きんいろの奇跡
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あの夜から早2週間。
始めはどきまぎとしていた2人だったが次第にいつも通りの距離感になってきた今日この頃。
名無しさんは今日も朝早くから1人食堂の掃除をしていた。
「ねぇねぇ名無しさんさんっ!どうしていつも清掃員さんがいるのに掃除してるんですかー?」
「!ろ、ロビン先生居たんですか」
「あれれ?いつもの癖で気配消しちゃってたかもです!」
「すごいですね...びっくりした〜」
「わははっすみません!それで、どうしてなんですー?」
何をしにきたのかは名無しさんには謎だったが、何か用があって来たのだろうなと、ワクワクした眼差しを見て彼女は答える。
「私、悪魔学校 で務めるの憧れだったんです」
「あー!僕もですっ、やっぱり悪魔にとっての憧れですよねぇ〜!」
「はい、だからこの日常が当たり前だと思わないように毎日感謝したくて」
「へぇ〜!面白いんですねっ名無しさんさんって!」
「私からしたらロビン先生のが大分面白いですけどね」
「あははっ本当ですか〜?参っちゃうなぁ〜!」
どこまでも真っ直ぐではつらつとした元気の塊のようなロビン。オリアスとはまた違った無邪気な笑い方だなと名無しさんが思っていると思わぬ単語にドキリとさせられる。
「そういえば、名無しさんさんってオリアス先生とお付き合いしてたんですねぇ!」
「あ、ダリ先生とかですか?」
「いいえ、オリアス先生本人から聞きましたよ〜!あんまり近づき過ぎちゃ駄目だって」
「!...そう、ですか」
「愛されてますねっ!名無しさんさんっ」
「だと、嬉しいです」
「あははっもしかして照れてますー??いいなぁ〜!僕もいつかは恋愛してみたいですっ!」
「え、今までそういう悪魔とかは居なかったんですか?」
ロビンならば好きな悪魔にグイグイと行きそうなイメージだったので名無しさんが不思議がると、
「あ〜僕の場合、集中しちゃうとずーっと篭りっきりになっちゃうんで、気がついたら振られてるんですっ!」
「それは、悲しいですね」
「うーん、やっぱりそうなんですかねぇー?僕まだ、弓以上に興味のあるものって出会った事がなくって」
あっけらかんと笑い、本当に興味の対処の有無がはっきりしているのか、さして気にした様子もなくロビンは答えた。
「だから、お二人が羨ましいんですっ!だって恋人同士なら、ずっと一緒に居られるじゃないですか〜!」
その言葉を聞いて名無しさんは一瞬息をするのを忘れた。
何気なく放たれた言葉の威力に名無しさんが数秒固まっていると、勢いよく開かれた扉の音で会話が中断された。
「おい貴様、いつまで油を売っているつもりだ!」
「あーっカルエゴ先生!もしかして僕を迎えにきてくれたんですかー?」
「チッ。魔珈琲を取りに行くというからすぐ戻ってくるのかと思えばまた貴様は...」
「いでででででっ!!」
「っはぁ。で?用意出来ているんでしょうね」
「えーと、すみません...初耳です」
「きっさまぁー!!」
「いったーーい!!」
顔面を掴まれ雄叫びをあげるシチュエーションに立ち会える何てと名無しさんは少しの感動を覚えながらも、急いで調理裏へと取りにいく。
すぐに数個抱えてテーブルに戻ればロビンが正座させられていた。
「お待たせしました!お忙しそうなので、今回多めに渡しておきますね」
「...確かに。掃除中に失礼しました」
「こちらこそ職務中とは知らずに、すみません」
「全てはこの新任のせいなのでお気になさらず。では」
まるで嵐のように静まり返った食堂。少しの間放心していた名無しさんも用具を片付けながら先程ロビンに言われた言葉を反芻する。
「ずっと...か」
それは、名無しさんが望んで止まない命の長さで。
悪魔と違いどれだけ長く生きようと100年はもう生きられない事は名無しさんも分かっていた。
もっと早くに別れが来るかもしれない、オリアスが別の悪魔を好きになるのかもしれない。
考えたくない未来は沢山あれど、名無しさん自身が望むのはたった一つの幸せ。
「...隣に、居たいなぁ」
本当にオリアスの事を思うのであれば、今この瞬間から別れを告げるべきだとしても、幸せにしたいと言われたあの瞬間に名無しさんの心は欲張りになってしまった。
「どうするのが、正解なんだろうなぁ〜」
答えがでない問題を抱えながら、名無しさんは今日も桜の木へと向かう。魔界に咲かない人間界の花。
渇れる事もなく魔界で生き続けるその存在に、いつの間にか勇気を貰っていたのだなと名無しさんは切なげに笑う。
「私が...人間じゃなかったらな」
何気なく呟いたこの一言が、今後の名無しさんの人生を左右する事になろうとは、今は誰もまだ気がつかずにいた。
始めはどきまぎとしていた2人だったが次第にいつも通りの距離感になってきた今日この頃。
名無しさんは今日も朝早くから1人食堂の掃除をしていた。
「ねぇねぇ名無しさんさんっ!どうしていつも清掃員さんがいるのに掃除してるんですかー?」
「!ろ、ロビン先生居たんですか」
「あれれ?いつもの癖で気配消しちゃってたかもです!」
「すごいですね...びっくりした〜」
「わははっすみません!それで、どうしてなんですー?」
何をしにきたのかは名無しさんには謎だったが、何か用があって来たのだろうなと、ワクワクした眼差しを見て彼女は答える。
「私、
「あー!僕もですっ、やっぱり悪魔にとっての憧れですよねぇ〜!」
「はい、だからこの日常が当たり前だと思わないように毎日感謝したくて」
「へぇ〜!面白いんですねっ名無しさんさんって!」
「私からしたらロビン先生のが大分面白いですけどね」
「あははっ本当ですか〜?参っちゃうなぁ〜!」
どこまでも真っ直ぐではつらつとした元気の塊のようなロビン。オリアスとはまた違った無邪気な笑い方だなと名無しさんが思っていると思わぬ単語にドキリとさせられる。
「そういえば、名無しさんさんってオリアス先生とお付き合いしてたんですねぇ!」
「あ、ダリ先生とかですか?」
「いいえ、オリアス先生本人から聞きましたよ〜!あんまり近づき過ぎちゃ駄目だって」
「!...そう、ですか」
「愛されてますねっ!名無しさんさんっ」
「だと、嬉しいです」
「あははっもしかして照れてますー??いいなぁ〜!僕もいつかは恋愛してみたいですっ!」
「え、今までそういう悪魔とかは居なかったんですか?」
ロビンならば好きな悪魔にグイグイと行きそうなイメージだったので名無しさんが不思議がると、
「あ〜僕の場合、集中しちゃうとずーっと篭りっきりになっちゃうんで、気がついたら振られてるんですっ!」
「それは、悲しいですね」
「うーん、やっぱりそうなんですかねぇー?僕まだ、弓以上に興味のあるものって出会った事がなくって」
あっけらかんと笑い、本当に興味の対処の有無がはっきりしているのか、さして気にした様子もなくロビンは答えた。
「だから、お二人が羨ましいんですっ!だって恋人同士なら、ずっと一緒に居られるじゃないですか〜!」
その言葉を聞いて名無しさんは一瞬息をするのを忘れた。
何気なく放たれた言葉の威力に名無しさんが数秒固まっていると、勢いよく開かれた扉の音で会話が中断された。
「おい貴様、いつまで油を売っているつもりだ!」
「あーっカルエゴ先生!もしかして僕を迎えにきてくれたんですかー?」
「チッ。魔珈琲を取りに行くというからすぐ戻ってくるのかと思えばまた貴様は...」
「いでででででっ!!」
「っはぁ。で?用意出来ているんでしょうね」
「えーと、すみません...初耳です」
「きっさまぁー!!」
「いったーーい!!」
顔面を掴まれ雄叫びをあげるシチュエーションに立ち会える何てと名無しさんは少しの感動を覚えながらも、急いで調理裏へと取りにいく。
すぐに数個抱えてテーブルに戻ればロビンが正座させられていた。
「お待たせしました!お忙しそうなので、今回多めに渡しておきますね」
「...確かに。掃除中に失礼しました」
「こちらこそ職務中とは知らずに、すみません」
「全てはこの新任のせいなのでお気になさらず。では」
まるで嵐のように静まり返った食堂。少しの間放心していた名無しさんも用具を片付けながら先程ロビンに言われた言葉を反芻する。
「ずっと...か」
それは、名無しさんが望んで止まない命の長さで。
悪魔と違いどれだけ長く生きようと100年はもう生きられない事は名無しさんも分かっていた。
もっと早くに別れが来るかもしれない、オリアスが別の悪魔を好きになるのかもしれない。
考えたくない未来は沢山あれど、名無しさん自身が望むのはたった一つの幸せ。
「...隣に、居たいなぁ」
本当にオリアスの事を思うのであれば、今この瞬間から別れを告げるべきだとしても、幸せにしたいと言われたあの瞬間に名無しさんの心は欲張りになってしまった。
「どうするのが、正解なんだろうなぁ〜」
答えがでない問題を抱えながら、名無しさんは今日も桜の木へと向かう。魔界に咲かない人間界の花。
渇れる事もなく魔界で生き続けるその存在に、いつの間にか勇気を貰っていたのだなと名無しさんは切なげに笑う。
「私が...人間じゃなかったらな」
何気なく呟いたこの一言が、今後の名無しさんの人生を左右する事になろうとは、今は誰もまだ気がつかずにいた。