少し前にカフェで休みましたから。」
すると途中で大きめの建物が目に入った。
「売店…皆にお土産買って行ってもいいですか?」
豪さんに聞くと「いいですよ。」と言ってくれる。
中に入るとたくさんの動物の人形。
そしてクッキーやチョコレート菓子なんかもあった。
もちろんキーホルダーなんかも売っている。
「色々なものがありますね…!何買おうかな…」
「マトリの皆さんにですか?」
「はい。せっかくですし買っていこうかと思って。」
すると少し豪さんは不機嫌そうな顔をした。
「僕とのデートの時くらいは、他の男の事など忘れてしまえばいいのに…」
ボソッと独り言のようにそう言った。
「…言い訳になっちゃうかもしれませんけど動物園を回ってる間は豪さんの事しか考えられませんでしたよ。」
なんて言うと豪さんはハッとして「すいません…」と言った。
豪さんは人形の所を見てひとつの人形を手に取った。
「これ玲さんに似てませんか?」
手にはレッサーパンダの人形。
「え、そうですか?」
「ほら、なんかふわふわしていて癒しキャラって感じで…玲さんみたいです。」
他の人形にも手を伸ばして何故か豪さんの手にはたくさんの人形が居た。
「…それどうするんですか?」
「皆さんに似てる動物を買っていってあげようかと。ほら、このハリネズミなんて本当にカナメくんみたいですよ。」
さっき話していたペンギン、鷹、ハリネズミ、ライオンの手のひらサイズの人形の他にもレッサーパンダとうさぎの人形が居た。
「あれ?うさぎは誰なんですか?」
「うさぎは僕です。僕の勝手なイメージですけど僕はうさぎかなと思って。」
豪さんはたくさんの人形をレジに持っていって皆にお土産が出来たとちょっと元気になっていた。
「沢山買っちゃいましたね。」
「ええ、皆さんにすごく似てたのでつい買っちゃいたくなりました。」
「きっと皆喜びますよ。豪さんが選んだものなら。」
「そうだといいんですが…あ。そうだ。」
豪さんは何かを思いついたかのように袋の中に手を入れた。
すると出したのは豪さんに似ていると言っていたうさぎと私に似ていると言っていたレッサーパンダの人形だった。
「忘れそうなので渡しておきます。」
私の手の上にうさぎの人形を乗せた。
「え…貰っていいんですか?」
「はい。あなたのために買ったものなので。僕だと思って大切にしてあげてください。僕も玲さんだと思って大切にしますから」
そう言って豪さんはレッサーパンダの人形の頭を撫でた。
「あはは。お願いします。」
「うさぎは寂しがり屋なのでずっと大切に持っていてくださいね?」
「豪さんから貰ったものを大切にしないわけがないですよ。」
私はうさぎの人形を胸の前にぎゅっとして豪さんに笑いかけた。
「あ、でも…」
「ッ…!」
私が気づいた時には目の前は真っ暗になっていた。
真っ暗になった訳じゃない。
豪さんに抱きしめられたんだ。
その腕は強く抱きしめているけれど少しでも触れたら脆く壊れてしまいそうだ。
「僕の事も大切にしてくれないと…死んでしまうかもしれません。」
いつもより低い声で耳元で言われた。
「なんて…冗談ですよ。」
そう言って豪さんは離れていった。
なんか…どこか線を引かれた気がしたまま。
それだけは…嫌だった。
「豪さんとはずっと一緒にいます。だから…離すような言い方は…その…やめて欲しいです。」
自分でも何を言っているのか。
分からないけど…
豪さんは優しく私の頭を撫でてくれた。
「ありがとうございます…玲さん。」
撫でてからすぐ私に背を向けて帰り道の方向にむいた。
でも豪さんはすぐ振り返って
「好きですよ。大好きです。玲さんの事が。」
そう言って豪さんはいつもよりも明るい笑顔を向けてくれた。