Everyday

誘いの森

2023/07/08 18:44
僕は今─────夢を見ているんだろうか─────?















───高校、某教室───



依澄:ふぅ………。

ユーゴ:うう~………。

依澄:だ、大丈夫?犬飼君……。

ユーゴ:テスト嫌だよ~……パンクしそ~……。
(机に突っ伏し)


依澄:今回の期末、範囲が広いからね………何処か分からない所があれば教えるよ。

ユーゴ:ほんとにほんと~……?じゃあ、全部……。

依澄:全部……!?

ユーゴ:だって~……授業、寝ちゃうんだよ~……。

依澄:うーん………眠いのは分かるけど、ちゃんと起きていないと………留年したら困るでしょ?

ユーゴ:それはそうなんだけどねぇ~……。

依澄:んー……じゃあ、今から勉強見るから……図書室でいい?

ユーゴ:依澄、勉強見てくれるの~……?

依澄:今日はウォーター君も土矢さんも休みだし、二人とかの方が分からない所聞きやすいかなって……。

ユーゴ:うぇ~……依澄優しい~……。

依澄:今日は犬飼君の一番苦手な科目にしよう。特に何が苦手なの?

ユーゴ:すーがく~。

依澄:数学は覚えたら簡単で楽しいよ。早速行こう!

ユーゴ:それ、依澄や理系が得意な人の台詞だよ~……。



***



依澄:ここの式をこっちに当てはめて………。

ユーゴ:あ~……そっかぁ~!ちょっと分かったかも~!

教員:おい、お前達!そろそろ最終下校時間だぞ!

依澄:えっ!?………わぁ、本当だ……19時前……!すみません、すぐに帰ります!
(図書室の時計を確認すると、長針は10のところを指しかけており)


ユーゴ:まだ19時前だと明るいもんね~~……。

依澄:でももう夏至は過ぎてるから、19時を越えたら暗くなっちゃうよ……早く帰ろう。

ユーゴ:おっけ~…。依澄、だいじょ~ぶ~……?おうちの人に連絡した~……?

依澄:一応、遅くなるとは妹に言ったんだけれど………。

ユーゴ:ほほ~……。あ……じゃあ、ほんの少しだけ寄り道していい~……?

依澄:寄り道?



ユーゴ:ごめんね~……、依澄~。
(コンビニから出てきて)


依澄:大丈夫だよ。お腹空いたの?

ユーゴ:ん~ん……はい、これ~。
(小さい袋を手渡して)


依澄:…………?これは………サイダーとグミ?
(中には缶のサイダーとソーダ味のグミが入っていて)


ユーゴ:今日のお礼~。

依澄:えっ!?よ、良かったのに……。

ユーゴ:依澄は、いつも頑張ってて偉いから~…。おれもだし、ヴォルフやランだって、みんな依澄に感謝してるんだよ~?

依澄:そ、それは………皆が………とっ……。

ユーゴ:と~?

依澄:と、友達、だから………。

ユーゴ:…………!うん、そうだね~……!あ、この辺りかな~……じゃあ、今日はありがと~。また分かんないとこ聞いてもい~い~?

依澄:勿論!

ユーゴ:それじゃあ、おれはこの辺で~……。

依澄:いつも思うんだけど、犬飼君の家は森にあるの……?

ユーゴ:ん~っと~……森は一瞬通るけど~~、そんなに遠くじゃないから大丈夫~。依澄は入っちゃ駄目だよ~?

依澄:森は夜は立ち入り禁止だもんね……分かってるよ。

ユーゴ:じゃあ、また明日ね~?
(手を振りつつ背を向け。その際、リュックから何かを落として)


依澄:………!何か落とした……。これは………ブレスレット……?
(走って落としたものを拾いあげ。拾ったものを見れば、それは金属製のプレートの付いたブレスレット。ブレスレットだが留め具部分は壊れて付けられなくなっていて、プレート部分には『No.8325』と彫られている)


依澄:何かの数字………?………って、それより追いかけないと……!森に入ってまだ一分も経ってないし、大丈夫だよね……?

依澄:でも一応、ひよに連絡しておいて………よし。犬飼君!ちょっと待って……!
(スマホから連絡ツール上にメッセージを送り、鞄に仕舞えばそのままあとを追い掛けて)




───19時30分、鵜久森家───



陽依:ウルラさ~ん、お腹空いたよ~~~!お兄ちゃん、まだ~~~??

ウルラ:俺に言うな………飯は全員揃ってからって決めてるだろうが。それに、今日は学校でダチに勉強教えてるっつってたろ。

陽依:お兄ちゃん、人が良すぎなんだよ~~……あ!連絡来た!
(スマホがピロリと鳴り、手にとって)


ウルラ:なんつってる?

陽依:えーと……『友達が落とし物してたから届けてから帰る。20時には着くと思います。』……だって!

ウルラ:どんくせぇダチだな……一応、帰る前に電話寄越せよってメッセージ送っとけ。

陽依:はーい!えーと、『帰る前に電話してね』………送信!

ウルラ:それよりひよ、お前宿題終わったのか?

陽依:えっ!?い、いや~……終わったよ?
(目線を泳がせて)


ウルラ:よーし、終わってねぇな?ったく……依澄が帰ってくる前に終わらせて来いよ。

陽依:うう~……はぁ~い……。
(肩を落としつつ自室のある二階の階段へと向かい)


ウルラ:………依澄の奴、大丈夫なのか……?
(台所の時計を一瞥して)

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