日常

猫の日ですって

2023/02/22 23:07
───妖ノ山・山頂、錦宅───



鑑:…………馳走になった……。

錦:ごちそうさん。焔、あんたまた料理の腕上げたんじゃないのかい?

椎名:ふふ、お粗末様でした。そんな感じは全然しないんだよ。僕が好きで作ってるだけだし、居候が良く食べてくれる子だから……。

錦:絶対いい妻になれるさね。

椎名:妻なのかい!?

鑑:…………だが、もっと誇ってもいい……。

錦:そうさね。あんたは昔から謙遜しすぎなんだよ。

椎名:あはは……謙遜してる訳じゃないんだけどね……。

松葉:………貴様等!!!待たせたな!!!
(勢い良く引き戸を開けながら)


錦:寒っ!!ちょっと、松坊!!早く閉めるさね!!

鑑:…………雪まみれだな……松葉。

松葉:これくらい、我が地獄の覇気を纏いし炎があれば一瞬で……

椎名:もう、そういう問題じゃないでしょう……!駄目じゃないか、ちゃんと暖かくして来ないと……。

松葉:む……。

錦:焔はすっかり母親だねぇ。

椎名:父親じゃなくて…!?

松葉:そうだぞ、焔。子供扱いするな。俺様はもう立派な魔王だぞ?

椎名:でもね、もし松葉が風邪でも引いたりしたら……。

松葉:大丈夫だと言っている。
(明らかに不貞腐れており。部屋の温度がどんどん上がっていき)


鑑:………拗ねたな…。

椎名:うーん……僕はただ心配なだけなんだけどなぁ……。

錦:ちょっと、松坊!あんた、一つでも酒瓶にひび入れたりしたら承知しないよ!!

松葉:む……。

鑑:(思ったより早く収まったな…。)

椎名:(……みたいだね。)

錦:全く……それで、遅れて来たからにはそれなりの理由があるんだろうね?

松葉:いかん、そうだったな!貴様等、これを見よ!!
(思い出したように手を合わせれば、持っていた風呂敷を床に置きつつ何かを取り出すようで)


椎名:…………?

鑑:…………それは、何なんだ……?

松葉:『猫耳』だ!!!

三人:……………………?

松葉:道中で小豆の子に会ってな……『今日は猫の日なのですよ』と俺様にくれたのだ。

鑑:………まさかとは思うが、それ……。

松葉:無論!!人数分もらってきておいたぞ!!

鑑:………………。

錦:ちょっと、待ちなあんた!!逃げようったって、そうはさせないよ!!
(背を向けた鑑の肩を掴みつつ)


鑑:…………需要がなかろう……こんな陰湿な大男に、獣の耳が着いたところで……。

錦:分かってんじゃないか。確かに、それは否定しないけどねェ…。

鑑:…………………。(ずーん)

椎名:に、錦ったら……。

松葉:否、『需要、あるですよ!』と小豆の子は言っていたぞ。

錦:……………あ。

椎名:ど、どうしたんだい?錦……。

錦:尺が無いよ。

椎名:えっ……!?

松葉:続けるか!!次回に!!

椎名:続けるの……!?

鑑:……………………。
(虚ろな目で遠くを見つめ)

コメント

コメントを受け付けていません。