日々
心の壁
2023/03/17 22:52八雲:……………。
創:……………。
八雲:…………おい、いつまでついてくんだよ、ストーカー。
創:な………っ、ストーカーって……家、同じなんだから仕方ないだろ!?
八雲:ちっ。
(煙草の箱から一本取り出せば口に咥え)
創:………それ、って……。
八雲:あ?
創:……乃々が言ってた。それ、何かあった時にしか吸わないって。
八雲:野津山、余計な事を……。
創:な、なぁ……何かあったのか?俺でよかったら話……。
八雲:お前に言ったところでなんとかなるわけねぇだろ、馬鹿が。
創:うぐっ………そ、うかもしんねぇけどさ、………心配だからさ……。
八雲:は?
創:じーちゃんや俺の父さんも昔から言ってたんだ。困ってる奴がいたら放っておくなって………もしかしたら、力になれるかもしれないからさ……。
八雲:………………。
(黙って咥えていた煙草を手に取れば、そのまま創の方に近付いていき)
創:え?ちょっ……やく……
(徐々に近付いて来るので後ろに下がりつつ。いつの間にか道端の塀の側まで来ていて)
ガァン!!!
創:!!?
(自分の顔の横に鋭利に尖ったものが突き刺さっている。よく見るとそれは相手の三つ編みの先端部分で)
八雲:鬱陶しいんだよ、お前………いつ、構ってくれって俺が頼んだんだ、あぁ?
創:…………!!
八雲:皆なかよく、困ったら助け合う……が常識の脳内花畑のお前には分からないだろ。お前みたいな『普通』の人間がこんな『普通じゃない』奴につるんで、お前になんのメリットがあんだ?無いだろうがよ!
創:それは、………無いかも、しれないけど…でも……。
八雲:まだあの場所に一ヶ月も住んでないような人間の事、何で俺が信じられると思ったんだ?お前。
創:…………っ!
八雲:どうせ薄々思ってんだろ……あのアパート内の連中も、お前のジジイも『普通じゃない』って。人間様と俺等人外は全くの別物だ、所詮分かり合えないんだよ。
創:そんなこと………。
八雲:さっさと出てってくれ………碌にこっちの事も知らない癖に、偽善者ぶって俺に構うんじゃねぇよ。
創:……………………。
八雲:ちっ………分かったら、今後はもう俺に関わるな。
創:………悪い………それは出来ない。
八雲:…………は?
創:俺の事が信頼されてないのは、別にいいんだ。これから、してもらえるようにするだけだから。……あと、勘違いじゃなければだけど………じーちゃんのこと、すげー信頼してくれてたんだな。
八雲:はぁ!?そ、んなんじゃねぇ……
創:八雲は構うなって言ったけど………じーちゃんはそんな八雲にも絶対構ってただろうし、多分……俺も構う。
八雲:…………っ。
創:どんだけうざがられても…………八雲があの場所に住み続ける限り、俺は八雲にも皆にも構い続ける。分からないことは知りたいし、困っていたら助けになりたいんだよ。だって、今の空蝉荘の大家は…………俺だから。
八雲:………………、……馬鹿じゃねぇの、お前………。
(顔の横に突き刺していた髪を降ろせば背を向けて)
創:や、八雲……。
八雲:………ついてくんな。
創:………………はぁー………そう簡単には上手くいかないか………。
(立ち去っていく背中を見ながら目線を下に落とし一息溢して)
ナギ:やー……青い春だねー……。
創:うわっ!?な、ナギさん……!!?びっくりした……!!一体いつから……。
(突如、後ろから掛けられた声に驚き)
ナギ:メンゴメンゴ☆はい、傷心中の創クンにはこれをあげよう。
(商店街の買い物帰りだったらしく、袋から何か取り出せばそれを創に差し出して)
創:え?あ、どうも…………何これ……。
ナギ:お肉屋さんの月一でしか買えない限定味コロッケ。めっちゃ美味いよ!
創:そんなんあるんですか!?
ナギ:あるんだなー、これが。まぁ、創クンはまだ知らないかー?こっち来て一ヶ月経ってないもんねー?
創:うっ………わりと聞いてるじゃないですか……。
ナギ:ま、落ち込んでも仕方無いっしょ。創クンは人間、ボク等が人外なのは事実だしー?でもねぇ、創クン。
創:………?
ナギ:キミは他の心ない人間達とは違うよ。本来なら、拒絶されてもおかしくない存在なワケ……ボク達ってさ。だから、外の世界でも本当の自分を隠してる。でも、キミは当たり前のように普通に接してくれてる。受け入れようと努力してくれてる………巡の言ってた通りの、優しい子だとボクは思うけどね。
創:…………ナギさん……。
ナギ:あんまボクからは話せないけどさ、八雲はそんな拒絶を幼少期から今までずっと、……ずっとされて来たんだ。そこを助けたのが、キミのお爺さん。だから、巡以外にあんまり心を開こうとしないんだよ。
創:…………そうなんですね……。
ナギ:だからさ、懲りずにまた構ってあげてよ……もしかしたら、少しは心を開いてくれるかもしんないし?
創:分かりました……俺、めげずに話しかける……!
ナギ:そうそう、その意気だよ創クン!知らない事はこれから知ってけばいいしね!巡から、あんまり危ない目に遭わせるなとは言われてるけど……。
創:ん?危ない目、って……。
ナギ:大丈夫、大丈夫!空蝉荘、巡のオリジナル結界張ってあるし!いざ、敵襲が来ても基本的には弾いてくれるから!
創:え"っ"!?そんなの起こることあるんですか!?
ナギ:起きないよ!………多分。
創:多分!?
………ジリッ…
創:ん?何だ?今の音………。
(何処からか何かが焼けるような音が聞こえ、周囲を見回し)
ナギ:あー、創クン。下、気を付けて。
創:下?
(下に目線を向けると、小さなブラックホールのようなものが現れ、そこから手が伸びてきて)えっ!?何なに、手が……!?
乃々子:っぷはぁ!!ちょっと、ナギさん!!いきなり呼び出すのやめてっていつも言ってるじゃないですか!しょーもない用件だったら……
(そのブラックホール状の黒い穴から上半身だけ乗り出して)
創:の、乃々……!?
乃々子:えっ?……………!!!?は、創君……?なんでここに……。
(聞き覚えのある呼称に目線を上げれば、思っていた当人で思わず固まり)
ナギ:さっきボク達、偶然会ってさー。
創:………の、乃々だよな……?
乃々子:…………人違イデスネ……。
(そのまま黒穴の中に帰ろうとし)
創:いやいや嘘つけ!!?
創:……………。
八雲:…………おい、いつまでついてくんだよ、ストーカー。
創:な………っ、ストーカーって……家、同じなんだから仕方ないだろ!?
八雲:ちっ。
(煙草の箱から一本取り出せば口に咥え)
創:………それ、って……。
八雲:あ?
創:……乃々が言ってた。それ、何かあった時にしか吸わないって。
八雲:野津山、余計な事を……。
創:な、なぁ……何かあったのか?俺でよかったら話……。
八雲:お前に言ったところでなんとかなるわけねぇだろ、馬鹿が。
創:うぐっ………そ、うかもしんねぇけどさ、………心配だからさ……。
八雲:は?
創:じーちゃんや俺の父さんも昔から言ってたんだ。困ってる奴がいたら放っておくなって………もしかしたら、力になれるかもしれないからさ……。
八雲:………………。
(黙って咥えていた煙草を手に取れば、そのまま創の方に近付いていき)
創:え?ちょっ……やく……
(徐々に近付いて来るので後ろに下がりつつ。いつの間にか道端の塀の側まで来ていて)
ガァン!!!
創:!!?
(自分の顔の横に鋭利に尖ったものが突き刺さっている。よく見るとそれは相手の三つ編みの先端部分で)
八雲:鬱陶しいんだよ、お前………いつ、構ってくれって俺が頼んだんだ、あぁ?
創:…………!!
八雲:皆なかよく、困ったら助け合う……が常識の脳内花畑のお前には分からないだろ。お前みたいな『普通』の人間がこんな『普通じゃない』奴につるんで、お前になんのメリットがあんだ?無いだろうがよ!
創:それは、………無いかも、しれないけど…でも……。
八雲:まだあの場所に一ヶ月も住んでないような人間の事、何で俺が信じられると思ったんだ?お前。
創:…………っ!
八雲:どうせ薄々思ってんだろ……あのアパート内の連中も、お前のジジイも『普通じゃない』って。人間様と俺等人外は全くの別物だ、所詮分かり合えないんだよ。
創:そんなこと………。
八雲:さっさと出てってくれ………碌にこっちの事も知らない癖に、偽善者ぶって俺に構うんじゃねぇよ。
創:……………………。
八雲:ちっ………分かったら、今後はもう俺に関わるな。
創:………悪い………それは出来ない。
八雲:…………は?
創:俺の事が信頼されてないのは、別にいいんだ。これから、してもらえるようにするだけだから。……あと、勘違いじゃなければだけど………じーちゃんのこと、すげー信頼してくれてたんだな。
八雲:はぁ!?そ、んなんじゃねぇ……
創:八雲は構うなって言ったけど………じーちゃんはそんな八雲にも絶対構ってただろうし、多分……俺も構う。
八雲:…………っ。
創:どんだけうざがられても…………八雲があの場所に住み続ける限り、俺は八雲にも皆にも構い続ける。分からないことは知りたいし、困っていたら助けになりたいんだよ。だって、今の空蝉荘の大家は…………俺だから。
八雲:………………、……馬鹿じゃねぇの、お前………。
(顔の横に突き刺していた髪を降ろせば背を向けて)
創:や、八雲……。
八雲:………ついてくんな。
創:………………はぁー………そう簡単には上手くいかないか………。
(立ち去っていく背中を見ながら目線を下に落とし一息溢して)
ナギ:やー……青い春だねー……。
創:うわっ!?な、ナギさん……!!?びっくりした……!!一体いつから……。
(突如、後ろから掛けられた声に驚き)
ナギ:メンゴメンゴ☆はい、傷心中の創クンにはこれをあげよう。
(商店街の買い物帰りだったらしく、袋から何か取り出せばそれを創に差し出して)
創:え?あ、どうも…………何これ……。
ナギ:お肉屋さんの月一でしか買えない限定味コロッケ。めっちゃ美味いよ!
創:そんなんあるんですか!?
ナギ:あるんだなー、これが。まぁ、創クンはまだ知らないかー?こっち来て一ヶ月経ってないもんねー?
創:うっ………わりと聞いてるじゃないですか……。
ナギ:ま、落ち込んでも仕方無いっしょ。創クンは人間、ボク等が人外なのは事実だしー?でもねぇ、創クン。
創:………?
ナギ:キミは他の心ない人間達とは違うよ。本来なら、拒絶されてもおかしくない存在なワケ……ボク達ってさ。だから、外の世界でも本当の自分を隠してる。でも、キミは当たり前のように普通に接してくれてる。受け入れようと努力してくれてる………巡の言ってた通りの、優しい子だとボクは思うけどね。
創:…………ナギさん……。
ナギ:あんまボクからは話せないけどさ、八雲はそんな拒絶を幼少期から今までずっと、……ずっとされて来たんだ。そこを助けたのが、キミのお爺さん。だから、巡以外にあんまり心を開こうとしないんだよ。
創:…………そうなんですね……。
ナギ:だからさ、懲りずにまた構ってあげてよ……もしかしたら、少しは心を開いてくれるかもしんないし?
創:分かりました……俺、めげずに話しかける……!
ナギ:そうそう、その意気だよ創クン!知らない事はこれから知ってけばいいしね!巡から、あんまり危ない目に遭わせるなとは言われてるけど……。
創:ん?危ない目、って……。
ナギ:大丈夫、大丈夫!空蝉荘、巡のオリジナル結界張ってあるし!いざ、敵襲が来ても基本的には弾いてくれるから!
創:え"っ"!?そんなの起こることあるんですか!?
ナギ:起きないよ!………多分。
創:多分!?
………ジリッ…
創:ん?何だ?今の音………。
(何処からか何かが焼けるような音が聞こえ、周囲を見回し)
ナギ:あー、創クン。下、気を付けて。
創:下?
(下に目線を向けると、小さなブラックホールのようなものが現れ、そこから手が伸びてきて)えっ!?何なに、手が……!?
乃々子:っぷはぁ!!ちょっと、ナギさん!!いきなり呼び出すのやめてっていつも言ってるじゃないですか!しょーもない用件だったら……
(そのブラックホール状の黒い穴から上半身だけ乗り出して)
創:の、乃々……!?
乃々子:えっ?……………!!!?は、創君……?なんでここに……。
(聞き覚えのある呼称に目線を上げれば、思っていた当人で思わず固まり)
ナギ:さっきボク達、偶然会ってさー。
創:………の、乃々だよな……?
乃々子:…………人違イデスネ……。
(そのまま黒穴の中に帰ろうとし)
創:いやいや嘘つけ!!?