日常
導きの魔王
2023/12/01 22:28茜:…………………っ、……ん……。
千草:おい、起きたぞ。
蘇芳:大丈夫っすか!?
小豆:あーくん!良かったのですー!
茜:え、何………なんでこんなに人居るの……。
(目を開けた先には自分が思っているより多く人がおり、困惑しつつも布団から身を起こして)
千草:お前、いきなり目の前で倒れただろ。
茜:あー………そうだった………っつ。
(こめかみ辺りを押さえながら顔をしかめて)
琥珀:まだ無理は禁物ですよ。
茜:………!ぬら様……。
蘇芳:薬持ってきてるっすよ。飲めるっすか?
茜:それは飲むけど、それよりお腹空いた……。
千草:緊張感無いな……。
小豆:あーくん、安心するのです。おはぎなら沢山あるですよ。
茜:食べる。
小豆:たーんと召し上がれなのです!
~十分後~
茜:それで、俺に何の用だったの?
(ひとしきり食べ終えたようで、湯呑みの茶を啜りつつ)
千草:お前、ヤバイな……重箱10段分だぞ……?。
茜:は?何、喧嘩売ってる?
小豆:ちーたん、あーくんはこれがデフォルトなのです。多分、まだ腹三分くらいですよ。
茜:いや、二分だね。
千草:そんなこと聞いてない!!
琥珀:こほん、………そろそろ話しても良いです?
小豆:はっ……そうですね!こーさん、どうぞです!
琥珀:茜が倒れたのは妖力の使いすぎと……憶測ですが、黒喰の毒にやられていますね。
茜・千草・小豆:!?
千草:で、でもあいつ……もう毒は使っていないって言ってたぞ?
小豆:そうですよう!
茜:そうだよぬら様……ただ過去を視ただけで、俺は別に何もされて……。
琥珀:茜、違いますよ。貴男は黒喰の『過去の毒』にあてられたんです。
茜:………過去の毒?
小豆:それって、あーくんがクロさんの過去を視たから……その視た過去で使っていた毒にあてられたってことです?
琥珀:そんな感じです。あとは、単純に黒喰の負の妖気の影響でしょう……妖力の強い者は、他者の妖気に敏感ですから。
千草:そ、そんなにヤバかったのか?黒の過去……。
茜:ヤバいというかなんと言うか………。
小豆:ゆきちゃんにも話せそうな内容なのです?
茜:…………話せないことも、無いけど……。
千草:…………話し辛い内容みたいだな…。
茜:それより、肝心のあのチビっ子は何処行ったの。
小豆:ゆきちゃん、クロさんが居なくなっちゃって大分憔悴しちゃって……あーくんが寝てる間に、ちーたんと洞窟まで様子を見に行ったのです。そしたら……。
千草:洞窟が全部氷漬けだ………とてもじゃないが、側にいれる状態に無い。
琥珀:雪白は松葉と同じように、感情に能力が左右されるタイプですからね………今は松葉と焔が様子を見てくれています。
茜:………そう。
小豆:そういえば……。
(ふと思い出したようで、袂から取り出してそれを広げて)
琥珀:おや、……それは?
小豆:ゆきちゃんが描いたクロさんの似顔絵なのです。たしか、誕生日が近いからと描いていたのですよ。
千草:………何処に行ったんだよ、黒のやつ……。
琥珀:とりあえず……今日は茜も本調子では無いですし、続きは明日にしましょう。
小豆:二人は放置していても大丈夫なのです……?
琥珀:黒喰は……今はそっとしておきましょう。それよりも雪白の方が気になります………あの洞窟は黒喰が居ることで結界が張られていた状態でした。その黒喰が居なければ、あの洞窟はただの洞穴同然です。今の不安定な雪白をそのまま放っておくのは、流石に危ないですから……。
小豆:まーさんとえーさんに今は任せるしかないのですね……。
千草:にしても、にこにこした奴はともかく……あの変な奴は大丈夫なのか?任せても……。
琥珀:あの二人と雪白には昔少々ありましてね……まぁ、大丈夫ですよ。
───儀式の洞窟、最深部───
松葉:ふはははは!!雪の子よ、晩餐を持ってきてやったぞ!!
(片手に椀を持ちつつ自身ありげに現れ)
雪白:…………………。
(黒喰の襟巻きを身体に巻き付けた状態で体操座りで隅の方に縮こまっていて)
椎名:ゆ、雪白さん?何か食べないと元気が出ないよ?
雪白:いらないもん…………。
(ふるふると首を横に振りつつ)
松葉:心配せずとも、奴は帰って来るだろう。
雪白:ちがうもん!!わたし捨てられちゃったんだもん!!
椎名:そんなことないよ……どうしてそう思うの?
雪白:だって………だってぇ……てがみにかいてたんだもん……。
(再び目に涙を溜めながら、くしゃくしゃに丸められた紙のある方を指差して)
松葉:む?これか……。
(言われた方に行き、丸められた紙を拾い上げればそれを開いて)
椎名:えっと……『私は君に相応しくない………私抜きで、君は生きてくれ』……?
(松葉の後ろから覗き込んで内容を読み上げて)
雪白:ふさわしい……って、よむの……?
椎名:え?あ……うん。そうだよ。
雪白:どういう意味…?
椎名:えっと……釣り合ってる、とかそういう感じかな。多分文章の感じだと、黒は自分が雪白さんと釣り合ってないって感じていなくなったのかもしれないね……。
雪白:わたしがわるい子だから……?
椎名:そ、それは違うよ!きっと……。
雪白:………ぐすっ………クロさまの嘘つき……………ついてきてって………言ったのに………。
椎名:雪白さん………。
松葉:……………………。
(手紙を椎名に渡し、無言のまま雪白に近付いていき)
椎名:………?松葉?
雪白:むにゃ!?
(突然両頬を手で掴まれて)
松葉:貴様、あやつへの想いはその程度だったのか?
雪白:ら、らってぇ……クロさま……わたしをおいてって……。
松葉:思い出せ。貴様、あやつが先の決戦の時に死のうとした時、真っ先に向かおうとしただろう。
雪白:あ……あのときは……クロさまが勝手に死のうとするから……。
松葉:今回と大して変わらぬだろう。あやつが自分の都合で勝手に居なくなった……何故貴様が負い目を感じる必要がある。寧ろ怒っていいぞ。
雪白:!
松葉:それに、手紙だぞ?直接あやつの口から聞いていないものに、どうして納得してしまっているのだ、貴様。
雪白:でも……どこにいるかわからないのに……。
松葉:貴様は一人ではないだろう。ならば、他に助けを求めればいい。
雪白:助けてくれるの…?
松葉:当たり前だろう。俺様は地獄より出でし魔王……手下達の願いくらい叶えられなくてどうする。
雪白:…………!!うぇええ……。
(その言葉に緊張が解け再び目から涙を溢し)
松葉:何故泣く!!?
椎名:……雪白さん。君は確かに黒の背中を追い掛けて来たけれど、今は黒以外にも味方は沢山いるんだよ?だから、もっと僕達の事も頼ってほしいな。
(雪白の側まで来てしゃがんで)
雪白:…………うん!わたし、クロさま探す……ぜったいに探しだして、見つけたら……
椎名:見つけたら?
雪白:とりあえず氷づけにする!!
椎名:なんでだい!?
松葉:うむ、その意気だ!雪の子よ!
椎名:松葉も賛同しないで!?
千草:おい、起きたぞ。
蘇芳:大丈夫っすか!?
小豆:あーくん!良かったのですー!
茜:え、何………なんでこんなに人居るの……。
(目を開けた先には自分が思っているより多く人がおり、困惑しつつも布団から身を起こして)
千草:お前、いきなり目の前で倒れただろ。
茜:あー………そうだった………っつ。
(こめかみ辺りを押さえながら顔をしかめて)
琥珀:まだ無理は禁物ですよ。
茜:………!ぬら様……。
蘇芳:薬持ってきてるっすよ。飲めるっすか?
茜:それは飲むけど、それよりお腹空いた……。
千草:緊張感無いな……。
小豆:あーくん、安心するのです。おはぎなら沢山あるですよ。
茜:食べる。
小豆:たーんと召し上がれなのです!
~十分後~
茜:それで、俺に何の用だったの?
(ひとしきり食べ終えたようで、湯呑みの茶を啜りつつ)
千草:お前、ヤバイな……重箱10段分だぞ……?。
茜:は?何、喧嘩売ってる?
小豆:ちーたん、あーくんはこれがデフォルトなのです。多分、まだ腹三分くらいですよ。
茜:いや、二分だね。
千草:そんなこと聞いてない!!
琥珀:こほん、………そろそろ話しても良いです?
小豆:はっ……そうですね!こーさん、どうぞです!
琥珀:茜が倒れたのは妖力の使いすぎと……憶測ですが、黒喰の毒にやられていますね。
茜・千草・小豆:!?
千草:で、でもあいつ……もう毒は使っていないって言ってたぞ?
小豆:そうですよう!
茜:そうだよぬら様……ただ過去を視ただけで、俺は別に何もされて……。
琥珀:茜、違いますよ。貴男は黒喰の『過去の毒』にあてられたんです。
茜:………過去の毒?
小豆:それって、あーくんがクロさんの過去を視たから……その視た過去で使っていた毒にあてられたってことです?
琥珀:そんな感じです。あとは、単純に黒喰の負の妖気の影響でしょう……妖力の強い者は、他者の妖気に敏感ですから。
千草:そ、そんなにヤバかったのか?黒の過去……。
茜:ヤバいというかなんと言うか………。
小豆:ゆきちゃんにも話せそうな内容なのです?
茜:…………話せないことも、無いけど……。
千草:…………話し辛い内容みたいだな…。
茜:それより、肝心のあのチビっ子は何処行ったの。
小豆:ゆきちゃん、クロさんが居なくなっちゃって大分憔悴しちゃって……あーくんが寝てる間に、ちーたんと洞窟まで様子を見に行ったのです。そしたら……。
千草:洞窟が全部氷漬けだ………とてもじゃないが、側にいれる状態に無い。
琥珀:雪白は松葉と同じように、感情に能力が左右されるタイプですからね………今は松葉と焔が様子を見てくれています。
茜:………そう。
小豆:そういえば……。
(ふと思い出したようで、袂から取り出してそれを広げて)
琥珀:おや、……それは?
小豆:ゆきちゃんが描いたクロさんの似顔絵なのです。たしか、誕生日が近いからと描いていたのですよ。
千草:………何処に行ったんだよ、黒のやつ……。
琥珀:とりあえず……今日は茜も本調子では無いですし、続きは明日にしましょう。
小豆:二人は放置していても大丈夫なのです……?
琥珀:黒喰は……今はそっとしておきましょう。それよりも雪白の方が気になります………あの洞窟は黒喰が居ることで結界が張られていた状態でした。その黒喰が居なければ、あの洞窟はただの洞穴同然です。今の不安定な雪白をそのまま放っておくのは、流石に危ないですから……。
小豆:まーさんとえーさんに今は任せるしかないのですね……。
千草:にしても、にこにこした奴はともかく……あの変な奴は大丈夫なのか?任せても……。
琥珀:あの二人と雪白には昔少々ありましてね……まぁ、大丈夫ですよ。
───儀式の洞窟、最深部───
松葉:ふはははは!!雪の子よ、晩餐を持ってきてやったぞ!!
(片手に椀を持ちつつ自身ありげに現れ)
雪白:…………………。
(黒喰の襟巻きを身体に巻き付けた状態で体操座りで隅の方に縮こまっていて)
椎名:ゆ、雪白さん?何か食べないと元気が出ないよ?
雪白:いらないもん…………。
(ふるふると首を横に振りつつ)
松葉:心配せずとも、奴は帰って来るだろう。
雪白:ちがうもん!!わたし捨てられちゃったんだもん!!
椎名:そんなことないよ……どうしてそう思うの?
雪白:だって………だってぇ……てがみにかいてたんだもん……。
(再び目に涙を溜めながら、くしゃくしゃに丸められた紙のある方を指差して)
松葉:む?これか……。
(言われた方に行き、丸められた紙を拾い上げればそれを開いて)
椎名:えっと……『私は君に相応しくない………私抜きで、君は生きてくれ』……?
(松葉の後ろから覗き込んで内容を読み上げて)
雪白:ふさわしい……って、よむの……?
椎名:え?あ……うん。そうだよ。
雪白:どういう意味…?
椎名:えっと……釣り合ってる、とかそういう感じかな。多分文章の感じだと、黒は自分が雪白さんと釣り合ってないって感じていなくなったのかもしれないね……。
雪白:わたしがわるい子だから……?
椎名:そ、それは違うよ!きっと……。
雪白:………ぐすっ………クロさまの嘘つき……………ついてきてって………言ったのに………。
椎名:雪白さん………。
松葉:……………………。
(手紙を椎名に渡し、無言のまま雪白に近付いていき)
椎名:………?松葉?
雪白:むにゃ!?
(突然両頬を手で掴まれて)
松葉:貴様、あやつへの想いはその程度だったのか?
雪白:ら、らってぇ……クロさま……わたしをおいてって……。
松葉:思い出せ。貴様、あやつが先の決戦の時に死のうとした時、真っ先に向かおうとしただろう。
雪白:あ……あのときは……クロさまが勝手に死のうとするから……。
松葉:今回と大して変わらぬだろう。あやつが自分の都合で勝手に居なくなった……何故貴様が負い目を感じる必要がある。寧ろ怒っていいぞ。
雪白:!
松葉:それに、手紙だぞ?直接あやつの口から聞いていないものに、どうして納得してしまっているのだ、貴様。
雪白:でも……どこにいるかわからないのに……。
松葉:貴様は一人ではないだろう。ならば、他に助けを求めればいい。
雪白:助けてくれるの…?
松葉:当たり前だろう。俺様は地獄より出でし魔王……手下達の願いくらい叶えられなくてどうする。
雪白:…………!!うぇええ……。
(その言葉に緊張が解け再び目から涙を溢し)
松葉:何故泣く!!?
椎名:……雪白さん。君は確かに黒の背中を追い掛けて来たけれど、今は黒以外にも味方は沢山いるんだよ?だから、もっと僕達の事も頼ってほしいな。
(雪白の側まで来てしゃがんで)
雪白:…………うん!わたし、クロさま探す……ぜったいに探しだして、見つけたら……
椎名:見つけたら?
雪白:とりあえず氷づけにする!!
椎名:なんでだい!?
松葉:うむ、その意気だ!雪の子よ!
椎名:松葉も賛同しないで!?