きんいろの奇跡
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ーコンコン
「空いてるよー」
「お疲れ様!今大丈夫?」
放課後になり訪れたのは親しみ慣れた準備室。
手土産だよと持ってくるのは、少しお腹に溜まるものがメインで。
実験と研究に没頭するバラムはたまにお昼を忘れて放課後になってしまう事を知った名無しさんの隠れた優しさである。
「最近楽しそうだね」
「うん!君が教えてくれた情報を僕なりにまとめ直してみてたんだ」
「うわ〜見やすい!この見開きも手作りなんだ?すごい...」
「どうかな?文献に残ってる情報とすり合わせてみたんだけど、やっぱり似ている部分も多いのかなと思ってさ」
子供のようにワクワクとしながら作ったものを見せてくるバラムは褒められまちの子供のようで。
その姿があまりにも微笑ましくて名無しさんは心が温かく感じるがままにっこり笑って前のめりになる。
「.....うん、この比較めちゃくちゃ分かりやすい...情報が点在してるだけで面白いし、バラム先生の好きが詰まってて楽しいと思う!」
「本当っ?!良かった...!今までクイズ形式が多かったんだけど、君が言ってくれたみたいに挿絵を入れてみたら平均点も上がったんだよ」
「おぉー凄い!...何か嬉しいな。平均点が上がるって事は興味が増えたって事でしょ?」
良かったなぁ、と笑った名無しさんにバラムも笑顔で応える。バラムにとって理解者が増えるのは今まで一人で研鑽してきた道だからこそ嬉しかったのだ。
ーコンコン
一通り盛り上がり、まったりとしながら魔茶の美味しさに舌鼓を打っているとノックの後に現れた姿も、ここ最近では珍しくない。
「お疲れ様、カルエゴくん」
「お疲れ様ですカルエゴ先生」
「....あぁ」
名無しさんがここに居る頻度が高いからか、カルエゴがバラムの元へと訪れる頻度が高いからかは分からないがあの日以降こうやって一緒にゆっくりする事がある。
勿論仕事関係で訪れたと気がついた時には、名無しさんはすぐ様身支度をして退室するのだか、今日に至っては休みにきたようだ。
「顔色悪いねカルエゴくん、また眠れてないの?」
「問題児共への...新たな課題が浮上してな」
「大変だねぇ」
「ったく次から次へと注目を集めよって...」
「だとしたら今日は魔珈琲にしときますか?」
「....そうだな。頼む」
「はーい、お任せを」
バラムと2人だったのであれば、迷わずソファーに倒れ込んでいるであろう疲労具合を見てバラムと名無しさんは顔を見合わせ苦笑した。
「お待たせしました〜。今回のブレンドは疲れた時に飲む用です」
「............どうも」
その際に柔らかい香りがするふわふわのタオルで包んだ枕を置いてお盆を下げれば、いつもより格段に目元が鋭いカルエゴも魔珈琲を飲んで少し表情が和らぐ。
その様子を見て名無しさんは密かに笑みを浮かべつつ、バラムにアイコンタクトをとってから静かに身支度を整えると、そっと準備室を後にした。
「..............ん、帰ったのか」
名無しさんが去ってから6分ぐらいして口にした言葉に、これはよっぽどだなとバラムは息を吐く。
「うん、今日の君は仮眠をとった方がいいと思ったんじゃないかな」
「.............そうか。..............少し、寝る...1時間たったら、おこせ..............」
最後の言葉は消えるように呟いた後ボスンと柔らかいソファーで寝入るカルエゴ。
厳粛な彼が校内でこうも無防備に休めるのはバラムと二人で居るこの準備室だけである為、不器用な同級生の姿を見て眉毛を下げたバラムは静かに布団をかけたのだった。
「ただいまー」
「あ、お帰りなさい名無しさんさん!」
「ただいま入間くん」
準備室を後にして、真っ直ぐと帰宅すれば笑顔で出迎えてくれる入間に名無しさんは心から癒される。部屋に向かう途中カルエゴから新たに課された課題を聞いて、疲れていたのはこの件でかと納得が行くも両者大変なのだなと彼女は心に刻んだ。
「あ!そう言えば名無しさんさん、明後日のお休みって空いてたりする?」
「明後日.........あ。駄目だ、予定入る予定だ!」
「予定が入る、予定??」
「ん?あぁ、今日誘われてさ。明後日空けておくようにって言われたから多分予定が入るんだと思う」
「そ、そそそれって......デート?!」
「デっ.............いやいや違うよ入間くん。友達...になるのかな、その人と遊ぶの」
「えっそうなの?!でもその感じだと誘ってくれたの男の人だよね?」
「どーだと思う?」
「えぇー教えてよー名無しさんさーん!」
ぽこぽこと可愛いく背中を叩いてきながらも顔を赤くしている入間はどこからどう見ても可愛いさしかない。
「あ。そういえば入間くんはさ、結局アメリさんとクララどっちが好きなんだっけ」
「どっ...えぇっ?!な、僕はそんなっ」
「人に聞く前にまずは自分からだぞ〜入間くん」
「そんなぁーっ!だって僕はそのっす、好きな人とかまだ...分からない、というか」
「へぇえ〜〜〜」
「もうっからかってるでしょ!名無しさんさんっ」
もーもーと顔を真っ赤にして反論してくる入間は名無しさんにとったら本当の弟のように可愛い存在で、わしゃわしゃとその頭を撫でる。
「ほら、ご飯食べにいくよ」
「えっさっきの話は?」
「ん?入間くんの好きな人の話?」
「!!ち、ちっがーう!もーー」
「はははっほーら、拗ねない。行くよ〜」
ほっぺをパンパンにした入間をつつきながらリビングへと足を踏み入れればそこには沢山のご馳走が並んでいて、温かくサリバンとオペラが迎えてくれた。