日常
ぼくのやりたいこと~後編~
2023/06/17 23:17───未の刻頃、妖怪ノ里───
満朔:雀ー。
雀:あらぁ、朔ちゃん!朔ちゃんも買い物?………って……。
鳴巳:……………………。
(満朔の後ろに立ち軽く会釈をしつつ)
雀:ちょっと、ちょっと……どうしたの鳴巳ちゃん…!
満朔:占いでさ、未の刻にこの辺りに来れば運命を変える出会いがあるって言うから連れてきた。
雀:占い?
満朔:そ。鳴巳の。
雀:えー!凄いじゃない!
鳴巳:い、いえ………全然……!なにも凄くないです………!!
(ぶんぶんと首を横に振り)
雀:まだ運命の出会いしてないの?
鳴巳:と、特には………。
雀:まぁ、お店見て回れば何か浮かんで来るかもしれないわね。折角だから一緒に見ましょ!
鳴巳:ええっ……!?
雀:まだあんまり里の事だって知らないでしょう?
満朔:そうそう。俺等、ずっと里に住んでるから詳しいし。
鳴巳:わ、分かりました…。
***
雀:そろそろ八つ時よねぇ……。
満朔:なんか食べる?
雀:あら。
満朔:ん?
雀:蘇芳ちゃんだわ。
蘇芳:あっ!満朔さん、雀さん!どうしたんすかー?
(里の出店街の一角に敷物を敷いており)
満朔:やー、ちょっと里案内を……。
蘇芳:里案内?
鳴巳:……………!
(慌てて満朔の後ろに隠れて)
蘇芳:あー、人見知りなんすね!了解っす!
雀:えらく慣れてるわねぇ。
蘇芳:うちにもいるっすからね!
雀:あー…。
満朔:それはそうと、里で何してるの?
蘇芳:最近、お菓子作りにハマってるんすけど、ぬら様や山の人達以外の意見も聞きたくて里まで売りに来たんす!
雀:あらー。丁度良かったわ!蘇芳ちゃん、3つ頂戴な。
蘇芳:はいっす!何がいいっすか?今は団子と饅頭と豆大福があるっすねー。
雀:じゃあ、お団子頂こうかしら。
満朔:俺は饅頭。
蘇芳:まいどありっす!
満朔:鳴巳は?
鳴巳:え、ええと……………じゃあ、その白と黒のを……。
蘇芳:豆大福っすね!どうぞっす!
(包みにくるんで手渡し)
鳴巳:あ、お金……。
満朔:いーよ。俺の奢り。
鳴巳:ありがとうございます……。
蘇芳:お茶もあるっすよ!
雀:用意周到ねぇ……それじゃあ、いただきます!
満朔:いただきます。
雀:うん、美味しいわ……!蘇芳ちゃん、また腕上げたわね。
蘇芳:お粗末様っす!
満朔:鳴巳?食べないの?
鳴巳:え、と…………菓子……?って、食べたことが……なくて……。
蘇芳:初和菓子なんすね!是非、感想聞かせてほしいっす!
鳴巳:…………、い、いただきます……。
(まじまじと大福を見つめながら一口かじり)
満朔:………………?
雀:なんか鳴巳ちゃん、固まってない……?
蘇芳:お、美味しくなかったっすかね……塩加減間違えたとか……!
満朔:おーい?
(鳴巳の目の前で手を振りつつ)
鳴巳:………………………。
(食べながら静かに泣いており)
三人:!!!?!
雀:ちょ………どうしたの…!?
蘇芳:あわわ、大丈夫っすか…!?変なもの混ざってたっすか…!?
鳴巳:………っ、い、いえ………大丈夫、です……!美味しいです……。
───数**年後───
鳴巳:甘味処……、ですか……?
満朔:そ。里って、ご飯食べることはあるけどさ、甘味処って無いんだよね。だからさ、俺等でやってみない?
雀:あらー、いいじゃない!アタシ大賛成よ!
鳴巳:えっと……お店で提供するものは、どなたが作るんですか……?
雀:え?
満朔:そりゃ……。
鳴巳:え………えっ!?ぼ、ぼくですか………!?
(二人からの視線を浴びて驚き)
満朔:この流れなら、まぁそうでしょ。
鳴巳:む、無理無理無理です……っ!!ぼ、ぼくなんかが恐れ多い……!!
満朔:なーに謙遜してんの。蘇芳や総大将からもお墨付き貰ったくせに。
雀:そうよぉ。和菓子作ってみたいって言ってたのがついこの間な気がしたのに………すっかり腕上げちゃって……。
鳴巳:で、でも………。
満朔:鳴巳。恐れ多い云々は置いといてさ、お前はどうしたいの?
鳴巳:……………………。
雀:鳴巳ちゃん?
鳴巳:………………で……できるのなら、やってみたい、です………。
満朔:うっし、じゃあ決まり。
雀:やった!さーて、お店のデザイン考えないと!
満朔:あと、名物も決めよう。
鳴巳:名物……?
満朔:看板メニューとか土産物みたいなのだよ。それはまぁ、鳴巳がやってくれるだろ?
鳴巳:………!わ、分かりました………やってみます………!
***
鳴巳:と、言うわけで………今の望月ができたんです……。
紅:じゃあ、占いの運命を変える出会いって言うのは、和菓子の事でしたのね。
鳴巳:は、はい…………こんなにも美味しいものがあるのだと、感動したのを覚えてます……。
紅:ふふっ、素敵なお話が聞けて良かったですわ!
鳴巳:そうですか………?
紅:えぇ。だって、鳴巳様が店主様達や和菓子に出会わなかったら、私はここにおりませんもの。
鳴巳:………そ、そうですね……。
雀:紅ー?鳴巳ちゃーん?もうすぐ朔ちゃん帰って来ちゃうわよー?
紅:あ、雀様が呼んでいますわね……はーい!今行きますわー!じゃあ、行きましょう?鳴巳様!
鳴巳:は、はい………!
満朔:雀ー。
雀:あらぁ、朔ちゃん!朔ちゃんも買い物?………って……。
鳴巳:……………………。
(満朔の後ろに立ち軽く会釈をしつつ)
雀:ちょっと、ちょっと……どうしたの鳴巳ちゃん…!
満朔:占いでさ、未の刻にこの辺りに来れば運命を変える出会いがあるって言うから連れてきた。
雀:占い?
満朔:そ。鳴巳の。
雀:えー!凄いじゃない!
鳴巳:い、いえ………全然……!なにも凄くないです………!!
(ぶんぶんと首を横に振り)
雀:まだ運命の出会いしてないの?
鳴巳:と、特には………。
雀:まぁ、お店見て回れば何か浮かんで来るかもしれないわね。折角だから一緒に見ましょ!
鳴巳:ええっ……!?
雀:まだあんまり里の事だって知らないでしょう?
満朔:そうそう。俺等、ずっと里に住んでるから詳しいし。
鳴巳:わ、分かりました…。
***
雀:そろそろ八つ時よねぇ……。
満朔:なんか食べる?
雀:あら。
満朔:ん?
雀:蘇芳ちゃんだわ。
蘇芳:あっ!満朔さん、雀さん!どうしたんすかー?
(里の出店街の一角に敷物を敷いており)
満朔:やー、ちょっと里案内を……。
蘇芳:里案内?
鳴巳:……………!
(慌てて満朔の後ろに隠れて)
蘇芳:あー、人見知りなんすね!了解っす!
雀:えらく慣れてるわねぇ。
蘇芳:うちにもいるっすからね!
雀:あー…。
満朔:それはそうと、里で何してるの?
蘇芳:最近、お菓子作りにハマってるんすけど、ぬら様や山の人達以外の意見も聞きたくて里まで売りに来たんす!
雀:あらー。丁度良かったわ!蘇芳ちゃん、3つ頂戴な。
蘇芳:はいっす!何がいいっすか?今は団子と饅頭と豆大福があるっすねー。
雀:じゃあ、お団子頂こうかしら。
満朔:俺は饅頭。
蘇芳:まいどありっす!
満朔:鳴巳は?
鳴巳:え、ええと……………じゃあ、その白と黒のを……。
蘇芳:豆大福っすね!どうぞっす!
(包みにくるんで手渡し)
鳴巳:あ、お金……。
満朔:いーよ。俺の奢り。
鳴巳:ありがとうございます……。
蘇芳:お茶もあるっすよ!
雀:用意周到ねぇ……それじゃあ、いただきます!
満朔:いただきます。
雀:うん、美味しいわ……!蘇芳ちゃん、また腕上げたわね。
蘇芳:お粗末様っす!
満朔:鳴巳?食べないの?
鳴巳:え、と…………菓子……?って、食べたことが……なくて……。
蘇芳:初和菓子なんすね!是非、感想聞かせてほしいっす!
鳴巳:…………、い、いただきます……。
(まじまじと大福を見つめながら一口かじり)
満朔:………………?
雀:なんか鳴巳ちゃん、固まってない……?
蘇芳:お、美味しくなかったっすかね……塩加減間違えたとか……!
満朔:おーい?
(鳴巳の目の前で手を振りつつ)
鳴巳:………………………。
(食べながら静かに泣いており)
三人:!!!?!
雀:ちょ………どうしたの…!?
蘇芳:あわわ、大丈夫っすか…!?変なもの混ざってたっすか…!?
鳴巳:………っ、い、いえ………大丈夫、です……!美味しいです……。
───数**年後───
鳴巳:甘味処……、ですか……?
満朔:そ。里って、ご飯食べることはあるけどさ、甘味処って無いんだよね。だからさ、俺等でやってみない?
雀:あらー、いいじゃない!アタシ大賛成よ!
鳴巳:えっと……お店で提供するものは、どなたが作るんですか……?
雀:え?
満朔:そりゃ……。
鳴巳:え………えっ!?ぼ、ぼくですか………!?
(二人からの視線を浴びて驚き)
満朔:この流れなら、まぁそうでしょ。
鳴巳:む、無理無理無理です……っ!!ぼ、ぼくなんかが恐れ多い……!!
満朔:なーに謙遜してんの。蘇芳や総大将からもお墨付き貰ったくせに。
雀:そうよぉ。和菓子作ってみたいって言ってたのがついこの間な気がしたのに………すっかり腕上げちゃって……。
鳴巳:で、でも………。
満朔:鳴巳。恐れ多い云々は置いといてさ、お前はどうしたいの?
鳴巳:……………………。
雀:鳴巳ちゃん?
鳴巳:………………で……できるのなら、やってみたい、です………。
満朔:うっし、じゃあ決まり。
雀:やった!さーて、お店のデザイン考えないと!
満朔:あと、名物も決めよう。
鳴巳:名物……?
満朔:看板メニューとか土産物みたいなのだよ。それはまぁ、鳴巳がやってくれるだろ?
鳴巳:………!わ、分かりました………やってみます………!
***
鳴巳:と、言うわけで………今の望月ができたんです……。
紅:じゃあ、占いの運命を変える出会いって言うのは、和菓子の事でしたのね。
鳴巳:は、はい…………こんなにも美味しいものがあるのだと、感動したのを覚えてます……。
紅:ふふっ、素敵なお話が聞けて良かったですわ!
鳴巳:そうですか………?
紅:えぇ。だって、鳴巳様が店主様達や和菓子に出会わなかったら、私はここにおりませんもの。
鳴巳:………そ、そうですね……。
雀:紅ー?鳴巳ちゃーん?もうすぐ朔ちゃん帰って来ちゃうわよー?
紅:あ、雀様が呼んでいますわね……はーい!今行きますわー!じゃあ、行きましょう?鳴巳様!
鳴巳:は、はい………!