きんいろの奇跡
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「体調は変わりなさそう?」
「全然平気だよ〜、ありがとね名無しさんちゃん」
「...それにしても、さ」
「...うん」
「いっつもあんな感じなんだ?」
「俺も普段は参加しないからねぇ...まさかあそこまでとは」
静まり返った夜道を歩きながら、ベロベロの一歩手前まで酔い騒ぎ倒す教師陣を思い出し笑う2人。
そよそよと風が吹き抜ける夜は、いつかの帰り道みたいだなと名無しさんは思った。
「何かさ、懐かしいね」
「あ〜確かに、あの日みたいだ」
そう言って静かになる夜道も、心地の良い空間も、2人の歩く足音だけが響く時間も。思えばずっとお互いの隣は居心地が良くて。
「収穫祭間に合いそうで良かったね」
「お陰様でね。だからこそより万全で臨まないと」
「やっぱ、そんなに難しい試験なんだ」
「まぁねぇ。毎年どう転ぶか何て読めないし、油断も出来ない」
「そっか〜。守る側っていうのも大変なんだろうなぁ」
凄いなぁ、と名無しさんは嬉しそうに呟きそれを見たオリアスも目元を緩めて笑う。オリアスにとって彼女の感じる一つ一つの感情が新鮮で側に居るだけで心が安らいでいくのだ。
「...何ていうか、帰りたくないね」
「やっと元気になったから遊び足りないんでしょ」
「それだけじゃないよ〜?」
「気持ちも分からなくは無いけどさー。夜更かしって楽しいし」
「うわー分かる〜。夜に遊べる施設とかもっとあっても良いのにねぇ〜」
「そんな事したらオズくんは毎日寝不足の未来が見える」
「はははっ!よく分かってるじゃん」
顔を見合わせて笑いながら気がつけばもうサリバン邸前。
自然と止まった2つの影は名残惜しそうに留まっていて。
「...んじゃあ名無しさんちゃん、今日はもうお別れかな」
「...あっという間だったね」
眉を下げて笑うオリアスを見て、本当に濃くて楽しい1日だったなと思い出しながら名無しさんも笑う。
まさかお互いが付き合えるとは思っていなかったからこそ未だ夢心地なのだ。
するとそんな2人の空間を他所に、思いもよらなかった声がこの場に響く。
「あれ?帰ってたんだね名無しさんさん!それと...オリアス先生?!」
「おや、これはこれは...お邪魔してしまったようですね」
今が修行の帰りなのだろう、いつものようにボロボロになった姿で帰宅した入間と何やらわざとらしく口元に手を当ててとぼけた顔をしたオペラ。
その顔を見て今すぐにオリアスを帰さなければと名無しさんは今までの経験から悟った。
「ほんっっっとごめんよオズくん!こんな予定じゃ」
「それは平気だよ。っていうか寧ろ俺の方こそ本当に大丈夫なの?」
2人は今、オペラの謎の図らいによりサリバン邸のリビングにて入間と共に席につき物凄い勢いで食事をする様子を何故か見守っている。
「魔茶です」
「あ、どうも」
「ゆっくりしていって下さいね」
何食わぬ顔でオリアスをもてなすオペラ。名無しさんは頭を抱えながらその腕を引きコソコソとオリアス達には聞こえないトーンで会話をしていた。
「オペラさんっ、気持ちは嬉しいけどオリアス先生は今日悪周期から回ふ
「おや?先程オズくんと呼んでませんでした?」
「今気にするとこそこじゃないから!」
惚けたような顔で全く取り合わないオペラは明らかに名無しさんをおちょくっていて。いつも見かける光景に入間は苦笑しながらも、その様子を眺めるオリアスを見て声をかける。
「オリアス先生すみません、夜遅くで疲れてるのに」
「ん?ちょうど時間があったから気にしなくていいよ〜」
「...でも、何だか僕、嬉しいです!」
「嬉しい...?」
「一度ゆっくりと話して見たかったんです!オリアス先生っていつもキラキラしてて格好良いから、僕いつも緊張しちゃって」
恥ずかしそうに頬をかきながら笑った入間は、少し会話しただけでも絆されてしまいそうになる程の人柄が伝わってくる。
そしてこの純粋さと心がポカポカとする感覚は、オリアス自身としても名無しさんにも通ずる所があったのだ。
「なぁ〜に?俺の事、口説いてるの?」
「ちがっ、まっ、口説くだなんてっ!」
「あははっ!焦ってやんの〜」
「焦ってません!僕はっ、そそそんなっ口説くとかっ」
赤面しながら入間がじたばたしていると、機嫌良さげに耳をぴこぴこさせたオペラと、どこか憔悴した名無しさんが戻ってくる。
「駄目ですよ入間様、オリアス先生にはちゃんとしたお相手がい
「ちょちょちょっオペラさん!!」
子供相手に一体何を言おうとしているのか。
焦ったように名無しさんはオペラの口を抑えると、何でもないからねと必死に入間へと弁解している。
するとその様子を見ていたオリアスはグッと拳を握り締めるがバレないようにと笑顔を浮かべた。
「それじゃあ入間くんの食事も終わりましたし、夜も遅いので俺はここら辺でお暇し
「えっ泊まっていかないんですか?」
「オペラさん!」
固まる2人を他所に、突然のお泊まり会が決定した。
あれよあれよと言う間に、オリアスの客室が整えられ着替えも一式与えられたかと思えばダリへの連絡も済んでいてオリアスと名無しさんは顔を見合わせる。
「..............なんか、ごめんね度々」
「思ったよりも強引なんだねぇ〜オペラさんって」
「うん、それはもう」
「あははははっ」
サリバン邸にきて見た事もない名無しさんの姿が見られて嬉しいのか、オリアスは機嫌良さげに口角を上げる。
「入間くんも、急にごめんねぇ〜。なるべく大人しくしてるからさ、1日だけ泊まらせて貰うよ」
「全然っ!僕はその、嬉しいので...!」
「そーお?ありがとねぇ〜」
「っはい!ゆっくりしていって下さいね、オリアス先生」
おずおずと2人を見つめていた入間だったが、オリアスが声をかけた途端嬉しそうに笑った入間を見て、君は本当可愛いねぇとオリアスは頭を撫でる。
そんな2人を名無しさんがじっと見つめていた事をオリアスは知らない。
...が、その皆の様子をオペラが見ていた事はもっと知らない。
「..........可愛い...可愛いか」
場所は変わり現在入浴中のオリアスとは違い名無しさんは自室へと戻っていた。鏡の前に立ち、その中に映る自分を見つめてはため息を吐き出しボフンとソファーへとダイブする。
「可愛いなんて...言われた事、ないなぁ」
突然決まったお泊まりに心臓がドキドキしていたのは確かで、入間とオリアスが仲良さげに話している姿も嬉しかったはずなのに。
天井へと手を伸ばす名無しさんの表情は優れない。
「エリザちゃんとか...ライム先生とか。可愛いに綺麗を兼ね備えてるもんなぁ」
確かに彼は一生懸命好きだと伝えてくれて、通じ合えて嬉しいと今日はあんなに喜んでくれていた。
でもそれは自分の意識しない居心地の良さに魅力を感じた故の理由から。
「...いいなぁ」
勿論それが嬉しくない訳ではない。
内面を見て一緒に居たい幸せにしたいと思って貰える事程嬉しい事などないからだ。
それを頭で分かりつつも、先程の2人を見ていた名無しさんは途端に自分でいいのかと自信が無くなっていたのだ。
「欲張りだなぁ、私は」
目を閉じて名無しさんは遠くなった記憶を思い出す。
能力といえど頬を赤くしてエリザに魅力を感じていた姿やライムに詰め寄られ遠目でも分かるぐらい赤面していた姿。
そのどちらも名無しさんと会話をする記憶の中のオリアスからは感じられた事のない表情で。せめて可愛げでもあれば良かったなーと名無しさんは笑う。
今の自分がこの世界でバラムにすぐ信じて貰えたのも、帰る場所が出来たのも、今の居場所が出来たのも、全てを辿れば入間が居てくれたお陰だという事を名無しさんはちゃんと理解していた。
「おし!落ち込んでても仕方ない、ないもんはないっ」
ぱんぱんっと頬を叩き、せめて別れを切り出されるその日まではオリアスが笑顔で居られる存在であろうと名無しさんはよしっ!と気合いを入れ直した。
ーコンコン ガチャ
「あっオペラさん!お風呂空きましたか?」
「...何をされていたのですか?」
すると、喝入れの声を聞かれていたのか少し耳を横にした状態で怪しげに見つめられ恥ずかしくなった名無しさんは何でもないですと慌てたように部屋を出た。
「あ、名無しさんちゃん!お先〜」
「顔色大分良くなったね」
「ゆっくり入ったのは久々だからねぇ〜」
「...ロビン先生に伝えとくね」
「やめてっ?!」
「はははっ!」
髪がまだ濡れており、いつもよりも隙が多い服を見て名無しさんは目をそらすかのように笑って誤魔化しながら通り過ぎる。
どうやらこれから入間とのゲーム勝負が待っているようなのだ。
「後で名無しさんちゃんもおいでよ。また勝負したかったんだよね〜」
「よしきた、負ける準備しといた方がいいよオズくん」
「ははっ返り討ちにしてあげるよ、名無しさんちゃん」
振り返りながら笑うオリアスは、ゲームの事となるとより無邪気で。そんな姿を見て笑顔を返した名無しさんを見てずっと横にいたオペラは口元に手を当てながら耳をぴこぴことしていた。
「ラブラブですね」
「ゴホゴホっ!.......って、居たのかオペラさん!」
全く気が付かない名無しさんも名無しさんだが、気配を消してまで見守るオペラもオペラだと思う感情はありありと彼女の顔に表れていて。
「大丈夫ですよ、名無しさん様が下心満載の目で彼を見ていた事は内緒にして差し上げます」
「語弊しかないっ」
「あ、でも夜這いなどと言ういかがわしい真似は些か入間様の教育によろしくありませんので、本日はどうかおやめ下さいね」
「人を変態みたいに言うのやめてくれるかな??」
「おや、違うのですか?」
「全然違うよ!!」
「お可哀想に」
「何が?!」
入間とオリアスが居るリビングまで、2人の騒ぐ声が聞こえていた事を名無しさんは知る由も無いまま入間とオリアスは顔を見合わせて笑った。
「全然平気だよ〜、ありがとね名無しさんちゃん」
「...それにしても、さ」
「...うん」
「いっつもあんな感じなんだ?」
「俺も普段は参加しないからねぇ...まさかあそこまでとは」
静まり返った夜道を歩きながら、ベロベロの一歩手前まで酔い騒ぎ倒す教師陣を思い出し笑う2人。
そよそよと風が吹き抜ける夜は、いつかの帰り道みたいだなと名無しさんは思った。
「何かさ、懐かしいね」
「あ〜確かに、あの日みたいだ」
そう言って静かになる夜道も、心地の良い空間も、2人の歩く足音だけが響く時間も。思えばずっとお互いの隣は居心地が良くて。
「収穫祭間に合いそうで良かったね」
「お陰様でね。だからこそより万全で臨まないと」
「やっぱ、そんなに難しい試験なんだ」
「まぁねぇ。毎年どう転ぶか何て読めないし、油断も出来ない」
「そっか〜。守る側っていうのも大変なんだろうなぁ」
凄いなぁ、と名無しさんは嬉しそうに呟きそれを見たオリアスも目元を緩めて笑う。オリアスにとって彼女の感じる一つ一つの感情が新鮮で側に居るだけで心が安らいでいくのだ。
「...何ていうか、帰りたくないね」
「やっと元気になったから遊び足りないんでしょ」
「それだけじゃないよ〜?」
「気持ちも分からなくは無いけどさー。夜更かしって楽しいし」
「うわー分かる〜。夜に遊べる施設とかもっとあっても良いのにねぇ〜」
「そんな事したらオズくんは毎日寝不足の未来が見える」
「はははっ!よく分かってるじゃん」
顔を見合わせて笑いながら気がつけばもうサリバン邸前。
自然と止まった2つの影は名残惜しそうに留まっていて。
「...んじゃあ名無しさんちゃん、今日はもうお別れかな」
「...あっという間だったね」
眉を下げて笑うオリアスを見て、本当に濃くて楽しい1日だったなと思い出しながら名無しさんも笑う。
まさかお互いが付き合えるとは思っていなかったからこそ未だ夢心地なのだ。
するとそんな2人の空間を他所に、思いもよらなかった声がこの場に響く。
「あれ?帰ってたんだね名無しさんさん!それと...オリアス先生?!」
「おや、これはこれは...お邪魔してしまったようですね」
今が修行の帰りなのだろう、いつものようにボロボロになった姿で帰宅した入間と何やらわざとらしく口元に手を当ててとぼけた顔をしたオペラ。
その顔を見て今すぐにオリアスを帰さなければと名無しさんは今までの経験から悟った。
「ほんっっっとごめんよオズくん!こんな予定じゃ」
「それは平気だよ。っていうか寧ろ俺の方こそ本当に大丈夫なの?」
2人は今、オペラの謎の図らいによりサリバン邸のリビングにて入間と共に席につき物凄い勢いで食事をする様子を何故か見守っている。
「魔茶です」
「あ、どうも」
「ゆっくりしていって下さいね」
何食わぬ顔でオリアスをもてなすオペラ。名無しさんは頭を抱えながらその腕を引きコソコソとオリアス達には聞こえないトーンで会話をしていた。
「オペラさんっ、気持ちは嬉しいけどオリアス先生は今日悪周期から回ふ
「おや?先程オズくんと呼んでませんでした?」
「今気にするとこそこじゃないから!」
惚けたような顔で全く取り合わないオペラは明らかに名無しさんをおちょくっていて。いつも見かける光景に入間は苦笑しながらも、その様子を眺めるオリアスを見て声をかける。
「オリアス先生すみません、夜遅くで疲れてるのに」
「ん?ちょうど時間があったから気にしなくていいよ〜」
「...でも、何だか僕、嬉しいです!」
「嬉しい...?」
「一度ゆっくりと話して見たかったんです!オリアス先生っていつもキラキラしてて格好良いから、僕いつも緊張しちゃって」
恥ずかしそうに頬をかきながら笑った入間は、少し会話しただけでも絆されてしまいそうになる程の人柄が伝わってくる。
そしてこの純粋さと心がポカポカとする感覚は、オリアス自身としても名無しさんにも通ずる所があったのだ。
「なぁ〜に?俺の事、口説いてるの?」
「ちがっ、まっ、口説くだなんてっ!」
「あははっ!焦ってやんの〜」
「焦ってません!僕はっ、そそそんなっ口説くとかっ」
赤面しながら入間がじたばたしていると、機嫌良さげに耳をぴこぴこさせたオペラと、どこか憔悴した名無しさんが戻ってくる。
「駄目ですよ入間様、オリアス先生にはちゃんとしたお相手がい
「ちょちょちょっオペラさん!!」
子供相手に一体何を言おうとしているのか。
焦ったように名無しさんはオペラの口を抑えると、何でもないからねと必死に入間へと弁解している。
するとその様子を見ていたオリアスはグッと拳を握り締めるがバレないようにと笑顔を浮かべた。
「それじゃあ入間くんの食事も終わりましたし、夜も遅いので俺はここら辺でお暇し
「えっ泊まっていかないんですか?」
「オペラさん!」
固まる2人を他所に、突然のお泊まり会が決定した。
あれよあれよと言う間に、オリアスの客室が整えられ着替えも一式与えられたかと思えばダリへの連絡も済んでいてオリアスと名無しさんは顔を見合わせる。
「..............なんか、ごめんね度々」
「思ったよりも強引なんだねぇ〜オペラさんって」
「うん、それはもう」
「あははははっ」
サリバン邸にきて見た事もない名無しさんの姿が見られて嬉しいのか、オリアスは機嫌良さげに口角を上げる。
「入間くんも、急にごめんねぇ〜。なるべく大人しくしてるからさ、1日だけ泊まらせて貰うよ」
「全然っ!僕はその、嬉しいので...!」
「そーお?ありがとねぇ〜」
「っはい!ゆっくりしていって下さいね、オリアス先生」
おずおずと2人を見つめていた入間だったが、オリアスが声をかけた途端嬉しそうに笑った入間を見て、君は本当可愛いねぇとオリアスは頭を撫でる。
そんな2人を名無しさんがじっと見つめていた事をオリアスは知らない。
...が、その皆の様子をオペラが見ていた事はもっと知らない。
「..........可愛い...可愛いか」
場所は変わり現在入浴中のオリアスとは違い名無しさんは自室へと戻っていた。鏡の前に立ち、その中に映る自分を見つめてはため息を吐き出しボフンとソファーへとダイブする。
「可愛いなんて...言われた事、ないなぁ」
突然決まったお泊まりに心臓がドキドキしていたのは確かで、入間とオリアスが仲良さげに話している姿も嬉しかったはずなのに。
天井へと手を伸ばす名無しさんの表情は優れない。
「エリザちゃんとか...ライム先生とか。可愛いに綺麗を兼ね備えてるもんなぁ」
確かに彼は一生懸命好きだと伝えてくれて、通じ合えて嬉しいと今日はあんなに喜んでくれていた。
でもそれは自分の意識しない居心地の良さに魅力を感じた故の理由から。
「...いいなぁ」
勿論それが嬉しくない訳ではない。
内面を見て一緒に居たい幸せにしたいと思って貰える事程嬉しい事などないからだ。
それを頭で分かりつつも、先程の2人を見ていた名無しさんは途端に自分でいいのかと自信が無くなっていたのだ。
「欲張りだなぁ、私は」
目を閉じて名無しさんは遠くなった記憶を思い出す。
能力といえど頬を赤くしてエリザに魅力を感じていた姿やライムに詰め寄られ遠目でも分かるぐらい赤面していた姿。
そのどちらも名無しさんと会話をする記憶の中のオリアスからは感じられた事のない表情で。せめて可愛げでもあれば良かったなーと名無しさんは笑う。
今の自分がこの世界でバラムにすぐ信じて貰えたのも、帰る場所が出来たのも、今の居場所が出来たのも、全てを辿れば入間が居てくれたお陰だという事を名無しさんはちゃんと理解していた。
「おし!落ち込んでても仕方ない、ないもんはないっ」
ぱんぱんっと頬を叩き、せめて別れを切り出されるその日まではオリアスが笑顔で居られる存在であろうと名無しさんはよしっ!と気合いを入れ直した。
ーコンコン ガチャ
「あっオペラさん!お風呂空きましたか?」
「...何をされていたのですか?」
すると、喝入れの声を聞かれていたのか少し耳を横にした状態で怪しげに見つめられ恥ずかしくなった名無しさんは何でもないですと慌てたように部屋を出た。
「あ、名無しさんちゃん!お先〜」
「顔色大分良くなったね」
「ゆっくり入ったのは久々だからねぇ〜」
「...ロビン先生に伝えとくね」
「やめてっ?!」
「はははっ!」
髪がまだ濡れており、いつもよりも隙が多い服を見て名無しさんは目をそらすかのように笑って誤魔化しながら通り過ぎる。
どうやらこれから入間とのゲーム勝負が待っているようなのだ。
「後で名無しさんちゃんもおいでよ。また勝負したかったんだよね〜」
「よしきた、負ける準備しといた方がいいよオズくん」
「ははっ返り討ちにしてあげるよ、名無しさんちゃん」
振り返りながら笑うオリアスは、ゲームの事となるとより無邪気で。そんな姿を見て笑顔を返した名無しさんを見てずっと横にいたオペラは口元に手を当てながら耳をぴこぴことしていた。
「ラブラブですね」
「ゴホゴホっ!.......って、居たのかオペラさん!」
全く気が付かない名無しさんも名無しさんだが、気配を消してまで見守るオペラもオペラだと思う感情はありありと彼女の顔に表れていて。
「大丈夫ですよ、名無しさん様が下心満載の目で彼を見ていた事は内緒にして差し上げます」
「語弊しかないっ」
「あ、でも夜這いなどと言ういかがわしい真似は些か入間様の教育によろしくありませんので、本日はどうかおやめ下さいね」
「人を変態みたいに言うのやめてくれるかな??」
「おや、違うのですか?」
「全然違うよ!!」
「お可哀想に」
「何が?!」
入間とオリアスが居るリビングまで、2人の騒ぐ声が聞こえていた事を名無しさんは知る由も無いまま入間とオリアスは顔を見合わせて笑った。