日常

父親の記憶

2023/06/18 23:09
──嘘つき!!………お父さんなんて………大っ嫌い!!──



















松葉:っ!!!

椎名:………あ、松葉………起きたんだね。

松葉:………、ここは…。

鑑:………俺の家だ…。

錦:あんた、呑んでる途中で寝たんだよ。

松葉:……………そうか。

椎名:大丈夫かい?魘されてたみたいだけど……。
(松葉の額を伝う汗を拭ってあげ)


松葉:大丈夫だ。

椎名:そっか……じゃあ、僕と松葉はそろそろお暇しようかな。

錦:なんだい、折角だからゆっくりしていきゃいいのに……。

椎名:あはは、久し振りの夫婦水入らずでしょう?

鑑:……それは別に気に…

錦:そんなの気にしなくてもいいさね!こいつとはいつでも呑めるんだし。

椎名:うーん……そうだけど、雲行きも怪しいから……今度は琥珀達も呼んでやろうね?

鑑:………まぁ、無理に引き留めることも無いだろう……。

錦:松坊!次回は寝るんじゃないよ?

松葉:…………努力する。

椎名:それじゃあ、お邪魔しました。



***



椎名:一雨来そうだね……あっ、洗濯物出しっぱなしかも……。

松葉:………………焔。

椎名:ん?どうかした?

松葉:焔の父親は………どんな感じだったのだ?

椎名:………!松葉、それって……。

松葉:いや、…………無神経だったな。忘れてくれ。

椎名:………ううん、大丈夫だよ。んー……僕の父親ねぇ……。優しいけど、しっかりした感じの人だったよ。毎日畑の手入れをしたり、母様の仕立てた着物を売りに麓の村に行ったり……でも、僕達家族はあまり他の村人によく思われていなかったからほとんど相手にされなかったけどね……。

松葉:怒らないのか?

椎名:普段は我慢していたんだと思うよ。僕に何か危害がある時には、村人達に怒ったりもしていたけれど……滅多に怒らない人だったから……。

松葉:……………そうか。

椎名:松葉………大丈夫?もしかして、昔の………。

松葉:…………その基準で行くならば、俺様は酷い父親になるんだろうな……。

椎名:そ、そんなことないよ!松葉は……。

松葉:………………………。

椎名:………よしよし…。
(横で立ち止まる松葉の頭を撫でて)


松葉:む、何だ急に………。

椎名:君の父親振りは、あの頃の君を見ていた人は皆知ってるよ。あんなに手をかけて育てていたんだから……。

松葉:……………そうか……?

椎名:そうだよ。だから自信を持って。そんな顔で家に帰ったら、あの子に心配されちゃうよ?

松葉:…………そうだな。俺様が暗くしていては、二人から怒られてしまうからな。

椎名:うんうん。

松葉:よし!焔、そうと決まれば………明日また呑み直すぞ!!

椎名:明日!?

松葉:今日はあまり呑めなかったし、途中で寝てしまったのでな!!明日の会に琥珀や黒喰を誘いに行くぞ!!
(ずかずかと茂みを突き進みつつ近場の門を目指すようで)


椎名:あはは……了解。

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