日々

大家はじめました~朝の巻~

2023/02/13 23:06
拝啓、天国の母さん。如何お過ごしでしょうか。

俺はこの間住んでいた下宿先に車が突っ込み、家を失いました。

そんな俺は今、どうしているかというと─────



何故か、『大家業』をしています─────。
















創:ふぁ……………ぐっ……眠い……。
(アパート前の道路を箒で掃きながら欠伸をし)


曙:創さん!おはようございます!

創:ん?ああ。ぼの………お早う。

アリア:お早うございます。

創:アリアもいたのか……お早う。二人とも早いな。

曙:僕は今日、日直なので……アリアさんは?

アリア:僕は朝練ですよ……。

創:暗いな……嫌なのか?

アリア:嫌です。

創:即答……。

曙:でもアリアさん、合唱好きだって言ってませんでした…?

アリア:ええ、好きですよ。好きですけど……

創:けど?

アリア:スウと一緒に登校したかった………!

創:あー……。

曙:スウさんは帰宅部ですもんね……。

アリア:僕とスウの仲を引き裂くなんて、いい度胸です朝練………こうなったら、徹底的に歌ってやりますよ……!!

創:歪んでるな……情緒……。

曙:あはは………じゃあ、行ってきますね。

アリア:行ってきます。

創:おう。気を付けてな!
(手を振りながら二人を見送り)


リズ:は~じ~め~く~~~ん!!
(後ろからぶつかり)


創:ぎゃっ!!!?りっ、リズさんそれほんとやめて……!!
(背中に感じた感触に持っていた竹箒を落とし)


リズ:えぇ~……私の楽しみを奪わないでよぉ……創くぅん…!

創:はぁ………って、リズさんがこの時間起きてるの珍しくないですか?まだ7時ですよ?

リズ:今日はマスターに手伝ってほしい事があるって頼まれたのよぉ。だから早出なのぉ。

創:へー……大変ですね。

リズ:そんなことないわぁ。それより、創君がここに来て二週間だけれども空蝉荘にはもう慣れたぁ?

創:いやー……その、慣れない……カナー……?
(目線を反らし)


リズ:創君、場所が変わると寝れなくなるタイプなのぉ?

創:そーじゃないんですけど、……んー……その、奇天烈な経験には慣れてなくて…。

リズ:庭の桜で妖怪達がお花見してたりとかかしらぁ。

創:それ!!夜中急に庭が騒がしくなるから何かと思った!!

リズ:あれ、毎年なのよぉ。因みに、お盆とかお正月にも遊びに来るからおもてなししてあげてねぇ。

創:それも俺の仕事…!?じーちゃん、色々引き受けすぎじゃ……!?

リズ:巡さん、賑やかなのが好きだし、敵対心とかないから何でも受け入れちゃってるのよねぇ……。

創:じーちゃん………あ、そうだリズさん。聞きたいことあるんですけど……。

リズ:なぁにぃ?あ!デートのお誘いねぇ!いつがいいのかしらぁ?私はどこでも……
(言いながら創の右手を両手で握り)


創:じゃなくて!……俺の隣の部屋の人が未だに捕まらないんです。

リズ:あら、まだ会ってないのねぇ……この間見かけたから、ちゃんと家には帰ってるはずなのだけれどぉ……。

創:どんな人なんすか?

リズ:んー……ちょっとシャイ?みたいな感じかしらぁ。

創:シャイ………?

リズ:いい子なのよぉ。巡さんがよく面倒みていたし………確か、創君と同じ大学のはずよぉ。

創:え!じゃあ、どこかで見かけてるのか……?

リズ:そうかもしれないわぁ。案外、おんなじ学部だったら面白いわねぇ……。

創:そんな偶然あったら怖すぎる……!

リズ:ふふっ、それじゃあ私もそろそろ行くわねぇ。創君も遅刻しちゃダメよぉ?

創:はい!行ってらっしゃい!

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