きんいろの奇跡
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「あ、もう来てる...!おはようオズくん、お待たせ」
「おはよう名無しさんちゃん。俺も、今来たところ」
今日は久しぶりにお休みらしいお休みを貰ったオリアスと付き合ってからの初デート。
何だかんだと忙しい行事続きの悪魔学校 教師陣の休みは、休出もよくある事で。休みの日でさえ書類整理があったりする。
「それにしても良かったの?私は全然家でまったりとかでも良かったのに」
「俺が名無しさんちゃんと外出したいんだよ」
「それは、嬉しいけどさ」
「なーに、名無しさんちゃんは俺と外出たくないの?」
「...出たい、です」
「あははっ!素直でよろしい」
認識阻害グラス越しに笑うオリアスは、心から楽しそうに笑う。
「さ、お手をどうぞお嬢さん」
「なっ......、え?」
「俺のエスコート、見てみたかったんでしょ?」
そう言って目を細めて笑うオリアスに名無しさんの心臓は脈打ち思わず下を向く。それでも視界の端に映る、手袋をしていないオリアスの手は確実に答えを待っていて。
名無しさんはおずおずとその大きな掌に自身の手を重ねた。
「へへっ、初繋ぎ〜」
少し頬を赤くして嬉しそうに繋いだ手を見せて笑うオリアスは、どこか子供っぽくて。そんなあどけなさを見つける度に、名無しさんは目の前の悪魔が好きだなと感じてしまう。
少し前にロビンに言われた言葉の答えはまだ出ておらず、思わず思考が落ちそうになるが、掌から伝わってくる体温を感じて緩やかに口元を綻ばせた。
「(今はまだ、離したくないんだ)」
付き合ってから1ヶ月半、やっとお互いの都合が合って遊べる事になった初デート。楽しまなければ勿体無い。
「よーし、まずはどこいこっか!」
「お、やる気出てきたねぇ〜。時間もちょうどいいしまずは昼食べない?」
「そういえばめちゃくちゃお腹空いてきたな...」
「んじゃあそこの店とかどう?君もきっと気にいると思うよ〜」
優しく手を引き、すれ違い様の人混みもさりげなく名無しさんを守りながら歩くオリアスは正に紳士。名無しさんはオリアスのちょっとした気遣いにときめきながらも、気がつけばお店の前に到着していた。
店内は落ち着いていて、内装は煌びやかというよりはモダンかつシンプルな作り。
窓辺やテーブルに咲く魔植物は可愛いくて、慌ただしくない空間は名無しさんの先程までのドキドキを宥めてくれるようだった。
「落ち着くお店だね〜、かなり好きかも」
「でしょ?俺も結構お気に入り」
オリアスとのデートは、まさに恋人同士の理想を詰め込んだような時間。
さりげないエスコートに、名無しさんの心臓は何度も暴れる事になったのだが、隣を歩くオリアスは余裕たっぷりな表情で前を向いている。
「(...ここまで完璧だと妬く暇もないな)」
そして最後に案内されたのが、マジカルストリート全体を見渡せる広い公園だった。
「うわぁ〜!」
「気に入った?ここ、結構穴場なんだよね」
「すご、誰もいない!」
「悪魔にとって、こういう憩いの場みたいな場所はあんまり好まれないからね〜」
「でも私は、こういう所...好きだなー」
「うん、俺も」
吹き抜ける心地よい風と、青さの残る草木の香り。
近くのベンチへと腰掛ければ、より一層空までもが広く名無しさんの瞳には映った。
「...あ〜、駄目だー、この気候は」
「ははっ、眠たくなるって?」
「大正解」
「ポカポカあったかいもんねぇ〜。俺も気を抜くと、動けなくなりそうだ」
「私は既に手遅れだよ」
「あはははっ、遅かったか」
深々と腰掛けて大きい背もたれに首まで預ければ、何とも言えないフィット感に名無しさんとオリアスは目を閉じる。
「......うわ、やばいね...コレ」
「でしょ?抗えない...」
「流石にここじゃ...抗って貰わないと駄目だけどね」
「もしもの時は...頼んだ、オズくん」
「それ、もっと格好いい場面で聞きたかったな」
穏やかな空間で目を閉じたまま笑い合う。
「オズくんのエスコートはさ...癖になったらマズイよね」
「マズイ事はないでしょ(笑)ちょっとは挽回出来たって事?」
「?挽回も何も、オズくんはいつでも格好良いよ」
「...........いきなりは俺も照れるんだけど」
「ははっ、今日1日の仕返し」
「それを言ったら、俺は名無しさんちゃんに毎回仕返ししなきゃじゃん」
「特に何もしてなくない?」
「自覚無いから困るんだよなぁ〜」
風が吹き、聞いた事もない鳥の声が囀る。少し遠くには街行く悪魔達の楽しそうな声が響いてきて、隣には大好きなオリアスの温もり。
そんな空間が名無しさんにとってはかけがえのないもののように思えた。
「...俺は、多分、こういうのが欲しかったんだろうな〜」
どこか遠くを見つめながら話すオリアスは少し寂し気で。それでも嬉しそうに笑うから名無しさんも負けじと笑顔になった。
細められた瞳からは深い感情は読み取れない。
それでも今オリアスは、幸せなのだと名無しさんには伝わっていた。
「...私もさー、奇跡みたいんなもんだよ。ここに居るのも」
「確か、遠い地域に住んでたんだっけ?」
「...だね、こことはまた全然違う遠い所、かな」
「そっか〜。じゃあそこに居たままじゃ、出会えてなかったかもなんだねぇ」
「...きっとね。だからさ、ここに今居るのも、オズくん付き合えたのも...未だに夢みたいなんだ」
最高に幸せ者だよね、と言ってクシャッと笑った名無しさんにオリアスは目を奪われ疼くような胸の高鳴りを覚える。
そしてその感情を噛み締めるかのように深く息を吸った後、前を見据えた。
「ほんっと君はさ..........、惑わす天才だよ」
言葉とは裏腹に、愛おしそうな眼差しで名無しさんに視線を移したオリアスは困ったように眉を下げて笑う。
「...全く、何でこんなに、可愛いんだろうねぇ」
「!!」
まるで壊れ物にでも触れるかのように、愛しむかのようにそっと名無しさんの頬に触れ、優しい手つきで頬を撫でたオリアス。
それと同時に、まさか言われると思っていなかった単語を発せられ名無しさんは色んな意味で処理が追いつかないでいた。
「.........か、わいい?私が?」
頬を薄く染めながらチラリと目線をあげれば、オリアスの目は柔らさを増すように細くなり温度が増した。
「君以外誰が居るのさ」
「だっ、て。可愛いっていうのは、もっと...こう」
「うーん、名無しさんちゃんの基準は、俺には分からないけど...」
「.........」
「俺にとったら、今まで出会ったどんな悪魔よりも一番君が可愛いよ」
「!!」
「何、そんな今更な事で照れてんの〜?」
「い、いや、だってさ、そんなの一言も...」
「当たり前だったからねぇ、俺にとったら」
「.........駄目だ、オズくんが惚れさせようとしてくるぞ」
「あはははっ!こんな事で良ければいくらでも言うけど?」
「待って、今日が命日は流石に勿体ない」
目線を逸らし続けながら必死に赤くなった顔を誤魔化そうとしている名無しさんはオリアスにとってはただただ可愛いくて。
夕焼けに染まってきた空と同じようにオリアスの胸にもじんわりとした温もりが広がっていた。
「結構暗くなってきたし、そろそろ帰ろっか」
「あ。そういえば」
「はい。お手をどーぞ?」
朝とは違い今度は優しい眼差しで告げられれば、名無しさんは途端に嬉しさと恥ずかしさがないまぜになって顔がにやけそうになる。
「分かっててやってるのがずるいんだよなぁー」
「何の事かな〜」
機嫌良さげに握られた掌は、溶け合うように交わり2人の距離を埋めていく。
「...幸せ?」
「幸せ!」
「ははっ俺も」
伸びていく影すらも2人の仲を現すかのように折り重なり温もりを残していくようで。
ほぼ誰も居なかった公園には、仲睦まじげな優しい空気が広がっていた。
「おはよう名無しさんちゃん。俺も、今来たところ」
今日は久しぶりにお休みらしいお休みを貰ったオリアスと付き合ってからの初デート。
何だかんだと忙しい行事続きの
「それにしても良かったの?私は全然家でまったりとかでも良かったのに」
「俺が名無しさんちゃんと外出したいんだよ」
「それは、嬉しいけどさ」
「なーに、名無しさんちゃんは俺と外出たくないの?」
「...出たい、です」
「あははっ!素直でよろしい」
認識阻害グラス越しに笑うオリアスは、心から楽しそうに笑う。
「さ、お手をどうぞお嬢さん」
「なっ......、え?」
「俺のエスコート、見てみたかったんでしょ?」
そう言って目を細めて笑うオリアスに名無しさんの心臓は脈打ち思わず下を向く。それでも視界の端に映る、手袋をしていないオリアスの手は確実に答えを待っていて。
名無しさんはおずおずとその大きな掌に自身の手を重ねた。
「へへっ、初繋ぎ〜」
少し頬を赤くして嬉しそうに繋いだ手を見せて笑うオリアスは、どこか子供っぽくて。そんなあどけなさを見つける度に、名無しさんは目の前の悪魔が好きだなと感じてしまう。
少し前にロビンに言われた言葉の答えはまだ出ておらず、思わず思考が落ちそうになるが、掌から伝わってくる体温を感じて緩やかに口元を綻ばせた。
「(今はまだ、離したくないんだ)」
付き合ってから1ヶ月半、やっとお互いの都合が合って遊べる事になった初デート。楽しまなければ勿体無い。
「よーし、まずはどこいこっか!」
「お、やる気出てきたねぇ〜。時間もちょうどいいしまずは昼食べない?」
「そういえばめちゃくちゃお腹空いてきたな...」
「んじゃあそこの店とかどう?君もきっと気にいると思うよ〜」
優しく手を引き、すれ違い様の人混みもさりげなく名無しさんを守りながら歩くオリアスは正に紳士。名無しさんはオリアスのちょっとした気遣いにときめきながらも、気がつけばお店の前に到着していた。
店内は落ち着いていて、内装は煌びやかというよりはモダンかつシンプルな作り。
窓辺やテーブルに咲く魔植物は可愛いくて、慌ただしくない空間は名無しさんの先程までのドキドキを宥めてくれるようだった。
「落ち着くお店だね〜、かなり好きかも」
「でしょ?俺も結構お気に入り」
オリアスとのデートは、まさに恋人同士の理想を詰め込んだような時間。
さりげないエスコートに、名無しさんの心臓は何度も暴れる事になったのだが、隣を歩くオリアスは余裕たっぷりな表情で前を向いている。
「(...ここまで完璧だと妬く暇もないな)」
そして最後に案内されたのが、マジカルストリート全体を見渡せる広い公園だった。
「うわぁ〜!」
「気に入った?ここ、結構穴場なんだよね」
「すご、誰もいない!」
「悪魔にとって、こういう憩いの場みたいな場所はあんまり好まれないからね〜」
「でも私は、こういう所...好きだなー」
「うん、俺も」
吹き抜ける心地よい風と、青さの残る草木の香り。
近くのベンチへと腰掛ければ、より一層空までもが広く名無しさんの瞳には映った。
「...あ〜、駄目だー、この気候は」
「ははっ、眠たくなるって?」
「大正解」
「ポカポカあったかいもんねぇ〜。俺も気を抜くと、動けなくなりそうだ」
「私は既に手遅れだよ」
「あはははっ、遅かったか」
深々と腰掛けて大きい背もたれに首まで預ければ、何とも言えないフィット感に名無しさんとオリアスは目を閉じる。
「......うわ、やばいね...コレ」
「でしょ?抗えない...」
「流石にここじゃ...抗って貰わないと駄目だけどね」
「もしもの時は...頼んだ、オズくん」
「それ、もっと格好いい場面で聞きたかったな」
穏やかな空間で目を閉じたまま笑い合う。
「オズくんのエスコートはさ...癖になったらマズイよね」
「マズイ事はないでしょ(笑)ちょっとは挽回出来たって事?」
「?挽回も何も、オズくんはいつでも格好良いよ」
「...........いきなりは俺も照れるんだけど」
「ははっ、今日1日の仕返し」
「それを言ったら、俺は名無しさんちゃんに毎回仕返ししなきゃじゃん」
「特に何もしてなくない?」
「自覚無いから困るんだよなぁ〜」
風が吹き、聞いた事もない鳥の声が囀る。少し遠くには街行く悪魔達の楽しそうな声が響いてきて、隣には大好きなオリアスの温もり。
そんな空間が名無しさんにとってはかけがえのないもののように思えた。
「...俺は、多分、こういうのが欲しかったんだろうな〜」
どこか遠くを見つめながら話すオリアスは少し寂し気で。それでも嬉しそうに笑うから名無しさんも負けじと笑顔になった。
細められた瞳からは深い感情は読み取れない。
それでも今オリアスは、幸せなのだと名無しさんには伝わっていた。
「...私もさー、奇跡みたいんなもんだよ。ここに居るのも」
「確か、遠い地域に住んでたんだっけ?」
「...だね、こことはまた全然違う遠い所、かな」
「そっか〜。じゃあそこに居たままじゃ、出会えてなかったかもなんだねぇ」
「...きっとね。だからさ、ここに今居るのも、オズくん付き合えたのも...未だに夢みたいなんだ」
最高に幸せ者だよね、と言ってクシャッと笑った名無しさんにオリアスは目を奪われ疼くような胸の高鳴りを覚える。
そしてその感情を噛み締めるかのように深く息を吸った後、前を見据えた。
「ほんっと君はさ..........、惑わす天才だよ」
言葉とは裏腹に、愛おしそうな眼差しで名無しさんに視線を移したオリアスは困ったように眉を下げて笑う。
「...全く、何でこんなに、可愛いんだろうねぇ」
「!!」
まるで壊れ物にでも触れるかのように、愛しむかのようにそっと名無しさんの頬に触れ、優しい手つきで頬を撫でたオリアス。
それと同時に、まさか言われると思っていなかった単語を発せられ名無しさんは色んな意味で処理が追いつかないでいた。
「.........か、わいい?私が?」
頬を薄く染めながらチラリと目線をあげれば、オリアスの目は柔らさを増すように細くなり温度が増した。
「君以外誰が居るのさ」
「だっ、て。可愛いっていうのは、もっと...こう」
「うーん、名無しさんちゃんの基準は、俺には分からないけど...」
「.........」
「俺にとったら、今まで出会ったどんな悪魔よりも一番君が可愛いよ」
「!!」
「何、そんな今更な事で照れてんの〜?」
「い、いや、だってさ、そんなの一言も...」
「当たり前だったからねぇ、俺にとったら」
「.........駄目だ、オズくんが惚れさせようとしてくるぞ」
「あはははっ!こんな事で良ければいくらでも言うけど?」
「待って、今日が命日は流石に勿体ない」
目線を逸らし続けながら必死に赤くなった顔を誤魔化そうとしている名無しさんはオリアスにとってはただただ可愛いくて。
夕焼けに染まってきた空と同じようにオリアスの胸にもじんわりとした温もりが広がっていた。
「結構暗くなってきたし、そろそろ帰ろっか」
「あ。そういえば」
「はい。お手をどーぞ?」
朝とは違い今度は優しい眼差しで告げられれば、名無しさんは途端に嬉しさと恥ずかしさがないまぜになって顔がにやけそうになる。
「分かっててやってるのがずるいんだよなぁー」
「何の事かな〜」
機嫌良さげに握られた掌は、溶け合うように交わり2人の距離を埋めていく。
「...幸せ?」
「幸せ!」
「ははっ俺も」
伸びていく影すらも2人の仲を現すかのように折り重なり温もりを残していくようで。
ほぼ誰も居なかった公園には、仲睦まじげな優しい空気が広がっていた。