宮玲まとめ
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~酔いに任せて~
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「豪。何をしているんだ。」
「兄さん…今はポインセチアの世話をしているところです。」
いつものように花の世話をしていると兄さんが珍しく庭に出ていた。
「ポインセチアか…まだ10月なのにか。」
「ポインセチアは1ヶ月から1ヶ月半ほど暗いところに置くと葉が色づくんですよ。」
兄さんは興味深そうにポインセチアを見ている。
「そう言えば毎年豪が用意していたな。」
「いつの間にか恒例行事になりましたよね。」
毎年桐嶋さんが楽しみにいている身内でのクリスマスパーティにはかかせない花がこのポインセチアだった。
「今年は彼女を呼ぶのか?」
「ええ。もちろん。って言いたいんですが出来るなら2人になりたいところですね。」
「そうか…豪と彼女がいなければ盛り上がりに欠けるな。」
「大丈夫ですよ。ポインセチアがきっと彩ってくれます。」
夕日に照らされているまだ緑色の1枚の葉に僕は触れる。
「まぁ、豪が楽しいならいいんだが。」
兄さんは踵を返して家の方へ行った。
僕もそろそろ夕飯を作らなくてはとポインセチアの鉢を手に取って家の中へ入った。
鉢にダンボールを被せ僕はその部屋を後にする。
「おい!宮瀬〜!今日の夕飯はなんだ?俺は肉がいいんだけど!」
「宏弥くん。そんな肉ばっかりだと栄養が偏るよ。」
夕飯を楽しみにしている桐嶋さん。
桐嶋さんを心配しているカナメくん。
僕は今日の夕飯をどうしようか考えながら
「そしたら今日は肉類を用意しますね。」
と言った。
「よっしゃあ!」
「あ、あとかぼちゃを貰ったのでかぼちゃパイを作ってもいいかもしれませんね。」
「え、豪さんそんなに作れるの。」
今の時間は5時
「今から用意をすれば7時頃には出来ますよ。」
「すげーな…宮瀬。宮瀬の料理楽しみにしてっからな!」
「そうだね。あ、そうだ、豪さん。」
キッチンに行こうとした僕をカナメくんが止めた。
「どうかしたんですか?」
「今日の帰りにおねーさんとあったんだ。それで夕飯誘ったら行けたら行きますってさ。」
「そうですか。そしたら後で僕が連絡をしておきますね。」
「うん。よろしく。」
玲さんが来る。
それだけで僕は浮き足立ってキッチンに向かう。
「うわー…すげーな宮瀬。」
「確かにこの短時間でよく出来るよね。」
「2人ともありがとうございます。これを運ぶのを手伝ってくれませんか?」
「おう!任せろ。」
テーブルには僕の作った料理が次々と並ぶ。
「ん?これなんだ?この黄色いやつ…」
「ああ。これはかぼちゃのサラダですよ。パイに使っても余ったので。」
余ったかぼちゃをサラダにしてレタスの上に乗せただけの簡単なものだ。
でも九条家の皆が喜んでくれるだけで僕にとっては嬉しくて仕方の無いことだった。
「邪魔するぞ。」
そう言って来たのは新堂さんだった。
「新堂さん。お仕事お疲れ様です。」
「あぁ。今日はやけに豪華だな。」
「桐嶋さんのリクエストとかぼちゃパイのおかげです。さて、僕は九条さんを呼んできますね。」
僕は部屋を出て兄さんの書斎に向かう。
兄さんは部屋で読書をしていた。
「九条さん。夕飯が出来ましたのでキリがいい時に来てください。」
「ん、あぁ。丁度いい時だから問題ない。」
兄さんは手に持っていた本を閉じて立ち上がる。
「兄さんの好きなレバーも用意しましたよ。」
「そうなのか。桐嶋からかぼちゃパイが夕飯に出ると聞いていたので楽しみにしていたんだが…」
「もちろん作りました。でもそれは食後のデザートにですよ。」
そんな他愛のない会話をしながら廊下を歩く。
すると玄関の方で玲さんと会った。
「あ、九条さん、豪さん!お邪魔しますね!」
「あぁ、貴方も来たのか。ゆっくりしていってくれ」
「もう夕飯が出来ています。カナメくんや桐嶋さんも待っていますよ。」
「ありがとうございます!あ、そうだ…これもし良ければなんですが…」
そう言って出してくれたのはワイン。
「こんなものしか用意出来なくって申し訳ありません!今度はちゃんとした手土産を持ってきますので…!」
「そんなの用意しなくても良かったのに…ありがとうございます。」
僕はそのワインを手に取った。
用意をしてくれただけで嬉しかったから。
彼女が今日の事を楽しみにしていてくれたんだと思ったから。
「さぁ、どうぞ。上がってください。僕が作った手料理たべていってください。」
「ありがとうございます。豪さん。」
テーブルにはワイングラスが増えてさらに彩りが鮮やかになる。
「おお!今日はワインか!」
「宏弥くん。まずは料理じゃないの。」
「この感じだとビンがあくのにそう時間は掛からないな。」
九条さんはワインのビンを手に取って笑い出す。
「九条の言う通りだ。アルコールを体内に入れるのはいいが程々にしておけ。」
「んなの分かってるよ!」
「あはは。九条さんの言う通りすぐにビンの中身が無くなってしまいそうですね。」
「じゃあ僕が注ぎますのでグラス貸してください。」
僕はワインを手に取って皆さんのグラスに注いでいく。
「さて、皆さんグラスは持ちましたか?」
赤いワインが入ったグラスをみんな手に持っている。
「では、乾杯!」
そう言った瞬間に皆さんはグラスをぶつけてワインを傾ける。
僕も少しだけのつもりでグラスを傾けた。
「あ、宏弥くん。肉類ばっかり取らない。みんなの分もあるんだからさ。」
「そんなん早い者勝ちだろ!」
「桐嶋、後のデザートが入らなくなるだろ。」
「新堂、よく言うだろ!甘いものは別腹ってな!」
「それは女子が言うセリフだ。」
会話が繰り広げられ彼女も楽しそうにしていた。
空いている席に僕も座ろうと玲さんに聞いた。
「すいません、隣いいですか?」
「全然お構いなく…!」
「じゃあ失礼します。」
隣に座ると少し酔った彼女の赤い頬が見える。
こんな彼女を誰にも見せたくないと思う。
「もう酔っているんですか?」
「あはは…ワインって意外に強いんですかね。少し酔ってます。」
楽しそうに笑う玲さんをここから引き離せるわけがない。
「でもワインとかよりも宮瀬さんの料理の方が魅力的で…!つい沢山食べてしまいそうです!」
そう言って僕に「ありがとうございます」と言ってくれる。
笑ってくれる。
「あはは。焦らずに食べてください。デザートにはかぼちゃパイもありますので。」
彼女はいっそう目を輝かせてそうなんですかと言った。
玲さんはいつ見てても飽きない。
可愛らしくて僕には勿体ないとさえ思う。
でも玲さんだけは僕の隣にいて欲しい。
ずっと…ずっと。
そんな僕の考えを悟ったかのように桐嶋さんが会話を紡いだ。
「なぁなぁ。前にも言ったかもしれねーけどよ。まだ夫婦茶碗にしないのか?」
隣に居た彼女は咳き込む。
「宏弥くん、今回は間違えなかったね。偉い。」
「はぁ?!カナメ、お前馬鹿にしてんだろ!」
「いや、桐嶋の偽物かもしれないぞ。」
「そのくだりまたやるの…」
「あはは。玲さんがよくこちらに来るようになったので用意してもいいかもしれませんね。」
そう言った瞬間彼女の頬はさっきよりも真っ赤になる。
「あ、おねーさん真っ赤。」
「なんだ。俺らが邪魔ならこの部屋から出るが」
「い、いやいやいや!大丈夫、大丈夫ですから!」
彼女は慌ててそういった。
「可愛らしいのでついいじめたくなるんですよね。」
「豪、それくらいにしてやれ。」
「嫌ですよ。僕の彼女なので。」
サラッと恥ずかしい事を言った自覚はある。
でも僕の彼女だってどうしても言いたくなった。
「宮瀬、お前酔ってるだろ。」
「ワインを少し口にしただけなのに酔うわけがないですよ。」
「豪さんって顔に出ないタイプだよね。」
「余計にタチが悪いな。」
「僕は酔ってませんよ。ワインを少し飲むくらいなら。」
実際は少し酔っている。
さすがにワインを飲んで酔わない訳が無い。
彼女の前で少しカッコつけたかっただけなのかもしれなかった。
「豪さん、大丈夫ですか?」
玲さんは僕の事を心配している。
「全然大丈夫ですよ。それにまだデザートが残っていますからね。」
僕は1度キッチンに向かう。
冷やしておいたかぼちゃパイにナイフを入れて切り分ける。
すると後ろから玲さんの声が聞こえた、
「豪さん、本当に大丈夫ですか?私も手伝いますから。」
玲さんは僕の事を心配して来てくれたようだった。
「いえ、本当に大丈夫ですよ。今からケーキを持っていくので待っていてください。」
正直な所を言うと今玲さんを抱きしめたくて仕方がなかった。
酔いのせいにして。
でもそんなズルをして抱きしめるのはなにか嫌だった。
だから僕は彼女にテーブルに居てくださいと言った。
でも彼女は聞いてはくれなかった。
「じゃあ私が手伝いたいので手伝うならいいですか?」
そう言って切ったケーキを乗せたお皿をお盆に乗せていく。
「運びますから。」
お皿を全て乗せるとお盆を持とうとする。
「待ってください。」
止めてしまった。
「どうしたんですか?」
不思議そうに聞く彼女。
もちろん何かいう言葉を考えていた訳でもない。
「あの…少し酔っていると言ったら貴方はどうしますか?」
そう問うように聞いた。
「ふふふ…やっと言ってくれました。豪さんが少しカッコつけてること知ってたんですよ?」
バレていた。
そんなこと言われたら少しくらいわがままで困らせてしまいたくなる。
俺はつい彼女の腰に腕を回して抱きしめる。
「え…!あの…豪…さん?」
「我慢してた。こういうことするの。」
俺の腕の中に入るくらい可愛い玲さん。
俺は腕に力を込める。
これ以上強くしたら彼女は壊れてしまうんじゃないかという不安もあった。
でも彼女と俺の間に隙間がなくなる位まで抱きしめた。
「出来ることなら酔っている玲さんを誰にも見せたくなかった。たとえ兄さんだとしても。」
玲さんは最初はびっくりしたような感じだった。
でも俺の背中に腕を回して俺の事を抱きしめてくれた。
「人前で酔いつぶれたりはしませんよ。豪さんも私の事を心配していたんですね。」
「当たり前ですよ。ずっと心配でたまりませんでした。」
俺はつい少し腕の力を緩めて玲さんにキスをした。
玲さんの顔は真っ赤でそれこそ林檎のようだ。
「本当に俺を夢中にさせますね…」
小悪魔な笑顔が俺に向いてそれだけで心が満たされる。
「じゃあ部屋に戻りますか。」
「そうですね。週末またデート出来ますしね。」
「玲さんも楽しみにしてくれているんですか?」
「勿論です。それこそ遠足を待つ子供みたいになってます。」
「俺と同じだ。というか俺はもうクリスマスは何をしようかって位ですよ。」
「あ、私も同じです。クリスマスはそれこそ仕事が多いかもしれませんけど1日でも空けられればって思ってます。」
「似たもの同士ですね。」
「そうですね。」
2人で笑いあって切ったかぼちゃパイを持っていった。