日常
君と共に
2023/12/11 21:31───***日後───
コツコツ
白藤:………!開いてますよ。
黒喰:………すまない、今日は遅くなってしまった。
(あまり音を立てないようゆっくりと戸を開け)
白藤:いえ、全然です……!村の方に見つかりませんでしたか……?
黒喰:ああ……結構隠れるのは得意なんだ。
(白藤の側まで歩いて行けば隣に腰を下ろし)
白藤:今日は何を話して下さるんですか?
黒喰:そうだね………この間、ユキウサギを見掛けたよ。
白藤:まぁ!ユキウサギって真っ白なウサギさんですよね?
黒喰:夏の時期は褐色なんだよ。今の時期だけ白い毛なんだ。
白藤:そうなんですね……私、まだ目が見えていた頃に一度だけ見たことがあるんです。一度は触ってみたいんですけど……。
黒喰:野生のものは警戒心も強いし、難しいんじゃないかな。
白藤:そうですよね……なら、ユキウサギを作ります!
(手を宙に伸ばせば小さな雪雲が天井付近に発生し、雪が降り始めて)
黒喰:見えてないと難しくないかい?
白藤:いえ!私は雪を降らせるので、黒喰様が作って下さいな。
黒喰:私が?
白藤:はい!
黒喰:ふむ………。
(床の一部分に積もった雪を掬い、形を整えて)
白藤:………………ふふっ。
黒喰:……急に笑って、どうしたのかな。
白藤:いえ………私、こんなに楽しいのは久し振りで……。黒喰様が来る前は、こんな事ありませんでしたから……。
黒喰:………………白藤。
白藤:………?はい、なんでしょう?
黒喰:その………様、は辞めないか?
白藤:えっ……。
黒喰:私は偉くも何ともないし………少なくとも、君とは対等でありたいと思っているん………だが……。
(言っていて気恥ずかしくなったのか、段々と小声になっていき)
白藤:………そ、そうですか……じゃあ……黒喰?
黒喰:……………。
白藤:………?どうかしました?
黒喰:…………………何でもないよ。
白藤:いえ、分かりますよ……照れていますね?
黒喰:……照れてない。
白藤:本当ですか?じゃあ、私が確かめてあげます!
(ぺたぺたと床に手をつきながら黒喰の方に寄ればそのまま抱きついて)
黒喰:ちょっ……!?
***
白藤:─────♪
黒喰:………君の歌は心地良いね。
白藤:…………?そうですか……?
黒喰:いつも同じ歌だけれど、何の歌なのかな。
白藤:これは………誘いの歌なんです。
黒喰:誘い?
白藤:黒喰は………あの日、歌声が聴こえて、それでここまで来ましたよね。
黒喰:そういえば……そうだったね。
白藤:私の歌には、対象の意識を凍らせて誘き寄せる力があるんです。
黒喰:凍らせる……とは?
白藤:一種の洗脳のようなものです………歌声を聴いた者の脳に直接響かせて、『歌が聴こえる方に行かなければ』と思わせる……。そうやって私の元へと引き寄せるんです。ですが、ただ引き寄せるだけでこれと言って何かある訳ではないんですよ。
黒喰:………………。
白藤:幻滅、しましたか……?
黒喰:………何故?
白藤:だって……………んっ……!
(言葉を続けようと口を開こうとするも、目の前の相手に阻止され)
黒喰:……………白藤………私はね、あの日君に救われたんだ。
(そっと口元から離れて)
白藤:え…………?
黒喰:前の村では……ずっと避けられ、疎まれて………居場所がなかったんだ。挙げ句の果てに首を絞められて………いっそ、この世に居ない方が良いのかと……。
白藤:………!そんなことないです……!
黒喰:…………そんな時だ。君の歌を聴いたのは。
白藤:…………!
黒喰:君の歌は………私にとっての希望だ。こうやって出会う事が出来た………本当に感謝しているんだ、白藤。
白藤:………黒喰……。
黒喰:私は………君と共にありたい。この先の未来を………君と見たい。
(白藤の手を握り、自分の指を指の間に差し込んで)
白藤:…………………、いいん、ですか……?
黒喰:…………何がかな。
白藤:私は………貴方の顔を見ることも出来ないのに…………、本当に幸せになれるかも………分からないんですよ……?
(段々と涙声になりながら言葉を紡ぎ)
黒喰:もう十分過ぎるくらい、君からは幸せをもらっているよ……これからは私が君を守る…………此処から共に逃げよう、白藤。
(握り込んだ手とは反対の手で白藤の体を引き寄せて)
白藤:……………はい、…………喜んで……お受けします……。
コツコツ
白藤:………!開いてますよ。
黒喰:………すまない、今日は遅くなってしまった。
(あまり音を立てないようゆっくりと戸を開け)
白藤:いえ、全然です……!村の方に見つかりませんでしたか……?
黒喰:ああ……結構隠れるのは得意なんだ。
(白藤の側まで歩いて行けば隣に腰を下ろし)
白藤:今日は何を話して下さるんですか?
黒喰:そうだね………この間、ユキウサギを見掛けたよ。
白藤:まぁ!ユキウサギって真っ白なウサギさんですよね?
黒喰:夏の時期は褐色なんだよ。今の時期だけ白い毛なんだ。
白藤:そうなんですね……私、まだ目が見えていた頃に一度だけ見たことがあるんです。一度は触ってみたいんですけど……。
黒喰:野生のものは警戒心も強いし、難しいんじゃないかな。
白藤:そうですよね……なら、ユキウサギを作ります!
(手を宙に伸ばせば小さな雪雲が天井付近に発生し、雪が降り始めて)
黒喰:見えてないと難しくないかい?
白藤:いえ!私は雪を降らせるので、黒喰様が作って下さいな。
黒喰:私が?
白藤:はい!
黒喰:ふむ………。
(床の一部分に積もった雪を掬い、形を整えて)
白藤:………………ふふっ。
黒喰:……急に笑って、どうしたのかな。
白藤:いえ………私、こんなに楽しいのは久し振りで……。黒喰様が来る前は、こんな事ありませんでしたから……。
黒喰:………………白藤。
白藤:………?はい、なんでしょう?
黒喰:その………様、は辞めないか?
白藤:えっ……。
黒喰:私は偉くも何ともないし………少なくとも、君とは対等でありたいと思っているん………だが……。
(言っていて気恥ずかしくなったのか、段々と小声になっていき)
白藤:………そ、そうですか……じゃあ……黒喰?
黒喰:……………。
白藤:………?どうかしました?
黒喰:…………………何でもないよ。
白藤:いえ、分かりますよ……照れていますね?
黒喰:……照れてない。
白藤:本当ですか?じゃあ、私が確かめてあげます!
(ぺたぺたと床に手をつきながら黒喰の方に寄ればそのまま抱きついて)
黒喰:ちょっ……!?
***
白藤:─────♪
黒喰:………君の歌は心地良いね。
白藤:…………?そうですか……?
黒喰:いつも同じ歌だけれど、何の歌なのかな。
白藤:これは………誘いの歌なんです。
黒喰:誘い?
白藤:黒喰は………あの日、歌声が聴こえて、それでここまで来ましたよね。
黒喰:そういえば……そうだったね。
白藤:私の歌には、対象の意識を凍らせて誘き寄せる力があるんです。
黒喰:凍らせる……とは?
白藤:一種の洗脳のようなものです………歌声を聴いた者の脳に直接響かせて、『歌が聴こえる方に行かなければ』と思わせる……。そうやって私の元へと引き寄せるんです。ですが、ただ引き寄せるだけでこれと言って何かある訳ではないんですよ。
黒喰:………………。
白藤:幻滅、しましたか……?
黒喰:………何故?
白藤:だって……………んっ……!
(言葉を続けようと口を開こうとするも、目の前の相手に阻止され)
黒喰:……………白藤………私はね、あの日君に救われたんだ。
(そっと口元から離れて)
白藤:え…………?
黒喰:前の村では……ずっと避けられ、疎まれて………居場所がなかったんだ。挙げ句の果てに首を絞められて………いっそ、この世に居ない方が良いのかと……。
白藤:………!そんなことないです……!
黒喰:…………そんな時だ。君の歌を聴いたのは。
白藤:…………!
黒喰:君の歌は………私にとっての希望だ。こうやって出会う事が出来た………本当に感謝しているんだ、白藤。
白藤:………黒喰……。
黒喰:私は………君と共にありたい。この先の未来を………君と見たい。
(白藤の手を握り、自分の指を指の間に差し込んで)
白藤:…………………、いいん、ですか……?
黒喰:…………何がかな。
白藤:私は………貴方の顔を見ることも出来ないのに…………、本当に幸せになれるかも………分からないんですよ……?
(段々と涙声になりながら言葉を紡ぎ)
黒喰:もう十分過ぎるくらい、君からは幸せをもらっているよ……これからは私が君を守る…………此処から共に逃げよう、白藤。
(握り込んだ手とは反対の手で白藤の体を引き寄せて)
白藤:……………はい、…………喜んで……お受けします……。