日常

悩める猫娘

2023/02/13 23:35
──妖怪ノ里、甘味処・望月──



黄名子:うーむ……。

紅:黄名子が一人で来るの珍しいわね。

黄名子:紅ちゃーん!ごめんねぇ……休憩中に押し掛けてぇ。

紅:別に黄名子なら構わないわよ。それより、何か考え事?

黄名子:えっとねぇ……紅ちゃんって、望月の人たちにチョコあげるぅ?

紅:勿論よ。お世話になってるもの。

黄名子:だよねぇ……。

紅:獄鬼の方には……って、人数が多いわね。

黄名子:獄鬼は毎年各チ〇ルチョコ3個だよぉ。じゃなくてぇ……。

紅:歯切れが悪いわね……何かあるの?

黄名子:向こうでお世話になってる人にもあげようかにゃーって思ってるんだけどぉ……。

紅:うんうん。

黄名子:なんだろー……一人、どうかなーって人がいるんだよねぇ……。なんかこう、こういう浮わついたのとか好きじゃにゃいかなぁ?って感じがするんだよねぇ……。

紅:あら、いいじゃないの。感謝の気持ちってことで……その方はチョコレート苦手なのかしら?

黄名子:そういう話は聞いたことないけどぉ………んー……感謝かぁ……。

紅:…………?黄名子?

黄名子:………おっ!!そうだ!!そうしよう!!

紅:え?

黄名子:ありがとぉ、紅ちゃん!解決したぁ!
(椅子から立ち上がり)


紅:そう?それなら良かったわ。

黄名子:じゃあ、またー!おじゃましましたぁ!

紅:ええ。また来てね。
(手を振りながら見送って)


満朔:…………匂うな。

雀:えぇ…………匂うわね。

紅:きゃ……!?店主様に雀様…!どうしたんですの?匂うって私…

満朔:いや、それは天地がひっくり返っても絶対にない。

雀:そうよぉ。紅はいつでもお花の香りだから安心なさいな。

紅:それは言いすぎですわ…!じゃあ、なんの事ですの?

満朔:紅、こういうの好きそうだしすぐ気付くと思った。

紅:え?

雀:『えっとぉ……ちょっと気分ー?』とかで急に髪にリボン着け始めた獄鬼の紅一点がバレンタインのチョコについて相談してきたのよ。考えられるって言ったら……。

紅:はっ……!し、しまったですわ……!もっと深く掘り下げなきゃいけませんでしたわね……!

満朔:まー、俺の見立てだとまだまだっぽいけど。

雀:それはアタシもちょっと思ってたわ。恋愛的な好意のちょっと手前、って感じねぇ……。

紅:これは………14日が終わったら突撃確定ですわね……!

鳴巳:あのう…、皆さん……?そろそろお昼食べた方が……。
(厨房の引き戸から顔を出しつつ)


雀:あらいやだ。もうすぐ再開時間だったわね。

満朔:うっし!じゃー、さっさと飯にして午後も頑張りますか。

紅:ええ!

鳴巳:はい……!

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