きんいろの奇跡
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「おはようございまー...って、オズくん?!」
「.......ん。おはよう、名無しさんちゃん」
少し早く目が覚めた名無しさんは昨日よりも早く教師寮へと赴きリビングへと入ればキッチンテーブルに突っ伏した状態のオリアスが居て驚きに声をあげた。
「えっ、もう大丈夫なの?!部屋から出て...」
「...うん。まだ怠さと眠気は凄いけど、苛々とかは全くない」
「それならいいけど...あ、ちょっと待ってて。確かここに」
フードを被りダランとした状態のまま足をぷらぷらとさせて話しかけるオリアスはやはり着実に元気にはなっているのだが、恐らく寒がりなのだろうという事はこの数日で名無しさんは知っていたのでふわふわの膝掛けを持ってきていたのだ。
「おっし、これでいいかな。寒くない?」
「.......これ...どうして」
「あー...気のせいだったらごめんなんだけど、もしかしたらオズくん寒がりなのかなーって思ったから、念の為に持ってきてたんだ」
「.......そ、っか」
「うん。どうする?今からご飯作るからまだ時間かかるけどソファーとかで待っててもいいよ」
「...いや、ここで見てたい」
「無理はしないようにねー」
「うん」
突っ伏したままで名無しさんの支度を見つめるオリアスの耳は赤い。
フードに隠れていたそこは名無しさんにはバレなくとも確実に熱を持っていて、柔らかいアロマの香りがする膝掛けはまるで名無しさんに抱きしめられているようで。
徐々に顔を赤く染めていったオリアスは次第に顔を机に埋めた。
ーとんとん
「...........んせ」
「.............ん」
ーとんとん
「.........ん、だれ」
「オリアス先生、ご飯出来ましたよ」
いつの間にかあのまま眠ってしまっていたのだろう。
気がつけばリビングは賑わいを増していて、聞き慣れた騒がしさが広がっている様子にオリアスは目を擦りながらゆっくりと身体を起こした。
「あ、起きましたー?体調どうです?」
「ダリ、先生...」
「おはようございまっすオリアスせーんせ!」
「おはようございます、その...俺」
「今回は早めに良くなりそうですね!でも、無理は禁物ですよ〜?朝を食べたら部屋でゆっくり過ごすこと」
「...はい、勿論」
「あ!どうせなら、名無しさんちゃんと部屋で食べてきてね〜その様子だと暴れる心配も無さそうですし!」
ニカッと効果音がつきそうなぐらいの笑顔で言ってのけたダリは、マルバスとイフリートに頼み2人分の食事を113号室に運ぶよう指示をする。
「あ〜..........美味かった」
「お粗末です」
ご馳走様をして、クッションをギュッと抱きしめたまま倒れたオリアスを見て名無しさんはおかしそうに笑い食器を片付ける。
「ありがとう、名無しさんちゃん。...美味しいご飯に片付けまで」
「気にしなくていいよー。楽しいからさ」
「...そっか。けど、ありがとね」
「今日もこの後は休む?」
「んー.................名無しさんちゃんは?...仕事?」
カーペットの上にコロンと転がったままのオリアスはそのままの状態で名無しさんを見上げる。
「ううん、今の仕事はオズくんの回復の手伝いだからお昼まで休み〜」
「え、そうなのっ...?」
「そう、だから今日はゆっくり休もうかなって」
そこまで言って立ち上がり部屋からでて行こうとする名無しさんを見て、オリアスは少し焦ったようにその背中へと声をかけた。
「だったらさ、ここで...休んでけば」
「...オズくんの部屋でってこと?」
「...うん。最近.....会えてなかったし...久々にさ、話そうよ」
「体調は?辛いとかはない?」
「それは大丈夫。...本当、何でかは分からないけど体がすげー楽...なんだよね」
「バラム先生の薬のお陰かもよ」
「だね。............で、どうする?」
ゆったりと身体をお越し、ベッドにぽすんと上半身を倒した状態のまま名無しさんを見上げたオリアスは眠たそうに目をしぱしぱとさせる。
その様子を見た名無しさんは、とりあえず食器を片付けてから戻ってくるとだけ伝えてオリアスの部屋には一時的に静寂が舞い降りた。
「.......ほんと、格好つけるも何も無いな...部屋、荒れすぎでしょ」
今更ながらの事に気がつけたのは、症状が確かに落ち着いているからだろう。ボロボロになったカーテンに、床や壁には激しい傷跡が残り、倒したのであろう本棚は名無しさんが直してくれたのか、いつもと違う順番でタイトル違いに整えられている。
オリアスがこんな状態を見せたのは、過去の記憶を辿っても家族にだけで。
間違っても口説こうと思っている女性含め、ましてや過去の彼女にすら見せた事も無い姿だったのだ。
「あ″ー、悪周期め.........くそ〜.....」
顔だけのせたベッドでコロコロしていると、ノックの後に名無しさんが入ってきて新しいお盆にはフルーツゼリーとカップが二つのっていた。
「どした?やっぱ眠いんでしょ」
「..........眠くない」
眠そうに、それでも目をキラキラとさせながらオリアスはゆっくりと両手を合わせた。
結局あの後、ゼリーを食べたオリアスは1時間もしないうちに寝入ってしまいその状況が分かっていた名無しさんは苦笑しながらも部屋を後にした。
「あ、名無しさんちゃん。久しぶりだね」
「バラム先生!!うわ〜久しぶり!!」
リビングにてカップを洗っていると、お風呂上がりなのかタオルを首にかけたままのバラムが入ってくる。
「...用事は終わったみたいだね」
「何とかね。僕もさっき帰ってきたんだ」
「おわ〜お疲れ様。でも、楽しかったんでしょ?」
「うん、それはもう。本当育てがいがある子達ばかりだよ」
「そっか。お腹は?」
「じゃあ軽く貰おうかな」
「おっけー。仕込みもしたかったし今ならリクエストきくよ」
「本当っ?だったらアレ、丸いお肉のやつ食べたいかも」
嬉しそうにハンバーグをリクエストしてくるバラムを見て名無しさんは笑い、久々の再会に話を弾ませる。
まだお昼前なので簡単につまめるアヒージョ風の盛り合わせにパンとサラダを出せば嬉しそうに食べ始めた。
「わぁ〜、この魔エビのスープ?すっごく美味しいよ」
「でしょー?オペラさん仕込み、へへ」
「君はどんどん腕が上がっていくねぇ。...楽しい?」
「うん!美味しいって顔で皆食べてくれるからそれが嬉しい」
「そっか。そういえばオリアス先生の体調はどんな感じかな」
今は授業中なので、リビングには名無しさんとバラムだけだからか周りを気にする様子もなく食事をするバラムは、パンをかじりながら名無しさんへと問いかける。
「いつもよりかなり楽だったって言ってたよ〜。今日もまだ3日目だけど会話出来るぐらいにはなってた」
「そんなに?へぇ〜それは凄い」
「バラム先生の薬のお陰だってさ」
「ふふっ、薬は特に変えてないんだけどね」
「??でも、ダリ先生も早く終わりそうだねーって」
「あぁ。多分ダリ先生は知っているんじゃあないかな、あの人もあぁ見えてかなり博識だしね」
そこまで言って魔茶を飲んだバラムに、名無しさんははっとしたように思い出す。
「そうだ!その反応...!オペラさんもダリ先生も何か知ってる感じだったけど、何かあるの?」
純粋に疑問なのだろう、首を傾げながら問いかける名無しさんにバラムは一瞬考える仕草を見せるが、まぁいいかと声を漏らして静かにつげる。
「番持ち...所謂相手が居る悪魔は、それだけで特別なんだよ」
優しく、それでいて穏やかに笑うバラムに名無しさんは余計に意味が分からず頭を捻った。
「番...あ!結婚相手ってこと?え、でもこないだは好きな人って...」
「結婚していなくても、互いの好意とかどちらかだけでもかなりの好意があればシンクロするから似た状態になれるんだよ」
「.................はっ、もしかして好きな人って恋人か!」
「ふふ、そうだと思うよ。まさか僕も3日でとは思わなかったな」
「へぇ〜恋人のパワーって凄いんだね〜」
「...??うん、だって好きな人が側に居たら安心するでしょ?」
「それは確かに」
...悪周期とは、ザックリ言うと悪魔のストレス周期だ。それを癒すにはそれを取り除くものに触れるか日頃からストレスにならないようなるべく心掛けるものなのだが、決して回避する事は出来ない。
そう、番持ち以外は。
「まさか悪周期にそんな裏技みたいなのがあっただなんてなぁ〜びっくりだ」
「一部の悪魔しか知らないからねぇ。これが広まっちゃうと犯罪が増えちゃうし」
「え、犯罪?」
「だってそうでしょう?ただでさえ理性が効かないんだから、一方的にでも好きな人を閉じ込めちゃえばいい話じゃない」
「こわ〜」
「でしょ?だからこれは一部の悪魔のみしか知らないんだ」
勿論この事は内緒だよ、と笑ったバラムに名無しさんも黙って頷いた。
「ところで君達って、どっちから告白したの?」
「ゴフッ!」
そう言う事だったのかと納得したように魔茶を啜っていた名無しさんは、突然ぶつけられた質問に激しく咳き込む。
「変な所入っちゃったのかな、大丈夫?」
「ゴホゴホっ........だ、だいじょうぶ」
「そう?落ち着いて飲みなよ」
心配そうに背中をさするバラムの優しさが今の名無しさんには突き刺さり、んんっと再度咳払いした後に何気ない声で言葉を発した。
「あのね、バラム先生」
「ね、ね、どっちからなの?」
「うん、分かるよ〜興奮するのは。でもね」
「うんうん」
「そもそも私達、付き合ってないよ」
「うんう.........えぇえーー?!嘘でしょっ?!」
ワクワクとした眼差しのバラムに真実を告げるのは酷だなと名無しさんは思ったが、真実なのだから仕方がない。
「えっ、えっ?!どう言う事?だってあの日、赤面しながらオリアス先生と出て行ったじゃないか!」
「ん?あぁ、あれはさ、優しい気遣いしてくれてたのに気がついてなかった自分がそれはもう恥ずかしくて」
「嘘でしょ?!オリアス先生は?何て言ってたの?!」
「え、好きな悪魔いるよーって話をしてたから聞いてた」
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「.......ん。おはよう、名無しさんちゃん」
少し早く目が覚めた名無しさんは昨日よりも早く教師寮へと赴きリビングへと入ればキッチンテーブルに突っ伏した状態のオリアスが居て驚きに声をあげた。
「えっ、もう大丈夫なの?!部屋から出て...」
「...うん。まだ怠さと眠気は凄いけど、苛々とかは全くない」
「それならいいけど...あ、ちょっと待ってて。確かここに」
フードを被りダランとした状態のまま足をぷらぷらとさせて話しかけるオリアスはやはり着実に元気にはなっているのだが、恐らく寒がりなのだろうという事はこの数日で名無しさんは知っていたのでふわふわの膝掛けを持ってきていたのだ。
「おっし、これでいいかな。寒くない?」
「.......これ...どうして」
「あー...気のせいだったらごめんなんだけど、もしかしたらオズくん寒がりなのかなーって思ったから、念の為に持ってきてたんだ」
「.......そ、っか」
「うん。どうする?今からご飯作るからまだ時間かかるけどソファーとかで待っててもいいよ」
「...いや、ここで見てたい」
「無理はしないようにねー」
「うん」
突っ伏したままで名無しさんの支度を見つめるオリアスの耳は赤い。
フードに隠れていたそこは名無しさんにはバレなくとも確実に熱を持っていて、柔らかいアロマの香りがする膝掛けはまるで名無しさんに抱きしめられているようで。
徐々に顔を赤く染めていったオリアスは次第に顔を机に埋めた。
ーとんとん
「...........んせ」
「.............ん」
ーとんとん
「.........ん、だれ」
「オリアス先生、ご飯出来ましたよ」
いつの間にかあのまま眠ってしまっていたのだろう。
気がつけばリビングは賑わいを増していて、聞き慣れた騒がしさが広がっている様子にオリアスは目を擦りながらゆっくりと身体を起こした。
「あ、起きましたー?体調どうです?」
「ダリ、先生...」
「おはようございまっすオリアスせーんせ!」
「おはようございます、その...俺」
「今回は早めに良くなりそうですね!でも、無理は禁物ですよ〜?朝を食べたら部屋でゆっくり過ごすこと」
「...はい、勿論」
「あ!どうせなら、名無しさんちゃんと部屋で食べてきてね〜その様子だと暴れる心配も無さそうですし!」
ニカッと効果音がつきそうなぐらいの笑顔で言ってのけたダリは、マルバスとイフリートに頼み2人分の食事を113号室に運ぶよう指示をする。
「あ〜..........美味かった」
「お粗末です」
ご馳走様をして、クッションをギュッと抱きしめたまま倒れたオリアスを見て名無しさんはおかしそうに笑い食器を片付ける。
「ありがとう、名無しさんちゃん。...美味しいご飯に片付けまで」
「気にしなくていいよー。楽しいからさ」
「...そっか。けど、ありがとね」
「今日もこの後は休む?」
「んー.................名無しさんちゃんは?...仕事?」
カーペットの上にコロンと転がったままのオリアスはそのままの状態で名無しさんを見上げる。
「ううん、今の仕事はオズくんの回復の手伝いだからお昼まで休み〜」
「え、そうなのっ...?」
「そう、だから今日はゆっくり休もうかなって」
そこまで言って立ち上がり部屋からでて行こうとする名無しさんを見て、オリアスは少し焦ったようにその背中へと声をかけた。
「だったらさ、ここで...休んでけば」
「...オズくんの部屋でってこと?」
「...うん。最近.....会えてなかったし...久々にさ、話そうよ」
「体調は?辛いとかはない?」
「それは大丈夫。...本当、何でかは分からないけど体がすげー楽...なんだよね」
「バラム先生の薬のお陰かもよ」
「だね。............で、どうする?」
ゆったりと身体をお越し、ベッドにぽすんと上半身を倒した状態のまま名無しさんを見上げたオリアスは眠たそうに目をしぱしぱとさせる。
その様子を見た名無しさんは、とりあえず食器を片付けてから戻ってくるとだけ伝えてオリアスの部屋には一時的に静寂が舞い降りた。
「.......ほんと、格好つけるも何も無いな...部屋、荒れすぎでしょ」
今更ながらの事に気がつけたのは、症状が確かに落ち着いているからだろう。ボロボロになったカーテンに、床や壁には激しい傷跡が残り、倒したのであろう本棚は名無しさんが直してくれたのか、いつもと違う順番でタイトル違いに整えられている。
オリアスがこんな状態を見せたのは、過去の記憶を辿っても家族にだけで。
間違っても口説こうと思っている女性含め、ましてや過去の彼女にすら見せた事も無い姿だったのだ。
「あ″ー、悪周期め.........くそ〜.....」
顔だけのせたベッドでコロコロしていると、ノックの後に名無しさんが入ってきて新しいお盆にはフルーツゼリーとカップが二つのっていた。
「どした?やっぱ眠いんでしょ」
「..........眠くない」
眠そうに、それでも目をキラキラとさせながらオリアスはゆっくりと両手を合わせた。
結局あの後、ゼリーを食べたオリアスは1時間もしないうちに寝入ってしまいその状況が分かっていた名無しさんは苦笑しながらも部屋を後にした。
「あ、名無しさんちゃん。久しぶりだね」
「バラム先生!!うわ〜久しぶり!!」
リビングにてカップを洗っていると、お風呂上がりなのかタオルを首にかけたままのバラムが入ってくる。
「...用事は終わったみたいだね」
「何とかね。僕もさっき帰ってきたんだ」
「おわ〜お疲れ様。でも、楽しかったんでしょ?」
「うん、それはもう。本当育てがいがある子達ばかりだよ」
「そっか。お腹は?」
「じゃあ軽く貰おうかな」
「おっけー。仕込みもしたかったし今ならリクエストきくよ」
「本当っ?だったらアレ、丸いお肉のやつ食べたいかも」
嬉しそうにハンバーグをリクエストしてくるバラムを見て名無しさんは笑い、久々の再会に話を弾ませる。
まだお昼前なので簡単につまめるアヒージョ風の盛り合わせにパンとサラダを出せば嬉しそうに食べ始めた。
「わぁ〜、この魔エビのスープ?すっごく美味しいよ」
「でしょー?オペラさん仕込み、へへ」
「君はどんどん腕が上がっていくねぇ。...楽しい?」
「うん!美味しいって顔で皆食べてくれるからそれが嬉しい」
「そっか。そういえばオリアス先生の体調はどんな感じかな」
今は授業中なので、リビングには名無しさんとバラムだけだからか周りを気にする様子もなく食事をするバラムは、パンをかじりながら名無しさんへと問いかける。
「いつもよりかなり楽だったって言ってたよ〜。今日もまだ3日目だけど会話出来るぐらいにはなってた」
「そんなに?へぇ〜それは凄い」
「バラム先生の薬のお陰だってさ」
「ふふっ、薬は特に変えてないんだけどね」
「??でも、ダリ先生も早く終わりそうだねーって」
「あぁ。多分ダリ先生は知っているんじゃあないかな、あの人もあぁ見えてかなり博識だしね」
そこまで言って魔茶を飲んだバラムに、名無しさんははっとしたように思い出す。
「そうだ!その反応...!オペラさんもダリ先生も何か知ってる感じだったけど、何かあるの?」
純粋に疑問なのだろう、首を傾げながら問いかける名無しさんにバラムは一瞬考える仕草を見せるが、まぁいいかと声を漏らして静かにつげる。
「番持ち...所謂相手が居る悪魔は、それだけで特別なんだよ」
優しく、それでいて穏やかに笑うバラムに名無しさんは余計に意味が分からず頭を捻った。
「番...あ!結婚相手ってこと?え、でもこないだは好きな人って...」
「結婚していなくても、互いの好意とかどちらかだけでもかなりの好意があればシンクロするから似た状態になれるんだよ」
「.................はっ、もしかして好きな人って恋人か!」
「ふふ、そうだと思うよ。まさか僕も3日でとは思わなかったな」
「へぇ〜恋人のパワーって凄いんだね〜」
「...??うん、だって好きな人が側に居たら安心するでしょ?」
「それは確かに」
...悪周期とは、ザックリ言うと悪魔のストレス周期だ。それを癒すにはそれを取り除くものに触れるか日頃からストレスにならないようなるべく心掛けるものなのだが、決して回避する事は出来ない。
そう、番持ち以外は。
「まさか悪周期にそんな裏技みたいなのがあっただなんてなぁ〜びっくりだ」
「一部の悪魔しか知らないからねぇ。これが広まっちゃうと犯罪が増えちゃうし」
「え、犯罪?」
「だってそうでしょう?ただでさえ理性が効かないんだから、一方的にでも好きな人を閉じ込めちゃえばいい話じゃない」
「こわ〜」
「でしょ?だからこれは一部の悪魔のみしか知らないんだ」
勿論この事は内緒だよ、と笑ったバラムに名無しさんも黙って頷いた。
「ところで君達って、どっちから告白したの?」
「ゴフッ!」
そう言う事だったのかと納得したように魔茶を啜っていた名無しさんは、突然ぶつけられた質問に激しく咳き込む。
「変な所入っちゃったのかな、大丈夫?」
「ゴホゴホっ........だ、だいじょうぶ」
「そう?落ち着いて飲みなよ」
心配そうに背中をさするバラムの優しさが今の名無しさんには突き刺さり、んんっと再度咳払いした後に何気ない声で言葉を発した。
「あのね、バラム先生」
「ね、ね、どっちからなの?」
「うん、分かるよ〜興奮するのは。でもね」
「うんうん」
「そもそも私達、付き合ってないよ」
「うんう.........えぇえーー?!嘘でしょっ?!」
ワクワクとした眼差しのバラムに真実を告げるのは酷だなと名無しさんは思ったが、真実なのだから仕方がない。
「えっ、えっ?!どう言う事?だってあの日、赤面しながらオリアス先生と出て行ったじゃないか!」
「ん?あぁ、あれはさ、優しい気遣いしてくれてたのに気がついてなかった自分がそれはもう恥ずかしくて」
「嘘でしょ?!オリアス先生は?何て言ってたの?!」
「え、好きな悪魔いるよーって話をしてたから聞いてた」
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