きんいろの奇跡
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「すごかった...」
無事に終えた音楽祭。名無しさんは今入間達の優勝の余韻が冷めやらぬままサリバン達と別れ1人廊下を歩いている。
ダリが言っていたようにどのクラスも凄かったのだ。その中でも問題児クラスの一体感と熱量は凄まじくて、まるで映画を観ているような気分にさせられた。
「入間くんも、クラスの皆も、本当凄いなぁ...」
途中で抜けた入間達の背中を見送りながら、号泣するサリバンと宥めるオペラに約束があるからと名無しさんは植物塔の屋上へと来ていた。
「はぁ〜」
思わず溢れ出たため息に名無しさん自身も驚きながら桜を見上げればそこには変わらず美しい光景が広がっていて。
暫く魅入っていた名無しさんを現実に引き戻すかのように見知った声が聞こえてきた。
「お疲れ様〜」
「!オズくん、お疲れ様ー」
「中々1人になってくれないからさ、早く話しかけたかったんだ」
「そう、なんだ?」
どこか違和感を感じながら首を傾げると、オリアスは歪な程ににっこりと微笑む。
「凄かったねぇ〜音楽祭」
「うん!本当どのクラスも凄かった!」
「でもそれより俺は君の事が気になっちゃって」
「ん?というと?」
「君さ〜、人間なんだってね」
一瞬何を言われたのか理解が出来ずに固まると、おかしそうに笑いながら言葉を続ける。
「こないだ偶然聞いちゃってさ〜。いつ話を切り出そうか考えてたんだよ」
「.....」
「あれ、言葉も出ない?」
眉を下げ、どこか狂気に満ちた顔つきで名無しさんを見つめる目の前のオリアスはオリアスの姿形をした別の何かのように名無しさんは思えた。
「...誰ですか?あなたは」
「誰って、オリアス・オズワール。君がよ〜く知る人物じゃない」
「っ...、オリアス先生は、そんな下品な笑い方はしません」
「あははっ!本当にそうなのかなぁ」
「何が言いたいんですか」
「だって君も知ってるはずだよ?人と悪魔では相容れない存在だってこと」
「そんな事は、ないと思ってます」
「そうなんだ。だったらさ、バラしちゃってもいいよね」
そう言いながら笑うオリアスは、姿や声が本物なだけに名無しさんは拳を思わず握るが惑わされないようにとグッと身体に力を入れて笑う。
例えこれが本物のオリアスだとしても名無しさんの覚悟はもう決まっていたのだ。
「そこで関係が終わるのであれば、それは隠してた私の責任だし仕方がない事です」
だからご自由にどうぞ、名無しさんは強い瞳で言い放った。
すると一気に真顔になったオリアスは面白くなさそうに目を細めた。
「なーんだ、面白くないなぁ」
「...」
「君がちょっとでも絶望でもしてくれたら、もう少し暇つぶしにでもなったのに」
顔を近づけながら感情の読めない瞳で囁く言葉は確実に名無しさんの心へと傷を作るが、心の中でオリアスはこんな事は言うはずがないとは分かっていた。
それでも姿や声から感じる拒絶がありありと伝わってくる様は、いつか来る未来の一つなのかもしれないとどこか冷静な頭で名無しさんは思ってしまう。
「それじゃあ、そろそろ行くよ。目標が動き出したからね」
「っ結局あなたは、誰なんですか!」
「見たまんまだよ。でもまぁ...ただ一つ言えるのは、近い将来人間として使い道のある君を利用する時は来るよって話をしたかったのさ」
「使い道...」
「そうだよ〜。だってここは魔界、人間が居る必要も無いんだからせめて有効的に使わなきゃでしょ」
「私にそんな力があるとは、思えませんけど」
「そうかな?俺からしたら人間が居るってだけで悪魔にとったら害悪でしか無いと思ってるよ〜」
「がい、あく」
「うん。君が皆に内緒にしてるのも、自分が害になるって存在が迷惑だからって理解してるからじゃないの?」
まぁ今回は忠告だよと、片手をあげながら立ち去るオリアスの背中は何度も何度も名無しさんが見送った事のある姿そのもの。
それでも確かにアレはオリアスでは無いのだと名無しさんは強く思うが、言われた事は確かにどこかで一度は考えた事があった事実だったが故に握りしめた拳からは血が滲んでいた。
「...大丈夫。うん、大丈夫っ.........」
あんなにも晴々としていた気持ちは消え失せ、震えそうになる身体を名無しさんはぎゅっと抱きしめて深呼吸を繰り返す。
「...情けないな、こんな事でオズくんを疑う訳ないのに」
言葉とは裏腹に胸に広がる不安と焦り。
何度も、何度も...何度も。
オリアスの優しい眼差しや笑顔を思い出して口元を緩めた名無しさんは大きく息を吸い込んだ。
「会いたいのにっ...会いたく、ないとか...どんな矛盾だ...」
震えた声をグッと呑み込み、溢れそうになるなにかを溢さないように名無しさんは笑顔を作る。
真実を言えない罪悪感、騙している罪悪感、そして人と悪魔という確実な線引き。
この魔界に来てから、オリアスと付き合う以前からずっと見ないようにしていた境界線を名無しさんはありありと全身で感じていた。
無事に終えた音楽祭。名無しさんは今入間達の優勝の余韻が冷めやらぬままサリバン達と別れ1人廊下を歩いている。
ダリが言っていたようにどのクラスも凄かったのだ。その中でも問題児クラスの一体感と熱量は凄まじくて、まるで映画を観ているような気分にさせられた。
「入間くんも、クラスの皆も、本当凄いなぁ...」
途中で抜けた入間達の背中を見送りながら、号泣するサリバンと宥めるオペラに約束があるからと名無しさんは植物塔の屋上へと来ていた。
「はぁ〜」
思わず溢れ出たため息に名無しさん自身も驚きながら桜を見上げればそこには変わらず美しい光景が広がっていて。
暫く魅入っていた名無しさんを現実に引き戻すかのように見知った声が聞こえてきた。
「お疲れ様〜」
「!オズくん、お疲れ様ー」
「中々1人になってくれないからさ、早く話しかけたかったんだ」
「そう、なんだ?」
どこか違和感を感じながら首を傾げると、オリアスは歪な程ににっこりと微笑む。
「凄かったねぇ〜音楽祭」
「うん!本当どのクラスも凄かった!」
「でもそれより俺は君の事が気になっちゃって」
「ん?というと?」
「君さ〜、人間なんだってね」
一瞬何を言われたのか理解が出来ずに固まると、おかしそうに笑いながら言葉を続ける。
「こないだ偶然聞いちゃってさ〜。いつ話を切り出そうか考えてたんだよ」
「.....」
「あれ、言葉も出ない?」
眉を下げ、どこか狂気に満ちた顔つきで名無しさんを見つめる目の前のオリアスはオリアスの姿形をした別の何かのように名無しさんは思えた。
「...誰ですか?あなたは」
「誰って、オリアス・オズワール。君がよ〜く知る人物じゃない」
「っ...、オリアス先生は、そんな下品な笑い方はしません」
「あははっ!本当にそうなのかなぁ」
「何が言いたいんですか」
「だって君も知ってるはずだよ?人と悪魔では相容れない存在だってこと」
「そんな事は、ないと思ってます」
「そうなんだ。だったらさ、バラしちゃってもいいよね」
そう言いながら笑うオリアスは、姿や声が本物なだけに名無しさんは拳を思わず握るが惑わされないようにとグッと身体に力を入れて笑う。
例えこれが本物のオリアスだとしても名無しさんの覚悟はもう決まっていたのだ。
「そこで関係が終わるのであれば、それは隠してた私の責任だし仕方がない事です」
だからご自由にどうぞ、名無しさんは強い瞳で言い放った。
すると一気に真顔になったオリアスは面白くなさそうに目を細めた。
「なーんだ、面白くないなぁ」
「...」
「君がちょっとでも絶望でもしてくれたら、もう少し暇つぶしにでもなったのに」
顔を近づけながら感情の読めない瞳で囁く言葉は確実に名無しさんの心へと傷を作るが、心の中でオリアスはこんな事は言うはずがないとは分かっていた。
それでも姿や声から感じる拒絶がありありと伝わってくる様は、いつか来る未来の一つなのかもしれないとどこか冷静な頭で名無しさんは思ってしまう。
「それじゃあ、そろそろ行くよ。目標が動き出したからね」
「っ結局あなたは、誰なんですか!」
「見たまんまだよ。でもまぁ...ただ一つ言えるのは、近い将来人間として使い道のある君を利用する時は来るよって話をしたかったのさ」
「使い道...」
「そうだよ〜。だってここは魔界、人間が居る必要も無いんだからせめて有効的に使わなきゃでしょ」
「私にそんな力があるとは、思えませんけど」
「そうかな?俺からしたら人間が居るってだけで悪魔にとったら害悪でしか無いと思ってるよ〜」
「がい、あく」
「うん。君が皆に内緒にしてるのも、自分が害になるって存在が迷惑だからって理解してるからじゃないの?」
まぁ今回は忠告だよと、片手をあげながら立ち去るオリアスの背中は何度も何度も名無しさんが見送った事のある姿そのもの。
それでも確かにアレはオリアスでは無いのだと名無しさんは強く思うが、言われた事は確かにどこかで一度は考えた事があった事実だったが故に握りしめた拳からは血が滲んでいた。
「...大丈夫。うん、大丈夫っ.........」
あんなにも晴々としていた気持ちは消え失せ、震えそうになる身体を名無しさんはぎゅっと抱きしめて深呼吸を繰り返す。
「...情けないな、こんな事でオズくんを疑う訳ないのに」
言葉とは裏腹に胸に広がる不安と焦り。
何度も、何度も...何度も。
オリアスの優しい眼差しや笑顔を思い出して口元を緩めた名無しさんは大きく息を吸い込んだ。
「会いたいのにっ...会いたく、ないとか...どんな矛盾だ...」
震えた声をグッと呑み込み、溢れそうになるなにかを溢さないように名無しさんは笑顔を作る。
真実を言えない罪悪感、騙している罪悪感、そして人と悪魔という確実な線引き。
この魔界に来てから、オリアスと付き合う以前からずっと見ないようにしていた境界線を名無しさんはありありと全身で感じていた。