Everyday

とあるメイドの一日~その2~

2023/05/30 21:38
《p.m.12:15》
───昼ヶ崎町、スーパーマーケット───



シンシア:ベアードさま、顔色がすぐれないのです………大丈夫ですか……?
(ピンク基調のうさ耳のパーカーワンピースを着ており、横に居るベアードの様子を窺って)


ベアード:……………問題ない。
(水色基調のくま耳のパーカーでフードを深く被り)


シンシア:ネクさま………ベアードさま大丈夫でしょうか……?

ネク:いーんだよほっとけ。折角いい服着せてやってんのに拗ねてるだけだから。

シンシア:えっ?

ベアード:………俺は子供ではない……。
(頬を膨らませながらフードを引っ張り顔を隠して)


シンシア:だ、大丈夫です……!ベアードさま、すごくお似合いですよ!

ネク:そうだそうだ!いやー……甘太郎の知り合いにこんなん作れる奴がいるとか………シンディのも天使と見紛うレベルだよ天才かよ……。

シンシア:ほんとうですか?ふふっ、アビスさまに言ったらよろこんでくれると思うです!

ネク:おうおう!それで、もっと女子達の可愛い服作って送ってもらえ。金なら積む。

シンシア:はいなのです!えーっと、じゃあ気を取り直して……生クリームでしたね!

ネク:いやまてシンディ……阿呆がいない。

シンシア:えっ!?ベアードさま……?!

《p.m.12:20》
ベアード:……………………相変わらず騒がしいな………ん?
(一人でふらふらしていて、人だかりの居る方に立ち寄れば、マグロの解体ショーが行われているみたいで)


店員:お、僕一人かい?お母さんは?
(ベアードに気付いたらしい中年の店員の男が声をかけてきて)

ベアード:…………これは何をしているんだ……?

店員:ああ、マグロを捌いているんだよ。これから細かく分けるところさ。

ベアード:………細かく………すれば良いのか?

店員:ん?

ベアード:ふむ…………こう……。
(マグロに触れるか触れないくらいまで指を伸ばし、人差し指で宙に×印を書き。すればマグロが一気にサイコロ状になり)


店員:!!?

客:なんだなんだ!?

客:マジックか!?!

店員:ち、ちょっとぼく!?困るよぉ、勝手にこんなことしちゃ……!

ベアード:…………?何故?細かくしたかったのだろう……?

店員:それはそうなんだけどねぇ……。

ネク:はーいはいはい、すいませんねぇ!!!
(人だかりを掻き分けベアードの所まで来ればフードを掴み引っ張り上げ)


客:!?

ベアード:………ああ、ネク……来たのか……。

ネク:お前っ………本当にふざけんなよ……?

店員:ちょっと、お姉さんその子あなたの子供かい?駄目じゃないか、目をはなした…

ネク:わりーな、おっさん。ちょっと忘れてくれや……………《rewind time》
(店主の男の眼前に手を伸ばし、一言。すると周囲の時間が巻き戻り始め、マグロが途中まで捌き終えている所まで戻っているようで)


店員:………あれ?

客:おいちゃーん!続き見せてくれよ!

店員:………さっき何が起こったんだ……?まぁいいか……。
(周囲を見回すも先程の不思議な子供と女性の姿はなく、首を傾げつつも作業に戻るようで)


***


《p.m.12:30》
ベアード:いや………退屈していたのでな、その辺を散策でもと思っていたら人間達が集まっていたから何事かと………。

ネク:だからって一般人の前で魔法を使う奴が居るかよ阿呆が!!!!!
(ベアードの頭目掛けチョップし)


シンシア:はわ……あぶなかったのです……!

ネク:あんなんしたら擬態してる意味全っっっ然ねーから!!じっとしとけ!!

ベアード:……………むう……。
(不貞腐れて頬を膨らませて)


シンシア:べ、ベアードさま!もし良ければ、シンディなにかおやつ作るです!一緒に材料みてまわりましょう?なにがいいですか?

ベアード:……………羊羹。

シンシア:わかったのです!お茶はなにがいいですか?

ベアード:…………昆布茶もあるのか……?

シンシア:ありますよ!

ベアード:………そうか。じゃあ、一緒に見て回ろう………俺も興味がある。

シンシア:はいなのです!

ネク:………………。
(見た目可愛いのに内容は爺孫なんだよな………。)


《p.m.13:10》
シンシア:生クリームもようかんの材料もぶじに買えてよかったですね!

ベアード:ああ………そうだな……。

シンシア:すみません、荷物持ってもらって………。

ベアード:……これくらいどうということはない。

ネク:そーだよ。つか、シンディが重いもの持つ必要なんて一切ねぇ!!

ベアード:…………む?

ウルラ:げっ………お前等何してんだ揃いも揃って………。
(いつものエプロンルックに片手にエコバッグを提げており)


ベアード:誰かと思えば梟か………久しいな。息災だったか?

ウルラ:別になんも変わんねぇよ……。

シンシア:おふたりのおしりあいですか?

ネク:うぉい、このチンピラ梟よぉ………シンディ(とついでにベアード)の半径3m以内に入るんじゃねぇよ【諸事情により表示できません】すぞ???

ウルラ:おい、今画面向こうに言えない事言ったぞこの女………。

シンシア:………?ネクさま、どうかしたのですか?
(ネクに耳を塞がれていたようで首を傾げつつ)


ネク:なんでもないよ(はぁと)

ウルラ:あー、あれだ。お前んとこに居るだろ?犬っぽいやつの……そいつの友達の家にいる居候だ、居候。

ネク:は?ニートだろ。

ウルラ:ニートじゃねぇよ!!なんなら一番働いてるわ!!!

シンシア:ユーゴさまのご学友の家の方でしたか……はじめましてなのです!シンディはシンディなのです!ダークナイトマンションのメイドなのです!

ウルラ:あいつ等こんな幼子に家の事押し付けてんのか……?

ベアード:…………?俺はしてないぞ……。

ウルラ:お前に言ってねぇんよそもそも!!………ったく、用事済んだらさっさと帰れよ。

シンシア:あ!あなたさまのお名前は……?

ウルラ:ウルラだ。宵待ウルラ。

シンシア:ウルラさま……!お一つだけいいですか?

ウルラ:んぁ?

シンシア:あたまのそれ、すごくお似合いなのです!シンディとおそろいですね!

ウルラ:あたまの…………?………!!!なんだこれ!!?
(指摘に嫌な予感がし頭部を触ると何が柔らかいものが触れ。手に持てばそれはうさ耳のカチューシャで)


ネク:あっ、シンディ!折角おもしれーから黙っとこうと思ったのに…!

ウルラ:だーーーっ!!あのババア……帰ったら殴る…!!
(カチューシャを外せば地面に叩き付けるように投げ捨て)


ネク:おい!!依子さんになんて口のきき方しやがる!!頭が高いわ!!

ウルラ:いや、お前アイツのなんなんだよ!?そもそも、お前の主は横の奴だろうが!

ベアード:まぁ、………一応は………そうなるな…………。
(立ったまま船を漕ぎはじめ)


ネク:こいつは適当でいいんだよ!!

シンシア:あっ……!ネクさまネクさま……!
(服の裾を引っ張り)


ネク:ん?どした~~~シンディ~~~。

シンシア:ベアードさまがおねむです……!

ネク:あっ、やべ。

ベアード:……………………………。
(地面に倒れてはいるが、穏やかに寝息を立てており)


ネク:そういう訳だから、依子さんにくれぐれも……くれぐれも!!失礼無いようになこのクソチンピラ梟!!
(ベアードを小脇に抱えながら、ウルラを指差して)


シンシア:では、ウルラさま!お先に失礼するのです!
(ぺこりと頭を下げれば屋敷の方に踵を返して)


ウルラ:………………相変わらずやべぇなあの女……。
(遠くなる背中を見ながらぽつりと溢して)

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