日常

計画性がまったくない

2023/11/27 23:01
───妖ノ山、紫苑宅───



紫苑:…………………。
(出来上がった包丁を見つつ)


千草:どうですか?

紫苑:……いいんじゃない?良く出来てる。

千草:………!ほんとですか!

紫苑:続きは明日にしよう。キリもいいし……。

千草:え!?いや、でもまだ……。

紫苑:お客さん。
(窓の方角を指差し)


千草:客……?うわっ!?

小豆:ちーたぁん!集合するのですー!
(ぺたりと窓に張り付く勢いで外から手を振っており)


千草:し、師匠!失礼します……!

紫苑:暗くなる前に帰りなよ。

千草:はい!



***



千草:今日は修行があるって言っただろ!

小豆:まぁまぁ、ちーたん。今日はあずじゃなくて、ゆきちゃんなのです。

千草:雪白?

小豆:実はかくしか~、なのですよー。

千草:急だな……。

雪白:ちくさくんも付き合ってくれる?

千草:はぁー………小豆だけに任せておくのもアレだしな。

小豆:やだなぁ、ちーたん。あずはきゃわいい子の頼みはちゃんとやるですよう(はぁと)

千草:はいはい。それで、ルーツ?を辿るにしても何をするんだ?

雪白:んーと……わかんない!

千草:分からないのかよ!じゃあ……まずは、雪女とつらら女について調べるとか?先祖がそうなんだろ?

雪白:そうそう!

小豆:そういや、ゆきちゃん。お父さんとお母さんはいないのです?

雪白:おとうさんとおかあさん………?

千草:………小豆、ちょっと。
(肩を引っ張りつつ)


小豆:ほよ?

千草:(あんまり突っ込んだ質問するなよ………もしかしたら、もう居ないのかもしれないだろ……。)

小豆:(はっ……!そういうことですか……!)ゆ、ゆきちゃん……今の話はなし!なしなのです!

雪白:きにしなくていいよ!ほんとうにわからないし……。

千草:分からないのか?

雪白:わたしが知ってるうた、たしかに誰かにおしえてもらったような気がするんだけれど………その人がおかあさんなのかどうかまでは、わからないの……。

小豆:もしかしてですけど………ゆきちゃん自身も記憶がないのかもしれないですね。

雪白:わたしも?

小豆:人里に来る前は何処に居たのか覚えてるですか?

雪白:………おぼえてない……。

千草:他になにか覚えていることはないのか?

雪白:むむーん………。

小豆:なにか思い出したです?

雪白:なんにも!

千草:なんでだよ!!

小豆:あっ、そうですー!ひらめいたのです!

雪白:なになに?

小豆:あーくんに頼るのです!

千草:えぇー……あいつ……?

雪白:あーくん?

小豆:ゆきちゃん、会ったことないのです?こーさんのお弟子さんなのです。百目っていう妖怪で、たしか過去を視れるって聞いたことがあるのです!

雪白:ほんとう?!

小豆:もしかしたら、おうたの人も分かるかもしれないですよ!

雪白:わーい!!

千草:いやいや、そんな都合良く分かるのか?

小豆:そうとなったら……貢ぎ物を持っていかないとですねー。

千草:え。

雪白:ひゃくめのおにいさん、何がすきなの?

小豆:あーくんは甘いものに目がないですから、甘いもの持っていっておけば間違いないですよ!さっ、ちーたん!一緒に調達に行くですよー!

千草:僕もなのか!?

小豆:善は急げー、なのです!早くしないと、日が沈んじゃうですよーう?

雪白:おーー!

千草:ちょっと……お前ら計画性が無さすぎるだろ……!

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