きんいろの奇跡
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「はははっほんっと君は真面目だねぇ〜!全然良いですよ、寧ろお疲れの中感謝してますっ」
「ダリ先生.....」
にっこりと笑って許して貰えたのは目の前に居る人物の懐の広さ故。それを理解している名無しさんは再度頭を下げて朝食の準備を開始していた。
人数が多いとはいえ、こちらでもものの30分で作り上げた名無しさんは少しだけ湿った髪を上げ直してダリへと声をかける。
「朝食分はどうしますか?まだイフリート先生はお休みのようですし、私1人でも向かいましょうか」
「いやいや、エイト先生が付いている時のみが許可の条件なので今日はこちらで渡しておきますよ〜」
「分かりました、よろしくお願いします!では私はここで」
「はいっ朝からありがとうございました〜!後はゆっくり家で休んでね!またお昼に」
お辞儀をして広い教師寮を後にした名無しさん。
この日から名無しさんの生活は、数日だけの間ではあるが学校での仕事を休む代わりに朝昼晩とオリアスの容態優先に仕事をこなす事に集中するのであった。
ーコンコン
「オリアス先生〜、お昼ですよー」
「.............ん、」
昨日同様反応遅く開けられた扉から少しだけ顔を覗かせたオリアス。その顔色は昨日見た顔よりも格段に良くなっていて名無しさんは少し安心をする。
名無しさんが目で問いかければ頷いた様子のオリアスを見て、着いてきてくれていたイフリートに目配せをした後彼女は部屋へと足を踏み入れた。
「今日はオズくんの好きなおかずも用意したけど食べられそう?」
「.............ん、...べる」
「良かった。んじゃ、今日は私もここで食べるね」
コクリと頷くオリアスを見て、名無しさんは安心したように笑い静かで穏やかな空間がこの部屋を支配した。
ゆっくりと終えた食事の後、バラムから預かっていた魔茶を飲ませればオリアスはまた眠そうに船を漕いだ後もぞもぞと布団へと戻っていき名無しさんを見つめる。
「ん?寝ていいよ」
「................ない」
「ふふっ、眠たそうだけど?」
「................ない」
「そっか。んじゃ、眠たくなったらでいーよ」
ぽんぽんとまたお布団越しにリズム良く叩いていれば、限界だったのか秒で寝入ったオリアス。その様子を見て名無しさんは静かに笑いながらもそっと部屋を後にして外にいるイフリートへとお礼を告げる。
「不思議ですね〜今回のオリアス先生の悪周期いつもよりかなり大人しいですよ」
何処か安心したようにイフリートは笑い2人は寮を後にした。
あれからサリバン邸に戻った名無しさんは、反省文の続きをし終えた後悪魔の栄養学についての本を読んでいた。
ーコンコン
「?はーい、どうぞー」
「名無しさん様、お戻りでしたか」
すると魔茶をお盆に載せたオペラが入ってきて一緒に休憩する事となった。
「はい、よろしいですね。しっかりと66枚受け取りました」
「本当にごめんなさい。もっと気をはっておくべきでした」
「反省したのならば、同じ過ちを繰り返さなければ結構です。ただでさえ貴方も早朝から忙しい身なんですし、疲れが出たのでしょう」
「オペラさん...」
「ですが、今後また同じような事があれば噛鉄 でマラソンの刑なのでお忘れなく」
「は、はい」
色々迷惑をかけてしまったのに、苦言を呈して教えてくれるオペラの優しさに名無しさんは心がポカポカとしていると不思議そうに訪ねられた言葉に首を傾げる事となる。
「それにしても、ただ仲の良い1悪魔の悪周期のお世話など...よく引き受けましたね」
「うーん、ご飯食べてないって言ってたしオズく...オリアス先生には何だかんだ10日間ぐらい会ってなかったから心配になっちゃってさ」
「...心配、ねぇ」
「心配じゃない?いつも会ってた人に会えてないと」
魔茶の美味しさに舌鼓を打ちながらも名無しさんが答えると、ポンと手を合わせ何処か納得したようにオペラが言い放った。
「あぁ、名無しさんさんはその方がお好きなんですね」
「ゴホッ..........っ、え?」
「何を今更赤くなっているんです、いくら何でもただの友人のお世話などそこまでしないでしょうに」
「私は、別に、そんな気に
「そういえばお相手のご様子は?荒れたりしていましたか?」
「聞いてる?!」
ズズッと何食わぬ顔で魔茶を啜る姿はいつも通りで。
オペラには絶対口では勝てない名無しさんは大人しく質問に答えるのだった。
「部屋は荒れてたみたいだけど、一緒に居る時は無口でぼーっとしてるか眠るかみたいな感じだったかな〜」
「なるほど。尾や羽は出してましたか?」
「羽...いや、出して無かったと思う。いつもと一緒と言うか」
「ほぅ、その域までいっているのですね」
「その域?」
「おや、知りませんか?」
「うん、何か種類があるの?」
「おっと、もうこんな時間ですか。では私はこれで」
「ちょっオペラさんっ?」
入り口まで素早く立ち去りお辞儀をして出ていった姿を見送った名無しさんは意味が分からず呆気に取られるのだった。
「...って言う事があったんですけど、ダリ先生は何か知ってますか?」
コトコトと魚を煮込みながら、キッチンテーブルを挟んで話していたダリに質問すると返ってこない返事。聞こえていなかったのかと思い名無しさんが料理から視線を移すと、それはもうニヤニヤとした顔のダリがいた。
「今のって聞こえてました?」
「んー?ちゃんと聞こえてたよ〜〜!いやぁ〜嬉しくなっちゃってさー」
「嬉しく...ん?どう言う事だ...?」
「いーのいーの、名無しさんちゃんはそんな事気にしなくって!いずれ分かる時がくるよぉ〜」
「いや、それを今知りたいんですけどね」
「はははっ!」
「笑って誤魔化されてるなぁ」
まぁいいか、と切り終えた野菜を盛り付けながら名無しさんが料理を進めているとゾロゾロと集まってくる教師陣。
「おぉ、今日も美味そうだな」
「名無しさんさーん、お皿ってこれでいい?」
「あ、そっちの深めの方がいいかもです」
「りょーかい〜」「分かった」
「ありがとうございます、イポス先生、ムルムル先生」
自分の事は自分でと言う約束を守ってお皿の準備や片付けは各々でテキパキとやっているのは、名無しさんの料理をいち早く食べておかわりをする為。
それを知らない名無しさんはやはり先生だけあってちゃんとしているのだなと思うのであった。
「オリアス先生ご飯持ってきましたよー」
騒がしい夕食を終え、イフリートと共に113号室へと訪れると暫く時間を置いてから開いた扉に名無しさんが顔を覗かせる。
招かれるまま薄暗い部屋へと足を踏み入れればご飯を待っていたのか床にクッションが敷かれていて名無しさんは自然と頬が緩んでいた。
「今日はハーブの煮込み魚とサラダ、それとトマトスープかな。食べられる?」
「.........ん。おいしそ...」
「!うん、多分好きな味だと思う」
「........名無しさん、ちゃんは?」
「あ、食べて良かった?じゃちょっと待ってて」
もしかしたら一緒に食べられるかもと名無しさんは食べずに待っていたので、自分の分をすぐによそい部屋に戻ると手をつけずにオリアスは待っていて。
「ごめん!食べててくれて良かったのに。お待たせ」
「........いた...き、ます」
「うん、いただきます」
「...........ん。うまい」
「それなら良かった」
たった一言、それだけでも体中に幸せが染み込んでいくみたいに嬉しくなった名無しさんは嬉しそうにご飯を平らげていく。その様子を見たオリアスもまた、少しだけ口角を上げるのだった。
食事を終え昨日の二の舞にはならないようにと名無しさんが食器を片付けていると、向かいで魔茶を飲んでいたオリアスがふぅっと静かに息を吐き出した。
「....あ″〜...やっと、すこし、落ち着いてきた.............」
「オズくん!」
ぐーっと伸びをしたオリアスを見て、昨日よりは明らかに元気になっているその様子に名無しさんは嬉しそうに目を輝かせる。
「...ごめんね、迷惑、かけて」
それでもまだ身体を怠そうにゆっくりとした動きのオリアスは、申し訳なさそうに頭を下げた。
「ほーら、頭上げる。迷惑でも無いし、元気出たなら何より」
「名無しさん、ちゃん........」
「それに、私でも力になれる事があったのなら嬉しいしさ」
だから、大丈夫だと笑った名無しさんを見て、オリアスもまた嬉しそうな笑顔を見せる。
「おし、じゃあ薬も飲んだし今日も早めに休んだ方がいいよ」
「!....いや......その、さ」
「大丈夫、寝るまで居るよ」
「........うん。.....あ、りがとう」
モゾモゾと布団の下から潜り込みスポンと頭を出す様は何回見てもどこか幼さが残っていて、可愛いなと名無しさんは目を細めながらもじっと見てくるオリアスに目線を合わせた。
「今日はまだ眠たくない?」
「..............うん」
「じゃ、少しこのまま話そっか。眠たくなったら寝ていいからさ」
ベッドフレームに背中を預けながら横目でオリアスを見て微笑む名無しさんは、月明かりの助けもあってかどこか幻想的にオリアスの瞳には映る。
無意識にじっと見つめていると名無しさんと目が合いオリアスは恥ずかしそうに布団に顔を埋めた。
「............こんな、楽なの...初めてだ」
「ん?悪周期が?」
「.....ん。いつもはもっと.........部屋が、ボロボロ」
「そっか〜、やっぱりご飯食べてるからかなー」
「.............、分かんない」
「でもオズくんも悪周期とかくるんだね〜」
「.........そりゃ、俺も...ふつーの、悪魔だし...」
「いや、そうじゃなくてさ。普段余裕あるし、息抜き上手そうに見えてたから、正直意外だった(笑)」
「............。がっかりした?」
もぞっと動きながらくぐもった声で聞こえた言葉に名無しさんは笑みを浮かべる。
「全然。知らないオズくんを知れるのは嬉しいよ」
「.......そ。.......りがと」
「へへっどーいたしまして」
それから2人はオリアスが寝つくまでの間、月明かりに照らされた部屋でゆったりとした時間を過ごした。
「ダリ先生.....」
にっこりと笑って許して貰えたのは目の前に居る人物の懐の広さ故。それを理解している名無しさんは再度頭を下げて朝食の準備を開始していた。
人数が多いとはいえ、こちらでもものの30分で作り上げた名無しさんは少しだけ湿った髪を上げ直してダリへと声をかける。
「朝食分はどうしますか?まだイフリート先生はお休みのようですし、私1人でも向かいましょうか」
「いやいや、エイト先生が付いている時のみが許可の条件なので今日はこちらで渡しておきますよ〜」
「分かりました、よろしくお願いします!では私はここで」
「はいっ朝からありがとうございました〜!後はゆっくり家で休んでね!またお昼に」
お辞儀をして広い教師寮を後にした名無しさん。
この日から名無しさんの生活は、数日だけの間ではあるが学校での仕事を休む代わりに朝昼晩とオリアスの容態優先に仕事をこなす事に集中するのであった。
ーコンコン
「オリアス先生〜、お昼ですよー」
「.............ん、」
昨日同様反応遅く開けられた扉から少しだけ顔を覗かせたオリアス。その顔色は昨日見た顔よりも格段に良くなっていて名無しさんは少し安心をする。
名無しさんが目で問いかければ頷いた様子のオリアスを見て、着いてきてくれていたイフリートに目配せをした後彼女は部屋へと足を踏み入れた。
「今日はオズくんの好きなおかずも用意したけど食べられそう?」
「.............ん、...べる」
「良かった。んじゃ、今日は私もここで食べるね」
コクリと頷くオリアスを見て、名無しさんは安心したように笑い静かで穏やかな空間がこの部屋を支配した。
ゆっくりと終えた食事の後、バラムから預かっていた魔茶を飲ませればオリアスはまた眠そうに船を漕いだ後もぞもぞと布団へと戻っていき名無しさんを見つめる。
「ん?寝ていいよ」
「................ない」
「ふふっ、眠たそうだけど?」
「................ない」
「そっか。んじゃ、眠たくなったらでいーよ」
ぽんぽんとまたお布団越しにリズム良く叩いていれば、限界だったのか秒で寝入ったオリアス。その様子を見て名無しさんは静かに笑いながらもそっと部屋を後にして外にいるイフリートへとお礼を告げる。
「不思議ですね〜今回のオリアス先生の悪周期いつもよりかなり大人しいですよ」
何処か安心したようにイフリートは笑い2人は寮を後にした。
あれからサリバン邸に戻った名無しさんは、反省文の続きをし終えた後悪魔の栄養学についての本を読んでいた。
ーコンコン
「?はーい、どうぞー」
「名無しさん様、お戻りでしたか」
すると魔茶をお盆に載せたオペラが入ってきて一緒に休憩する事となった。
「はい、よろしいですね。しっかりと66枚受け取りました」
「本当にごめんなさい。もっと気をはっておくべきでした」
「反省したのならば、同じ過ちを繰り返さなければ結構です。ただでさえ貴方も早朝から忙しい身なんですし、疲れが出たのでしょう」
「オペラさん...」
「ですが、今後また同じような事があれば
「は、はい」
色々迷惑をかけてしまったのに、苦言を呈して教えてくれるオペラの優しさに名無しさんは心がポカポカとしていると不思議そうに訪ねられた言葉に首を傾げる事となる。
「それにしても、ただ仲の良い1悪魔の悪周期のお世話など...よく引き受けましたね」
「うーん、ご飯食べてないって言ってたしオズく...オリアス先生には何だかんだ10日間ぐらい会ってなかったから心配になっちゃってさ」
「...心配、ねぇ」
「心配じゃない?いつも会ってた人に会えてないと」
魔茶の美味しさに舌鼓を打ちながらも名無しさんが答えると、ポンと手を合わせ何処か納得したようにオペラが言い放った。
「あぁ、名無しさんさんはその方がお好きなんですね」
「ゴホッ..........っ、え?」
「何を今更赤くなっているんです、いくら何でもただの友人のお世話などそこまでしないでしょうに」
「私は、別に、そんな気に
「そういえばお相手のご様子は?荒れたりしていましたか?」
「聞いてる?!」
ズズッと何食わぬ顔で魔茶を啜る姿はいつも通りで。
オペラには絶対口では勝てない名無しさんは大人しく質問に答えるのだった。
「部屋は荒れてたみたいだけど、一緒に居る時は無口でぼーっとしてるか眠るかみたいな感じだったかな〜」
「なるほど。尾や羽は出してましたか?」
「羽...いや、出して無かったと思う。いつもと一緒と言うか」
「ほぅ、その域までいっているのですね」
「その域?」
「おや、知りませんか?」
「うん、何か種類があるの?」
「おっと、もうこんな時間ですか。では私はこれで」
「ちょっオペラさんっ?」
入り口まで素早く立ち去りお辞儀をして出ていった姿を見送った名無しさんは意味が分からず呆気に取られるのだった。
「...って言う事があったんですけど、ダリ先生は何か知ってますか?」
コトコトと魚を煮込みながら、キッチンテーブルを挟んで話していたダリに質問すると返ってこない返事。聞こえていなかったのかと思い名無しさんが料理から視線を移すと、それはもうニヤニヤとした顔のダリがいた。
「今のって聞こえてました?」
「んー?ちゃんと聞こえてたよ〜〜!いやぁ〜嬉しくなっちゃってさー」
「嬉しく...ん?どう言う事だ...?」
「いーのいーの、名無しさんちゃんはそんな事気にしなくって!いずれ分かる時がくるよぉ〜」
「いや、それを今知りたいんですけどね」
「はははっ!」
「笑って誤魔化されてるなぁ」
まぁいいか、と切り終えた野菜を盛り付けながら名無しさんが料理を進めているとゾロゾロと集まってくる教師陣。
「おぉ、今日も美味そうだな」
「名無しさんさーん、お皿ってこれでいい?」
「あ、そっちの深めの方がいいかもです」
「りょーかい〜」「分かった」
「ありがとうございます、イポス先生、ムルムル先生」
自分の事は自分でと言う約束を守ってお皿の準備や片付けは各々でテキパキとやっているのは、名無しさんの料理をいち早く食べておかわりをする為。
それを知らない名無しさんはやはり先生だけあってちゃんとしているのだなと思うのであった。
「オリアス先生ご飯持ってきましたよー」
騒がしい夕食を終え、イフリートと共に113号室へと訪れると暫く時間を置いてから開いた扉に名無しさんが顔を覗かせる。
招かれるまま薄暗い部屋へと足を踏み入れればご飯を待っていたのか床にクッションが敷かれていて名無しさんは自然と頬が緩んでいた。
「今日はハーブの煮込み魚とサラダ、それとトマトスープかな。食べられる?」
「.........ん。おいしそ...」
「!うん、多分好きな味だと思う」
「........名無しさん、ちゃんは?」
「あ、食べて良かった?じゃちょっと待ってて」
もしかしたら一緒に食べられるかもと名無しさんは食べずに待っていたので、自分の分をすぐによそい部屋に戻ると手をつけずにオリアスは待っていて。
「ごめん!食べててくれて良かったのに。お待たせ」
「........いた...き、ます」
「うん、いただきます」
「...........ん。うまい」
「それなら良かった」
たった一言、それだけでも体中に幸せが染み込んでいくみたいに嬉しくなった名無しさんは嬉しそうにご飯を平らげていく。その様子を見たオリアスもまた、少しだけ口角を上げるのだった。
食事を終え昨日の二の舞にはならないようにと名無しさんが食器を片付けていると、向かいで魔茶を飲んでいたオリアスがふぅっと静かに息を吐き出した。
「....あ″〜...やっと、すこし、落ち着いてきた.............」
「オズくん!」
ぐーっと伸びをしたオリアスを見て、昨日よりは明らかに元気になっているその様子に名無しさんは嬉しそうに目を輝かせる。
「...ごめんね、迷惑、かけて」
それでもまだ身体を怠そうにゆっくりとした動きのオリアスは、申し訳なさそうに頭を下げた。
「ほーら、頭上げる。迷惑でも無いし、元気出たなら何より」
「名無しさん、ちゃん........」
「それに、私でも力になれる事があったのなら嬉しいしさ」
だから、大丈夫だと笑った名無しさんを見て、オリアスもまた嬉しそうな笑顔を見せる。
「おし、じゃあ薬も飲んだし今日も早めに休んだ方がいいよ」
「!....いや......その、さ」
「大丈夫、寝るまで居るよ」
「........うん。.....あ、りがとう」
モゾモゾと布団の下から潜り込みスポンと頭を出す様は何回見てもどこか幼さが残っていて、可愛いなと名無しさんは目を細めながらもじっと見てくるオリアスに目線を合わせた。
「今日はまだ眠たくない?」
「..............うん」
「じゃ、少しこのまま話そっか。眠たくなったら寝ていいからさ」
ベッドフレームに背中を預けながら横目でオリアスを見て微笑む名無しさんは、月明かりの助けもあってかどこか幻想的にオリアスの瞳には映る。
無意識にじっと見つめていると名無しさんと目が合いオリアスは恥ずかしそうに布団に顔を埋めた。
「............こんな、楽なの...初めてだ」
「ん?悪周期が?」
「.....ん。いつもはもっと.........部屋が、ボロボロ」
「そっか〜、やっぱりご飯食べてるからかなー」
「.............、分かんない」
「でもオズくんも悪周期とかくるんだね〜」
「.........そりゃ、俺も...ふつーの、悪魔だし...」
「いや、そうじゃなくてさ。普段余裕あるし、息抜き上手そうに見えてたから、正直意外だった(笑)」
「............。がっかりした?」
もぞっと動きながらくぐもった声で聞こえた言葉に名無しさんは笑みを浮かべる。
「全然。知らないオズくんを知れるのは嬉しいよ」
「.......そ。.......りがと」
「へへっどーいたしまして」
それから2人はオリアスが寝つくまでの間、月明かりに照らされた部屋でゆったりとした時間を過ごした。